71 / 135
72、僕にできること 4
しおりを挟む
マリエッテに怒られてしまった…
いつもの様に朝が来て、いつもと同じ朝なのに、でもいつもとは違う朝をくすぐったい気分で迎えて、やっとヒュンダルンを仕事に送り出した後だった…
ヒュンッて呼んだ、その事を伝えたらマリエッテが頬を赤て喜んでくれた。でも、ヒュン……を満足させてあげられていないからどうしたら良いかと話したら、少し怒られた……
「練習しようと思わなくて良いですからね?」
「え?練習って?」
「お忘れではありませんよね?」
ズイッとマリエッテは前に出る。
「ウリート様、ゴーリッシュ騎士団長様とご婚約する前、何をしていたか覚えておいでですか?」
「こ、婚約!?」
「そうでございますとも、騎士団長様のお心をお受けしましたのでしょう?」
「うん……」
そうでした…伴侶になるお約束をしましたが、改めて身近な者に言われると動揺してしまう…
「でしたら、練習はもうお終いですわ。いくら騎士団長様が耐えていようとも、満足していない様に見えましても、それはそれ、絶対に楽しんでいますから大丈夫です!ですから、ゴーリッシュ騎士団長様としていた様な練習を他の方でしてはいけませんよ?」
ヒュンとしていた練習と言えば、閨のあれこれ……
「マリエッテ……いくらなんでも僕だって全く知らない人とは…」
「ゴーリッシュ騎士団長様の時だって、全くの知らないお人でしたよ?」
「う…そうだけど…」
でも、ヒュンの時は友人になってからだし……でも、あれやらこれを友人となった他の人と今からできるか考えてみれば…
「いや…無理だって…マリエッテ…できないから…!」
「あら、なぜ出来ないんでしょうね?騎士団長様とは出来ましたでしょう?」
それも聞くにほとんど抵抗なく…!
「なんで今日のマリエッテはこんなに厳しいのかな?」
何かしたかな?僕?
「厳しくもなると言うものです。ウリート様自覚を持つと言う事は、ご自身の身を守る事に繋がりますからね?今後どんな方とお会いするか分からないのですから、ウリート様のお心の中をちゃんと整理しておいた方が宜しかろうと思いました。」
心の中…マリエッテが言うのは閨の練習をヒュン以外の人とできるかどうか、と言う事だろう。
できる…?あれを…………
「いや…マリエッテ、それなら大丈夫そう。あんな事、ヒュン以外とはしようと思えないんだ。」
うん、そう…できないと言うより、ヒュン以外となんて、したく無かったから。
「…………………そう、か………」
そう呟いたまま、真っ赤になってウリートは俯く…
「ウリート様?」
「僕…最初から、きっとヒュンの事が好きだったんだ……」
だけら、一緒にいて嬉しかったし、親しい友人もいない様な僕にも1番の友人ができたって有頂天になってて…気がつかないなんて………
だから、嫌じゃなかった…恥ずかしかってけれど…
「マリエッテ…僕は最低だな……気がつかないなんて……」
「あらあら、あらあら…どうしましょう!マリエッテの大切な主人がやっと常人並みになって下さいました。」
「マリエッテ…意地悪いよ……」
「ふふ、良いですね?お心に誰がいたか、誰がいるのか、もう目を背けなくても良いのですよ。」
マリエッテ…もう目を逸そうと思っても、もう逸せないよ。
「ヒュンに、呆れられない様にしなくちゃね?」
誠実に真心こめて、後、何かな…婚約、者になるんだとしたら何が必要か、何か婚約の手引きか何か参考書があっただろうか?
「ウリート様。何も自分だけで頑張る必要は無いのですからね?きっと婚約の手続きなんて両家で済ませるようなものですし、ご実家のアクロース家にはエーベ公爵家とゴーリッシュ侯爵家からの連絡が行っているでしょうし。」
「え!もう?」
「はい。先日、エーベ公爵家と旦那様ご夫妻での顔合わせがありましたでしょう?大体の事はそこで、又はその後の書類のやり取りで両家で進めていくものでございますから。」
婚約なんてこんなものですよ。
と、まだ未婚のマリエッテは言う。
「そう、なのか…」
やはり、何か不手際があっては申し訳ないので参考書を…
「はい!そしてこれはウリート様に必要なものでございます。」
ニコニコ、ニコニコしながら、物凄く微笑みながらマリエッテが何か手渡してきた。
「これは?」
綺麗な紙の袋に入ってる、少し重量感のあるものだけど…?
