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8 一緒に
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イライザ伯爵夫人の言葉は重く、重く私の心にも降りかかってきて、夫婦の関係って、家族のそれとはまた別で奥深いものだと知る機会ともなった。
帰りの馬車の中では、夫の趣味に応える事も必要と言う言葉がグルグルと回っていて、アランドはどんな趣味を持っているのか、と気になって仕方がなかった。
チラッとアランドの様子を盗み見るように伺う…そんな事をしても何にも見えてこない…
目線を受け止めたアランドがフワリと笑顔を返してくれるくらいだ。
「シャーリン、楽しかったかい?」
エスコートは終わってるのに馬車の中でもアランドは手を離してくれなくて、隣に座った今も、時折にぎったり撫でてみたりと触れてくる。
「ええ、久しぶりに会えたのだもの。」
実際はどれ位ぶりだろうか?それさえも今の私には分からない。一年前の事も分からない…お二方が言うには、シャーリンが悲しむことがあったのね?それも、日記にあったノスタール伯爵が関わっている…?だめだ…まだ何にも見えてこないわ…
ふぅ…思わず、ため息が出てしまう。このお茶会でナターシャの名前さえ出なかった。自分からナターシャはどうしている?なんて、家族なのにおかしすぎる質問なんて出来ないし…悶々と行き詰まり感に心が焦りそうで……
「シャーリン……?」
アランドが握っていた手を引いた。
「え、なあに?」
引いた手をそのままアランドの口に持っていく。
アランド~~!?
チュッチュッと数回素肌にキスを落とすものだから、柔らかな、少し冷んやりとした唇の感触が直に肌に伝わって…思わずピクリ、と肩が震えてしまった…
もう、もう!この子は!そんなはしたない事を!って言いそうになるけど、夫婦なのよ、夫婦……と心の中で呪文の様に唱えてやり過ごそうとする。
どこまでのスキンシップが普通の夫婦なのか、アランドとシャーリンの普通って何なのか全く分からないんだけど、きっと、こんなスキンシップを全て断ってはダメなのよね?それは、何となく分かるわ……
「ふふ、シャーリン…真っ赤になってる…恥ずかしかったの?可愛い……」
熱くなった私の顔を見て、何でかアランドまで頬を染めて潤んだ瞳で見つめてきて、酷くうれしそうにしているじゃないの。子供の様な無邪気な笑顔じゃなくて、何と言うか、色気がある?艶かしい?そんな言葉で表現するならアランドのこんな顔……
「か、可愛くなんてないわ…皆様貴方の事を褒めていたもの…」
そう、アランドの容姿は一見の価値あり。そこは私も大いに認めたいと思う所だもの。
「え、僕を?」
おや?何故?とキョトンとした顔でアランドは見つめ返して来る。
「相変わらず素敵な旦那様ですねって……」
「ふ~~ん。そうなのかい?」
あら?おやおや?アランドったら全くと言っていいほど関心が無さそうね?あれ?昔は良くどこぞのご令嬢に招待されたとか、今日は何人にダンスを申し込まれたとか…横で聞いていたら自慢話の様なものばかりしていた様に記憶しているのだけど…?
「まぁ、褒められて嬉しくはないの?」
「嬉しい?僕が?何故?」
逆に質問されてしまったわ?
「だって褒められてよ?」
「だから、それは前にも言ったよ?シャーリン…僕は君だけに関心を持って貰えればそれでいいんだ。君が褒めてくれるなら物凄く嬉しいな…僕は、君のものだから。」
歯の浮くような、台詞って……きっとこれを言うんでしょうね……確かに、貴方は素敵だと思うの…姉の目線から見ても物凄く…けど、その台詞は姉としては頂けないわ……アランド、私がシャーリンじゃなくてごめんなさい……
私はどんな顔をしていただろうか?弟からの恥ずかしい告白を受けて、なんて答えたらいいものか分からなくて、きっと凄く困った顔をしていたに違いないんだけど……
「君が、まだ心配をしてしまうのも十分に分かるよ。あれだけ仲がよかったんだから…でも、僕も君の事となるといつも真剣だっただろう?」
そう言うアランドの目は私を捉えて離してくれそうになかった。
なんだか、ゾクリ、とする。
「ええ…」
多分…分からないんだけど、こう応えるより他ないわよね?シャーリンがアランドを疑っている様には見せられないもの…
「良かった…僕がいつも君に真剣だと分かってもらえたみたいで…」
一瞬目が笑ってなかったみたいに見えたけど、私が答えた後にはいつもの様にフワリと笑った。
「じゃあシャーリン、今日は一緒に寝ようか?」
「はい?」
何と、言ったのかしら?アランド?
今も正に私の手の甲にチュッチュッとキスを落としているアランドをただ、凝視してしまったわ…さっきは身体が震えてしまっていたこのキスにも動じぬくらい破壊力がある事を言われましたね?
私の疑問符はどこへやら…了承と捉えられたのか、いつもよりも幸せそうに笑っているアランドの顔は見間違えであって欲しい……………
帰りの馬車の中では、夫の趣味に応える事も必要と言う言葉がグルグルと回っていて、アランドはどんな趣味を持っているのか、と気になって仕方がなかった。
チラッとアランドの様子を盗み見るように伺う…そんな事をしても何にも見えてこない…
目線を受け止めたアランドがフワリと笑顔を返してくれるくらいだ。
「シャーリン、楽しかったかい?」
エスコートは終わってるのに馬車の中でもアランドは手を離してくれなくて、隣に座った今も、時折にぎったり撫でてみたりと触れてくる。
「ええ、久しぶりに会えたのだもの。」
実際はどれ位ぶりだろうか?それさえも今の私には分からない。一年前の事も分からない…お二方が言うには、シャーリンが悲しむことがあったのね?それも、日記にあったノスタール伯爵が関わっている…?だめだ…まだ何にも見えてこないわ…
ふぅ…思わず、ため息が出てしまう。このお茶会でナターシャの名前さえ出なかった。自分からナターシャはどうしている?なんて、家族なのにおかしすぎる質問なんて出来ないし…悶々と行き詰まり感に心が焦りそうで……
「シャーリン……?」
アランドが握っていた手を引いた。
「え、なあに?」
引いた手をそのままアランドの口に持っていく。
アランド~~!?
チュッチュッと数回素肌にキスを落とすものだから、柔らかな、少し冷んやりとした唇の感触が直に肌に伝わって…思わずピクリ、と肩が震えてしまった…
もう、もう!この子は!そんなはしたない事を!って言いそうになるけど、夫婦なのよ、夫婦……と心の中で呪文の様に唱えてやり過ごそうとする。
どこまでのスキンシップが普通の夫婦なのか、アランドとシャーリンの普通って何なのか全く分からないんだけど、きっと、こんなスキンシップを全て断ってはダメなのよね?それは、何となく分かるわ……
「ふふ、シャーリン…真っ赤になってる…恥ずかしかったの?可愛い……」
熱くなった私の顔を見て、何でかアランドまで頬を染めて潤んだ瞳で見つめてきて、酷くうれしそうにしているじゃないの。子供の様な無邪気な笑顔じゃなくて、何と言うか、色気がある?艶かしい?そんな言葉で表現するならアランドのこんな顔……
「か、可愛くなんてないわ…皆様貴方の事を褒めていたもの…」
そう、アランドの容姿は一見の価値あり。そこは私も大いに認めたいと思う所だもの。
「え、僕を?」
おや?何故?とキョトンとした顔でアランドは見つめ返して来る。
「相変わらず素敵な旦那様ですねって……」
「ふ~~ん。そうなのかい?」
あら?おやおや?アランドったら全くと言っていいほど関心が無さそうね?あれ?昔は良くどこぞのご令嬢に招待されたとか、今日は何人にダンスを申し込まれたとか…横で聞いていたら自慢話の様なものばかりしていた様に記憶しているのだけど…?
「まぁ、褒められて嬉しくはないの?」
「嬉しい?僕が?何故?」
逆に質問されてしまったわ?
「だって褒められてよ?」
「だから、それは前にも言ったよ?シャーリン…僕は君だけに関心を持って貰えればそれでいいんだ。君が褒めてくれるなら物凄く嬉しいな…僕は、君のものだから。」
歯の浮くような、台詞って……きっとこれを言うんでしょうね……確かに、貴方は素敵だと思うの…姉の目線から見ても物凄く…けど、その台詞は姉としては頂けないわ……アランド、私がシャーリンじゃなくてごめんなさい……
私はどんな顔をしていただろうか?弟からの恥ずかしい告白を受けて、なんて答えたらいいものか分からなくて、きっと凄く困った顔をしていたに違いないんだけど……
「君が、まだ心配をしてしまうのも十分に分かるよ。あれだけ仲がよかったんだから…でも、僕も君の事となるといつも真剣だっただろう?」
そう言うアランドの目は私を捉えて離してくれそうになかった。
なんだか、ゾクリ、とする。
「ええ…」
多分…分からないんだけど、こう応えるより他ないわよね?シャーリンがアランドを疑っている様には見せられないもの…
「良かった…僕がいつも君に真剣だと分かってもらえたみたいで…」
一瞬目が笑ってなかったみたいに見えたけど、私が答えた後にはいつもの様にフワリと笑った。
「じゃあシャーリン、今日は一緒に寝ようか?」
「はい?」
何と、言ったのかしら?アランド?
今も正に私の手の甲にチュッチュッとキスを落としているアランドをただ、凝視してしまったわ…さっきは身体が震えてしまっていたこのキスにも動じぬくらい破壊力がある事を言われましたね?
私の疑問符はどこへやら…了承と捉えられたのか、いつもよりも幸せそうに笑っているアランドの顔は見間違えであって欲しい……………
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