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75、婚約するという事 3 *
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「ああ…」
苦しそうなのはきっと物凄く我慢しているヒュンの方…
「な…慣れない、から…まだ、慣れて、ないから…嫌なのかどうかも、分かりません…」
実際に初めての感覚に翻弄されてしまっていて、これが好きか嫌いかなんて分からないから…
でも、ヒュンはこの先が欲しいんでしょう?僕だってあげられるものなら…でもきっと、苦しそうにしたり、痛がったりしたらヒュンは傷つく…さっきだって物凄く申し訳なさそうに、眉間を寄せて険しい顔をしておられた…だから…
「れ、練習…練習を、したら…少しはマシに、なるのでは……」
「ウリー……」
優しくキスをしてくるヒュンダルンにウリートは答えていく。ゆっくりと身体の中を探りながら指はまだ抜かれていないけれど、ヒュンダルンがしたいなら、なるべく力を抜こうとウリートは必死に努力する。
「ウリーらしい…可愛いな……頼むから…余り可愛いことを言わないでくれ…自分が止められなくなりそうで、少し、怖い……」
止めようという気はある様なのだが、依然と指はウリートの中で蠢いている。
「ふっ…ぅ…」
未知の刺激はずっと続いているので、ウリートは息が上がってしたかない。
「今日はここまでだ。あのオイルの使い方は分かったな?こうやって使うんだ…」
優しくキスをしながら、最後に、入っていた指でグルっと中をかき混ぜられてのけぞらせてくる所は、あまり優しくないのかも知れない…
ゆっくりと名残惜しそうにヒュンダルンの指が出ていく頃にはウリートが限界だった…
その後の事をウリートはなんとなくしか覚えていない。ボゥッと意識があるのかも怪しいウリートをヒュンダルンは浴室できれいに清めてから、自室に連れて行き一緒に休んだ。
ウリートの部屋の惨状を見たら一発でマリエッテには何があったかがバレてしまうのだろう。あの様な物を出してきたマリエッテに一言釘を刺すか、このまま泳がせておくか、ヒュンダルンの中では大きな悩みの種となってしまった。侍女としては有能なのかもしれないが、なんとなく、踊らされている様にも感じてヒュンダルンは少しだけ面白くはない。だが、その分、今夜は楽しませてもらった……まだまだ閨事の入り口を潜った辺りのことしかしていないのだが…ウリートが、また練習をすれば良いなどと言い出した時には、この先の事を考えてヒュンダルンの方が要らぬ心配をしたほどだ。あの様子だと必死に頼めば何でもやらせてくれる様になってしまうのではないかと恐ろしくもあったのだから。
誰かがウリートに手を出す事はないのだろうが、貞操観念の蒸発してしまっている者達はどこにでもいるものだ。ヒュンダルンに愛してると言ってくれたウリートだからこそ、他の者に靡く様な心配はないだろうが、この様な事の練習はこれから先も二人だけのものだと理解させておかなければならないだろう……
「…………ヒュン………?」
「可愛いな……」
じっとウリートの寝顔を見ていたらいつの間にか夜が明けていた様だ。寝ぼけ眼のウリートはまだ焦点が合ってなくて、少し幼く見えてそこも可愛い。
寝起きのウリートの髪を触り、耳を触り、頬を撫で、時折キスする。まだ眠いのだろうから寝かせてやれば良いものなのだが、見ているとどうしても触りたくもなる。昨日は散々ウリートを弄って自分は不完全燃焼だった為、余計ウリートが欲しくて仕方ないのかもしれない。
「ん……寝ないのですか?」
如何やらウリートの方はまだ目が開かないらしい。
「まだ寝ていろ。夜が開けきっていないから…」
「ヒュンも……一緒に……」
こうして隣で寝る様になってから、ウリートはヒュンダルンの夜着を遠慮がちに握り締めて眠る様になった。もっと首に腕を回してきたり、足を乗せて抱き枕の代わりにしてくれても良いと思うのだが、遠慮がちのウリートは眠る時まで謙虚な姿勢を崩さないらしい。
「あぁ、ここにいるから、一緒に寝よう…」
ヒュンダルンはウリートに腕を回して抱き寄せる。仄かにシャボンの香りがする。残念なことに、昨日のオイルや蜂蜜の香りは落ちてしまった様だ。ウリートに残り香があると言ったら、どんな顔をするのだろうか?ただ、そんなことを考えるだけでも、楽しくて、幸せなのだ。
「この幸せを、縛り付ける物を身につけさせなければならないな…」
婚約の証として贈る物を決めよう。
貴族間の婚約では形式張った書類のみの交換で済ませるのも珍しくはない。高位貴族間どうしであれば、両家の体裁のため婚約式とお披露目をする所もあるが、連日に渡る過密スケジュールをウリーに背負わせたくはない。それに、他の者達の目に入れたくはない。
婚約を承諾してくれたとしても、未だに王城では書庫の妖精の逸話は消えていないのだから…
「人の目につく所に、俺のものだと言う印………」
スヤスヤ眠るウリートを起こさない様にそっと、柔らかな耳朶に触り、堪能した。