「開けてみて下さいませ。」
何処かのお店の商品のようで、紙袋には綺麗な花の絵が書かれているし、中の物を出してみると一つ一つの瓶に落ち着いた色のリボンがかけられていた。入っていたのは二つの小瓶。
一つは、蜂蜜、と書かれていてもう一つは、オイル…入用後のマッサージオイルだろうか?あまりエーベ公爵家では見ない銘柄のようだ。
「あ!ファーム家だ…!ユーリ様のご実家の蜂蜜だね?」
蜂蜜の小瓶にはファーム子爵家の家紋と名が入っている。ウリートの母がファーム家から取り入れている商品も多く、品質は申し分ない。素晴らしいお茶の時間を約束させてくれる逸品だった。
いつもの様に朝が来て、いつもと同じ朝なのに、でもいつもとは違う朝をくすぐったい気分で迎えて、やっとヒュンダルンを仕事に送り出した後だった…
ヒュンッて呼んだ、その事を伝えたらマリエッテが頬を赤て喜んでくれた。でも、ヒュン……を満足させてあげられていないからどうしたら良いかと話したら、少し怒られた……
「練習しようと思わなくて良いですからね?」
「え?練習って?」
「お忘れではありませんよね?」
ズイッとマリエッテは前に出る。
「ウリート様、ゴーリッシュ騎士団長様とご婚約する前、何をしていたか覚えておいでですか?」
「こ、婚約!?」
「そうでございますとも、騎士団長様のお心をお受けしましたのでしょう?」
「うん……」
そうでした…伴侶になるお約束をしましたが、改めて身近な者に言われると動揺してしまう…
「でしたら、練習はもうお終いですわ。いくら騎士団長様が耐えていようとも、満足していない様に見えましても、それはそれ、絶対に楽しんでいますから大丈夫です!ですから、ゴーリッシュ騎士団長様としていた様な練習を他の方でしてはいけませんよ?」
ヒュンとしていた練習と言えば、閨のあれこれ……
「マリエッテ……いくらなんでも僕だって全く知らない人とは…」
「ゴーリッシュ騎士団長様の時だって、全くの知らないお人でしたよ?」
「う…そうだけど…」
でも、ヒュンの時は友人になってからだし……でも、あれやらこれを友人となった他の人と今からできるか考えてみれば…
「いや…無理だって…マリエッテ…できないから…!」
「あら、なぜ出来ないんでしょうね?騎士団長様とは出来ましたでしょう?」
それも聞くにほとんど抵抗なく…!
「なんで今日のマリエッテはこんなに厳しいのかな?」
何かしたかな?僕?
「厳しくもなると言うものです。ウリート様自覚を持つと言う事は、ご自身の身を守る事に繋がりますからね?今後どんな方とお会いするか分からないのですから、ウリート様のお心の中をちゃんと整理しておいた方が宜しかろうと思いました。」
心の中…マリエッテが言うのは閨の練習をヒュン以外の人とできるかどうか、と言う事だろう。
できる…?あれを…………
「いや…マリエッテ、それなら大丈夫そう。あんな事、ヒュン以外とはしようと思えないんだ。」
うん、そう…できないと言うより、ヒュン以外となんて、したく無かったから。
「…………………そう、か………」
そう呟いたまま、真っ赤になってウリートは俯く…
「ウリート様?」
「僕…最初から、きっとヒュンの事が好きだったんだ……」
だけら、一緒にいて嬉しかったし、親しい友人もいない様な僕にも1番の友人ができたって有頂天になってて…気がつかないなんて………
だから、嫌じゃなかった…恥ずかしかってけれど…
「マリエッテ…僕は最低だな……気がつかないなんて……」
「あらあら、あらあら…どうしましょう!マリエッテの大切な主人がやっと常人並みになって下さいました。」
「マリエッテ…意地悪いよ……」
「ふふ、良いですね?お心に誰がいたか、誰がいるのか、もう目を背けなくても良いのですよ。」
マリエッテ…もう目を逸そうと思っても、もう逸せないよ。
「ヒュンに、呆れられない様にしなくちゃね?」
誠実に真心こめて、後、何かな…婚約、者になるんだとしたら何が必要か、何か婚約の手引きか何か参考書があっただろうか?
