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18 ではどこへ?
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生きていた……生きている。自分はまだ生きている……何故だか、婚約者が死亡していたと言う事実よりもナターシャが自分が生きていると言う事実の方が物凄く嬉しくてシャーリンは安堵した。
なぜだろう?こんなに親しげに手紙に気持ちまで書いていてくれたぐらいなのだから婚約者としては申し分はなかっただろうに…自分はもしかしてランストン様の事をそんなに好きではなかった?だから亡くなっていると言う事実を知ってもそんなに衝撃は受けないのかもしれない………でも、若いのに可哀想に…ナターシャに戻ったらお墓が何方にあるのかエスト様にでも尋ねてみましょう。是非ともお花の一つでも手向けて差し上げたい。
シャーリンはナターシャが生きていることを知ることはできたが、その本人が今どこにいるかまではこの場では掴めなかった。ナターシャの部屋にはまだ手紙が残っていたし本棚も確認してみたい。が、昼間は使用人が多く、人の目に付きやすいために部屋に鍵がかかっていることが知れているナターシャの部屋へ堂々と入る事もできない。
「また…夜まで待たなくてはいけないわね…」
ふぅ……ため息が出て、手慰みに持ってきたカードをパラパラとめくってみた。一枚の鮮やかな絵が描かれていたカードが目に止まる。
"こちらに来ると聞いたよ…ナターシャ。気をつけて…愛している ランストン"
綺麗な日が昇る水平線の絵だ…愛してる……なんだかズン、と心に重くのしかかってくる…ランストン様はナターシャである私をちゃんと愛して下さっていたのね……なんとも自分が情けない……
一枚一枚ゆっくり捲っていると、フワッと花の香りが香るカードがあった。昨夜ランストン様のカードと一緒に持って出たらしい。こちらは新しい物で、数ヶ月前に来た物だ…
"お元気ですか?貴方が彼方へ行かれたと聞いて数ヶ月経ちました。ご実家に戻られる際にお顔を拝見できると良いのですが。
レティーシャ・カルガン"
懐かしい、彼女らしい柔らかな文字だった。レティー、私は元気にしていますよ、今ここで……
「レティーに会えないかしら?」
シャーリンとカルガン伯爵令嬢とは顔見知り程度。個人的に交流を持った事はないと記憶している。
「いきなり…ご機嫌伺いになんて行ったらおかしいものね……」
レティーシャ伯爵令嬢に会えないのは非常に残念でしかないが、頂いたカードには大切なことが書いてある。
……彼方に行かれたと聞いて、数ヶ月……
ランストン様が亡くなったのは一年前だから、彼方に行く、と決めたのは亡くなった後……カードにはどこへとは書いていない…
「もう、家族に聞いちゃおうかしら……」
この家には使用人と、アランドしか居ないし、両親は遠い領地にいる。両親に聞くには時間がかかり過ぎるから、やっぱり…
「アランドに…………?」
そこまで考えていると、コンコン、と扉がノックされた…
「若奥様。少しご休憩なさいませんか?お茶をお入れしますので。」
「アンナ…分かったわ。片付けてから行くわ。私の部屋で頂くわ。」
ドアを開け、心配そうに覗いていたアンナだったが笑顔を返したらホッとした表情を魅せた。朝から調子の悪そうな私を気遣ってくれていて、あまり根を詰めない様に気を使っている様だ。私は一つ残らずカードと手紙をしまい片付けると自分の部屋へと戻った。
「今日は少しお早くお休みになられましたら…?」
部屋に帰ってきてからもアンナに大丈夫を連呼したんだけれど、どうにもアンナに信用されていないらしい……
ナターシャはどこだろう、とそればかりに心囚われて話しかけてくるアンナの話にも気もそぞろに生返事ばかりしていたから気分が悪いのだと思われたのかしら?
心配性のアンナのお陰で晩餐は部屋に用意してもらって、アランドにも帰宅時に私の体調不良は伝えられた。アランドは心配のあまり着替えもせずに私の部屋へ来て昨夜のお詫びと言って花束まで持って来るので、流石にびっくりしたけど。
「本当に大丈夫なのよ?アンナが心配症なだけで……」
「ノスタール伯とロワンナ嬢の結婚式がもう少しだろう?こちらの準備もあるし、体調管理はしっかりとしないと…シャーリン、何も気に病まずにゆっくりしておいて…ね?」
申し訳ないくらいにアランドが優しい……少し夕食後のお茶を一緒にして手を握って頬を撫でてキスを一つしただけで、アランドは部屋を退室してくれた。
私も慣れたのでしょうね?アランドにキスをされても恥ずかしいほど狼狽しなくなったわ……
なぜだろう?こんなに親しげに手紙に気持ちまで書いていてくれたぐらいなのだから婚約者としては申し分はなかっただろうに…自分はもしかしてランストン様の事をそんなに好きではなかった?だから亡くなっていると言う事実を知ってもそんなに衝撃は受けないのかもしれない………でも、若いのに可哀想に…ナターシャに戻ったらお墓が何方にあるのかエスト様にでも尋ねてみましょう。是非ともお花の一つでも手向けて差し上げたい。
シャーリンはナターシャが生きていることを知ることはできたが、その本人が今どこにいるかまではこの場では掴めなかった。ナターシャの部屋にはまだ手紙が残っていたし本棚も確認してみたい。が、昼間は使用人が多く、人の目に付きやすいために部屋に鍵がかかっていることが知れているナターシャの部屋へ堂々と入る事もできない。
「また…夜まで待たなくてはいけないわね…」
ふぅ……ため息が出て、手慰みに持ってきたカードをパラパラとめくってみた。一枚の鮮やかな絵が描かれていたカードが目に止まる。
"こちらに来ると聞いたよ…ナターシャ。気をつけて…愛している ランストン"
綺麗な日が昇る水平線の絵だ…愛してる……なんだかズン、と心に重くのしかかってくる…ランストン様はナターシャである私をちゃんと愛して下さっていたのね……なんとも自分が情けない……
一枚一枚ゆっくり捲っていると、フワッと花の香りが香るカードがあった。昨夜ランストン様のカードと一緒に持って出たらしい。こちらは新しい物で、数ヶ月前に来た物だ…
"お元気ですか?貴方が彼方へ行かれたと聞いて数ヶ月経ちました。ご実家に戻られる際にお顔を拝見できると良いのですが。
レティーシャ・カルガン"
懐かしい、彼女らしい柔らかな文字だった。レティー、私は元気にしていますよ、今ここで……
「レティーに会えないかしら?」
シャーリンとカルガン伯爵令嬢とは顔見知り程度。個人的に交流を持った事はないと記憶している。
「いきなり…ご機嫌伺いになんて行ったらおかしいものね……」
レティーシャ伯爵令嬢に会えないのは非常に残念でしかないが、頂いたカードには大切なことが書いてある。
……彼方に行かれたと聞いて、数ヶ月……
ランストン様が亡くなったのは一年前だから、彼方に行く、と決めたのは亡くなった後……カードにはどこへとは書いていない…
「もう、家族に聞いちゃおうかしら……」
この家には使用人と、アランドしか居ないし、両親は遠い領地にいる。両親に聞くには時間がかかり過ぎるから、やっぱり…
「アランドに…………?」
そこまで考えていると、コンコン、と扉がノックされた…
「若奥様。少しご休憩なさいませんか?お茶をお入れしますので。」
「アンナ…分かったわ。片付けてから行くわ。私の部屋で頂くわ。」
ドアを開け、心配そうに覗いていたアンナだったが笑顔を返したらホッとした表情を魅せた。朝から調子の悪そうな私を気遣ってくれていて、あまり根を詰めない様に気を使っている様だ。私は一つ残らずカードと手紙をしまい片付けると自分の部屋へと戻った。
「今日は少しお早くお休みになられましたら…?」
部屋に帰ってきてからもアンナに大丈夫を連呼したんだけれど、どうにもアンナに信用されていないらしい……
ナターシャはどこだろう、とそればかりに心囚われて話しかけてくるアンナの話にも気もそぞろに生返事ばかりしていたから気分が悪いのだと思われたのかしら?
心配性のアンナのお陰で晩餐は部屋に用意してもらって、アランドにも帰宅時に私の体調不良は伝えられた。アランドは心配のあまり着替えもせずに私の部屋へ来て昨夜のお詫びと言って花束まで持って来るので、流石にびっくりしたけど。
「本当に大丈夫なのよ?アンナが心配症なだけで……」
「ノスタール伯とロワンナ嬢の結婚式がもう少しだろう?こちらの準備もあるし、体調管理はしっかりとしないと…シャーリン、何も気に病まずにゆっくりしておいて…ね?」
申し訳ないくらいにアランドが優しい……少し夕食後のお茶を一緒にして手を握って頬を撫でてキスを一つしただけで、アランドは部屋を退室してくれた。
私も慣れたのでしょうね?アランドにキスをされても恥ずかしいほど狼狽しなくなったわ……
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