今日は朝一で宝石商を呼びつけよう、そんな事を考えながら……
苦しそうなのはきっと物凄く我慢しているヒュンの方…
「な…慣れない、から…まだ、慣れて、ないから…嫌なのかどうかも、分かりません…」
実際に初めての感覚に翻弄されてしまっていて、これが好きか嫌いかなんて分からないから…
でも、ヒュンはこの先が欲しいんでしょう?僕だってあげられるものなら…でもきっと、苦しそうにしたり、痛がったりしたらヒュンは傷つく…さっきだって物凄く申し訳なさそうに、眉間を寄せて険しい顔をしておられた…だから…
「れ、練習…練習を、したら…少しはマシに、なるのでは……」
「ウリー……」
優しくキスをしてくるヒュンダルンにウリートは答えていく。ゆっくりと身体の中を探りながら指はまだ抜かれていないけれど、ヒュンダルンがしたいなら、なるべく力を抜こうとウリートは必死に努力する。
「ウリーらしい…可愛いな……頼むから…余り可愛いことを言わないでくれ…自分が止められなくなりそうで、少し、怖い……」
止めようという気はある様なのだが、依然と指はウリートの中で蠢いている。
「ふっ…ぅ…」
未知の刺激はずっと続いているので、ウリートは息が上がってしたかない。
「今日はここまでだ。あのオイルの使い方は分かったな?こうやって使うんだ…」
優しくキスをしながら、最後に、入っていた指でグルっと中をかき混ぜられてのけぞらせてくる所は、あまり優しくないのかも知れない…
ゆっくりと名残惜しそうにヒュンダルンの指が出ていく頃にはウリートが限界だった…
その後の事をウリートはなんとなくしか覚えていない。ボゥッと意識があるのかも怪しいウリートをヒュンダルンは浴室できれいに清めてから、自室に連れて行き一緒に休んだ。
ウリートの部屋の惨状を見たら一発でマリエッテには何があったかがバレてしまうのだろう。あの様な物を出してきたマリエッテに一言釘を刺すか、このまま泳がせておくか、ヒュンダルンの中では大きな悩みの種となってしまった。侍女としては有能なのかもしれないが、なんとなく、踊らされている様にも感じてヒュンダルンは少しだけ面白くはない。だが、その分、今夜は楽しませてもらった……まだまだ閨事の入り口を潜った辺りのことしかしていないのだが…ウリートが、また練習をすれば良いなどと言い出した時には、この先の事を考えてヒュンダルンの方が要らぬ心配をしたほどだ。あの様子だと必死に頼めば何でもやらせてくれる様になってしまうのではないかと恐ろしくもあったのだから。
誰かがウリートに手を出す事はないのだろうが、貞操観念の蒸発してしまっている者達はどこにでもいるものだ。ヒュンダルンに愛してると言ってくれたウリートだからこそ、他の者に靡く様な心配はないだろうが、この様な事の練習はこれから先も二人だけのものだと理解させておかなければならないだろう……
「…………ヒュン………?」
「可愛いな……」
じっとウリートの寝顔を見ていたらいつの間にか夜が明けていた様だ。寝ぼけ眼のウリートはまだ焦点が合ってなくて、少し幼く見えてそこも可愛い。
寝起きのウリートの髪を触り、耳を触り、頬を撫で、時折キスする。まだ眠いのだろうから寝かせてやれば良いものなのだが、見ているとどうしても触りたくもなる。昨日は散々ウリートを弄って自分は不完全燃焼だった為、余計ウリートが欲しくて仕方ないのかもしれない。
「ん……寝ないのですか?」
如何やらウリートの方はまだ目が開かないらしい。
「まだ寝ていろ。夜が開けきっていないから…」
「ヒュンも……一緒に……」
こうして隣で寝る様になってから、ウリートはヒュンダルンの夜着を遠慮がちに握り締めて眠る様になった。もっと首に腕を回してきたり、足を乗せて抱き枕の代わりにしてくれても良いと思うのだが、遠慮がちのウリートは眠る時まで謙虚な姿勢を崩さないらしい。
「あぁ、ここにいるから、一緒に寝よう…」
ヒュンダルンはウリートに腕を回して抱き寄せる。仄かにシャボンの香りがする。残念なことに、昨日のオイルや蜂蜜の香りは落ちてしまった様だ。ウリートに残り香があると言ったら、どんな顔をするのだろうか?ただ、そんなことを考えるだけでも、楽しくて、幸せなのだ。
「この幸せを、縛り付ける物を身につけさせなければならないな…」
婚約の証として贈る物を決めよう。
貴族間の婚約では形式張った書類のみの交換で済ませるのも珍しくはない。高位貴族間どうしであれば、両家の体裁のため婚約式とお披露目をする所もあるが、連日に渡る過密スケジュールをウリーに背負わせたくはない。それに、他の者達の目に入れたくはない。
婚約を承諾してくれたとしても、未だに王城では書庫の妖精の逸話は消えていないのだから…
「人の目につく所に、俺のものだと言う印………」
スヤスヤ眠るウリートを起こさない様にそっと、柔らかな耳朶に触り、堪能した。
今日は朝一で宝石商を呼びつけよう、そんな事を考えながら……
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