「ウリート様。何も自分だけで頑張る必要は無いのですからね?きっと婚約の手続きなんて両家で済ませるようなものですし、ご実家のアクロース家にはエーベ公爵家とゴーリッシュ侯爵家からの連絡が行っているでしょうし。」
「え!もう?」
「はい。先日、エーベ公爵家と旦那様ご夫妻での顔合わせがありましたでしょう?大体の事はそこで、又はその後の書類のやり取りで両家で進めていくものでございますから。」
婚約なんてこんなものですよ。
と、まだ未婚のマリエッテは言う。
「そう、なのか…」
やはり、何か不手際があっては申し訳ないので参考書を…
「はい!そしてこれはウリート様に必要なものでございます。」
ニコニコ、ニコニコしながら、物凄く微笑みながらマリエッテが何か手渡してきた。
「これは?」
綺麗な紙の袋に入ってる、少し重量感のあるものだけど…?
「開けてみて下さいませ。」
何処かのお店の商品のようで、紙袋には綺麗な花の絵が書かれているし、中の物を出してみると一つ一つの瓶に落ち着いた色のリボンがかけられていた。入っていたのは二つの小瓶。
一つは、蜂蜜、と書かれていてもう一つは、オイル…入用後のマッサージオイルだろうか?あまりエーベ公爵家では見ない銘柄のようだ。
「あ!ファーム家だ…!ユーリ様のご実家の蜂蜜だね?」
蜂蜜の小瓶にはファーム子爵家の家紋と名が入っている。ウリートの母がファーム家から取り入れている商品も多く、品質は申し分ない。素晴らしいお茶の時間を約束させてくれる逸品だった。
938
お気に入りに追加
2,559
あなたにおすすめの小説
幽閉王子は最強皇子に包まれる
皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。
表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた
翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」
そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。
チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。
鈍感モブは俺様主人公に溺愛される?
桃栗
BL
地味なモブがカーストトップに溺愛される、ただそれだけの話。
前作がなかなか進まないので、とりあえずリハビリ的に書きました。
ほんの少しの間お付き合い下さい。
【完結】冷血孤高と噂に聞く竜人は、俺の前じゃどうも言動が伴わない様子。
N2O
BL
愛想皆無の竜人 × 竜の言葉がわかる人間
ファンタジーしてます。
攻めが出てくるのは中盤から。
結局執着を抑えられなくなっちゃう竜人の話です。
表紙絵
⇨ろくずやこ 様 X(@Us4kBPHU0m63101)
挿絵『0 琥』
⇨からさね 様 X (@karasane03)
挿絵『34 森』
⇨くすなし 様 X(@cuth_masi)
◎独自設定、ご都合主義、素人作品です。
【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~
綾雅(要らない悪役令嬢1巻重版)
BL
「なんだ、お前。鎖で繋がれてるのかよ! ひでぇな」
洞窟の神殿に鎖で繋がれた子供は、愛情も温もりも知らずに育った。
子供が欲しかったのは、自分を抱き締めてくれる腕――誰も与えてくれない温もりをくれたのは、人間ではなくて邪神。人間に害をなすとされた破壊神は、純粋な子供に絆され、子供に名をつけて溺愛し始める。
人のフリを長く続けたが愛情を理解できなかった破壊神と、初めての愛情を貪欲に欲しがる物知らぬ子供。愛を知らぬ者同士が徐々に惹かれ合う、ひたすら甘くて切ない恋物語。
「僕ね、セティのこと大好きだよ」
【注意事項】BL、R15、性的描写あり(※印)
【重複投稿】アルファポリス、カクヨム、小説家になろう、エブリスタ
【完結】2021/9/13
※2020/11/01 エブリスタ BLカテゴリー6位
※2021/09/09 エブリスタ、BLカテゴリー2位
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
【完結】売れ残りのΩですが隠していた××をαの上司に見られてから妙に優しくされててつらい。
天城
BL
ディランは売れ残りのΩだ。貴族のΩは十代には嫁入り先が決まるが、儚さの欠片もない逞しい身体のせいか完全に婚期を逃していた。
しかもディランの身体には秘密がある。陥没乳首なのである。恥ずかしくて大浴場にもいけないディランは、結婚は諦めていた。
しかしαの上司である騎士団長のエリオットに事故で陥没乳首を見られてから、彼はとても優しく接してくれる。始めは気まずかったものの、穏やかで壮年の色気たっぷりのエリオットの声を聞いていると、落ち着かないようなむずがゆいような、不思議な感じがするのだった。
【攻】騎士団長のα・巨体でマッチョの美形(黒髪黒目の40代)×【受】売れ残りΩ副団長・細マッチョ(陥没乳首の30代・銀髪紫目・無自覚美形)色事に慣れない陥没乳首Ωを、あの手この手で囲い込み、執拗な乳首フェラで籠絡させる独占欲つよつよαによる捕獲作戦。全3話+番外2話
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる