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72、僕にできること 4
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マリエッテに怒られてしまった…
いつもの様に朝が来て、いつもと同じ朝なのに、でもいつもとは違う朝をくすぐったい気分で迎えて、やっとヒュンダルンを仕事に送り出した後だった…
ヒュンッて呼んだ、その事を伝えたらマリエッテが頬を赤て喜んでくれた。でも、ヒュン……を満足させてあげられていないからどうしたら良いかと話したら、少し怒られた……
「練習しようと思わなくて良いですからね?」
「え?練習って?」
「お忘れではありませんよね?」
ズイッとマリエッテは前に出る。
「ウリート様、ゴーリッシュ騎士団長様とご婚約する前、何をしていたか覚えておいでですか?」
「こ、婚約!?」
「そうでございますとも、騎士団長様のお心をお受けしましたのでしょう?」
「うん……」
そうでした…伴侶になるお約束をしましたが、改めて身近な者に言われると動揺してしまう…
「でしたら、練習はもうお終いですわ。いくら騎士団長様が耐えていようとも、満足していない様に見えましても、それはそれ、絶対に楽しんでいますから大丈夫です!ですから、ゴーリッシュ騎士団長様としていた様な練習を他の方でしてはいけませんよ?」
ヒュンとしていた練習と言えば、閨のあれこれ……
「マリエッテ……いくらなんでも僕だって全く知らない人とは…」
「ゴーリッシュ騎士団長様の時だって、全くの知らないお人でしたよ?」
「う…そうだけど…」
でも、ヒュンの時は友人になってからだし……でも、あれやらこれを友人となった他の人と今からできるか考えてみれば…
「いや…無理だって…マリエッテ…できないから…!」
「あら、なぜ出来ないんでしょうね?騎士団長様とは出来ましたでしょう?」
それも聞くにほとんど抵抗なく…!
「なんで今日のマリエッテはこんなに厳しいのかな?」
何かしたかな?僕?
「厳しくもなると言うものです。ウリート様自覚を持つと言う事は、ご自身の身を守る事に繋がりますからね?今後どんな方とお会いするか分からないのですから、ウリート様のお心の中をちゃんと整理しておいた方が宜しかろうと思いました。」
心の中…マリエッテが言うのは閨の練習をヒュン以外の人とできるかどうか、と言う事だろう。
できる…?あれを…………
「いや…マリエッテ、それなら大丈夫そう。あんな事、ヒュン以外とはしようと思えないんだ。」
うん、そう…できないと言うより、ヒュン以外となんて、したく無かったから。
「…………………そう、か………」
そう呟いたまま、真っ赤になってウリートは俯く…
「ウリート様?」
「僕…最初から、きっとヒュンの事が好きだったんだ……」
だけら、一緒にいて嬉しかったし、親しい友人もいない様な僕にも1番の友人ができたって有頂天になってて…気がつかないなんて………
だから、嫌じゃなかった…恥ずかしかってけれど…
「マリエッテ…僕は最低だな……気がつかないなんて……」
「あらあら、あらあら…どうしましょう!マリエッテの大切な主人がやっと常人並みになって下さいました。」
「マリエッテ…意地悪いよ……」
「ふふ、良いですね?お心に誰がいたか、誰がいるのか、もう目を背けなくても良いのですよ。」
マリエッテ…もう目を逸そうと思っても、もう逸せないよ。
「ヒュンに、呆れられない様にしなくちゃね?」
誠実に真心こめて、後、何かな…婚約、者になるんだとしたら何が必要か、何か婚約の手引きか何か参考書があっただろうか?
「ウリート様。何も自分だけで頑張る必要は無いのですからね?きっと婚約の手続きなんて両家で済ませるようなものですし、ご実家のアクロース家にはエーベ公爵家とゴーリッシュ侯爵家からの連絡が行っているでしょうし。」
「え!もう?」
「はい。先日、エーベ公爵家と旦那様ご夫妻での顔合わせがありましたでしょう?大体の事はそこで、又はその後の書類のやり取りで両家で進めていくものでございますから。」
婚約なんてこんなものですよ。
と、まだ未婚のマリエッテは言う。
「そう、なのか…」
やはり、何か不手際があっては申し訳ないので参考書を…
「はい!そしてこれはウリート様に必要なものでございます。」
ニコニコ、ニコニコしながら、物凄く微笑みながらマリエッテが何か手渡してきた。
「これは?」
綺麗な紙の袋に入ってる、少し重量感のあるものだけど…?
