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15 我慢の結果 *

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 シャーリンの努力虚しく何故かアランドはそんな姿にも興が乗ってしまった様で………

「どうしたの……?シャーリン……いつもより、頑張ってない?…耐えてるシャーリンもたまにはいいな……可愛い……」

 違う、違うのよ!アランド、貴方を喜ばすためじゃないのよ!

「昔やった、我慢ごっこみたいだね?ふふ…どこまで我慢できるか試す?」

 待ってったら!それはくすぐりっこだったじゃない!これとは全然感覚が違うわ!!
ブンブン首を振っているにもかかわらず、どこ吹く風でアランドは取り合ってもくれない。クスクス、クスクスいつもこんなに笑わないのに、今夜は子供に戻ったみたいに笑っている。やってる事はお遊びなんて言われたくはないんだけど………!
 
 あろう事かアランドはシャーリンの夜着の前紐を解いてしまってスルリと素手が中に入ってくる。

「!?」

 熱い、熱いアランドの手…お酒が入ってきるせいで体温も上がっているんだとは思うけど、少し冷え性のシャーリンからは十分に熱く感じてしまう…

「…ぁっ……」

 スルッと腰から下にまでアランドの手が滑る。

「はぁ……シャーリンの肌は気持ちが良いな…今日は少し冷んやりしてて、それでも手に吸い付く様にしっとりしてる……」

 胸元に舌を這わせ始めたアランドが腰回りを何度も撫で撫でしてて…

 もう…!もう!アランドが信じられない…!普段こんな事を絶対に言わないじゃない!

「柔らかいな……シャーリン……ずっとこうしていたい……………」

 アランドはそう言ってギュウッと抱きしめて来た…

 お願いだから、アランド…それは本当のシャーリンに言ってあげて欲しい…!

「アランド……お願い…一度離して……」

 自分の身体よりも大きな男性にのし掛かられているのだから、もうそれだけで重くて身動きが取れない…

「アランド……。ねぇ?アランド…?ちょっと、どうしたの……?」

 あれだけ、ゴソゴソ、モソモソ動いていたアランドの動きがピタリと止まった。

「アランド…?」
 
 何度かの問いかけには全て、スゥー、スゥーと寝息が返って来る。

「寝てるの……?」

 流石に酒には弱いアランドだ……寝てくれてシャーリンはホッとため息を吐く…
が、ここからが大変だった。身動きも出来ない程の大きな体で押さえつけられているものだからシャーリンもこのままでは苦しい。なんとか抜け出そうにもやはりアランドの身体はびくともしない…
 結局、アランドが寝返りを打って仰向けになるまで、シャーリンはアランドの身体の下でもがいていなければならなかった。
 
 やっと抜け出せたシャーリンの姿は悲惨なもので、夜着の前は全て解けてしまっているし、髪はグシャグシャ…なんとか抜け出そうと格闘した為に全身汗びっしょりという、侯爵家の奥方や令嬢とはかけ離れた乱れた格好になっていた。

 なんて事…………

 自分の姿を見下ろせば、今まで何をしてたのかと頭が痛くなるほど恥ずかしいものだった。それも弟と……

「寝てくれて………良かった…………」

 あのままだったら自分はどうなってしまっていたのか、には想像もつかない事だったから…

「………鍵を……」

 火照った頬は未だに冷めてはいなかったけれど、本来の目的である鍵をアランドから貸してもらわなければ…

 1つ、2つ…深呼吸をしてゆっくりアランドに歩み寄る。

 アランドは静かな寝息を立てて、身動き一つしないで寝入っている。そっと頬を突いても身動ぎ一つしない。

「アランド…少し、借りるわね?」

 騙したことへの罪悪感が湧き上がるが、アランドの夜着の前を寛げれば、先程の痴態が一気に蘇って来て罪悪感どころでは無くなった。 

 大人の男性になったアランドの胸元は引き締まった張りのある艶やかな皮膚が覆っている。つい先程までこの胸の下にいたと思うと、恥ずかしさで居た堪れないが、目的、目的…!と鍵だけに集中してアランドの胸をはだけさせた…

「…あった……」

 アランドの首から極細いチェーンを通された鍵が2つ…1つは金庫、もう1つは執務室の机の引き出しだ。幼い頃、父にも同じ物を見せてもらったことがあってそれと同じ物だ。

 そうっとアランドの頭を支えてチェーンを首から外す…アランドの服は胸元を合わせるだけにして掛け布団を胸まで上げておいた。

 ホッと安堵のため息がシャーリンから漏れ出る…

「すぐに返すわね?アランド、私もちゃんと愛してるのよ?」

 姉としてね?こんな事はしたく無かったけど…

 心からの謝罪を視線に込めてシャーリンはそっと部屋を後にした。
 
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