「開けてみて下さいませ。」
何処かのお店の商品のようで、紙袋には綺麗な花の絵が書かれているし、中の物を出してみると一つ一つの瓶に落ち着いた色のリボンがかけられていた。入っていたのは二つの小瓶。
一つは、蜂蜜、と書かれていてもう一つは、オイル…入用後のマッサージオイルだろうか?あまりエーベ公爵家では見ない銘柄のようだ。
「あ!ファーム家だ…!ユーリ様のご実家の蜂蜜だね?」
蜂蜜の小瓶にはファーム子爵家の家紋と名が入っている。ウリートの母がファーム家から取り入れている商品も多く、品質は申し分ない。素晴らしいお茶の時間を約束させてくれる逸品だった。
いつもの様に朝が来て、いつもと同じ朝なのに、でもいつもとは違う朝をくすぐったい気分で迎えて、やっとヒュンダルンを仕事に送り出した後だった…
ヒュンッて呼んだ、その事を伝えたらマリエッテが頬を赤て喜んでくれた。でも、ヒュン……を満足させてあげられていないからどうしたら良いかと話したら、少し怒られた……
「練習しようと思わなくて良いですからね?」
「え?練習って?」
「お忘れではありませんよね?」
ズイッとマリエッテは前に出る。
「ウリート様、ゴーリッシュ騎士団長様とご婚約する前、何をしていたか覚えておいでですか?」
「こ、婚約!?」
「そうでございますとも、騎士団長様のお心をお受けしましたのでしょう?」
「うん……」
そうでした…伴侶になるお約束をしましたが、改めて身近な者に言われると動揺してしまう…
「でしたら、練習はもうお終いですわ。いくら騎士団長様が耐えていようとも、満足していない様に見えましても、それはそれ、絶対に楽しんでいますから大丈夫です!ですから、ゴーリッシュ騎士団長様としていた様な練習を他の方でしてはいけませんよ?」
ヒュンとしていた練習と言えば、閨のあれこれ……
「マリエッテ……いくらなんでも僕だって全く知らない人とは…」
「ゴーリッシュ騎士団長様の時だって、全くの知らないお人でしたよ?」
「う…そうだけど…」
でも、ヒュンの時は友人になってからだし……でも、あれやらこれを友人となった他の人と今からできるか考えてみれば…
「いや…無理だって…マリエッテ…できないから…!」
「あら、なぜ出来ないんでしょうね?騎士団長様とは出来ましたでしょう?」
それも聞くにほとんど抵抗なく…!
「なんで今日のマリエッテはこんなに厳しいのかな?」
何かしたかな?僕?
「厳しくもなると言うものです。ウリート様自覚を持つと言う事は、ご自身の身を守る事に繋がりますからね?今後どんな方とお会いするか分からないのですから、ウリート様のお心の中をちゃんと整理しておいた方が宜しかろうと思いました。」
心の中…マリエッテが言うのは閨の練習をヒュン以外の人とできるかどうか、と言う事だろう。
できる…?あれを…………
「いや…マリエッテ、それなら大丈夫そう。あんな事、ヒュン以外とはしようと思えないんだ。」
うん、そう…できないと言うより、ヒュン以外となんて、したく無かったから。
「…………………そう、か………」
そう呟いたまま、真っ赤になってウリートは俯く…
「ウリート様?」
「僕…最初から、きっとヒュンの事が好きだったんだ……」
だけら、一緒にいて嬉しかったし、親しい友人もいない様な僕にも1番の友人ができたって有頂天になってて…気がつかないなんて………
だから、嫌じゃなかった…恥ずかしかってけれど…
「マリエッテ…僕は最低だな……気がつかないなんて……」
「あらあら、あらあら…どうしましょう!マリエッテの大切な主人がやっと常人並みになって下さいました。」
「マリエッテ…意地悪いよ……」
「ふふ、良いですね?お心に誰がいたか、誰がいるのか、もう目を背けなくても良いのですよ。」
マリエッテ…もう目を逸そうと思っても、もう逸せないよ。
「ヒュンに、呆れられない様にしなくちゃね?」
誠実に真心こめて、後、何かな…婚約、者になるんだとしたら何が必要か、何か婚約の手引きか何か参考書があっただろうか?
「ウリート様。何も自分だけで頑張る必要は無いのですからね?きっと婚約の手続きなんて両家で済ませるようなものですし、ご実家のアクロース家にはエーベ公爵家とゴーリッシュ侯爵家からの連絡が行っているでしょうし。」
「え!もう?」
「はい。先日、エーベ公爵家と旦那様ご夫妻での顔合わせがありましたでしょう?大体の事はそこで、又はその後の書類のやり取りで両家で進めていくものでございますから。」
婚約なんてこんなものですよ。
と、まだ未婚のマリエッテは言う。
「そう、なのか…」
やはり、何か不手際があっては申し訳ないので参考書を…
「はい!そしてこれはウリート様に必要なものでございます。」
ニコニコ、ニコニコしながら、物凄く微笑みながらマリエッテが何か手渡してきた。
「これは?」
綺麗な紙の袋に入ってる、少し重量感のあるものだけど…?
「開けてみて下さいませ。」
何処かのお店の商品のようで、紙袋には綺麗な花の絵が書かれているし、中の物を出してみると一つ一つの瓶に落ち着いた色のリボンがかけられていた。入っていたのは二つの小瓶。
一つは、蜂蜜、と書かれていてもう一つは、オイル…入用後のマッサージオイルだろうか?あまりエーベ公爵家では見ない銘柄のようだ。
「あ!ファーム家だ…!ユーリ様のご実家の蜂蜜だね?」
蜂蜜の小瓶にはファーム子爵家の家紋と名が入っている。ウリートの母がファーム家から取り入れている商品も多く、品質は申し分ない。素晴らしいお茶の時間を約束させてくれる逸品だった。
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