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手を取る喜び
10 開花 5
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「シャイリー……!」
執務室に訪室して来た人物を見た公主トライトスは思わず声を上げた。
「お仕事中失礼致します。」
「どうしたのだ?呼べば私が訪ねたのに…?」
あぁ、トライトス様まで、やはりそんな事……
シャイリーはまたもや苦笑を漏らす。
「トライトス様。わざわざ私の所に来て頂かなくても大丈夫です。見てくださいませ?もう自分でもしっかりと歩けますのよ?」
「…そうか。しかし、身体が辛くはならないか?」
急いでシャイリーの元に歩いてきたトライトスはシャイリーの手を取りソファーへとエスコートする。
「ええ。そうならない様にゆっくりと歩いていますもの。」
「寒くはないか?」
直ぐに掛け物を持って来る様に執務室の侍従に命ずると、トライトスは狐の毛皮を取ってきてシャイリーの膝にかけてくれた。
「まぁ!大事な毛皮でしょうに…!」
この狐との経緯は神官ホートネルからも聞いている。バルビス帝国創立者にとってもトライトスにとっても大切な物だろうに…
「ふふふ、シャイリーもこれを気に入っているのだろう?お前に使って貰えば嬉しいだろうからな。」
ホートネルから全てを聞いているからこそ、トライトスは時折こんな事を言う。だからシャイリーは遠慮も無くバルビス公主家の守り神となっている艶々でサラサラとした狐の毛皮に触らせてもらえているのだ。
「ええ、私の方こそお世話になりましたから。」
「それで、シャイリーどうしたのだ?わざわざ執務室にまで来なくても…」
「ふふ、城内でのお散歩を兼ねてここまで来てみたのです。」
白狐の毛皮の側にいた時にはトライトスと共に広い城内を移動していたものだが、シャイリーは未だ自分の足では歩いてみた事がなかった。動き回れる体力が戻ってきたのだから、是非とも自分の足で歩いてみたかった。
「そうか。」
「トライトス様。」
そしてもう一つの目的。
「ん?」
「こちらをお渡しくださいませんか?」
シャイリーが出してきた物は2通の手紙だ。
1通は祖国であるアールスト王国宛の、もう1通は神官ホートネルに宛てた物だ。
執務室に訪室して来た人物を見た公主トライトスは思わず声を上げた。
「お仕事中失礼致します。」
「どうしたのだ?呼べば私が訪ねたのに…?」
あぁ、トライトス様まで、やはりそんな事……
シャイリーはまたもや苦笑を漏らす。
「トライトス様。わざわざ私の所に来て頂かなくても大丈夫です。見てくださいませ?もう自分でもしっかりと歩けますのよ?」
「…そうか。しかし、身体が辛くはならないか?」
急いでシャイリーの元に歩いてきたトライトスはシャイリーの手を取りソファーへとエスコートする。
「ええ。そうならない様にゆっくりと歩いていますもの。」
「寒くはないか?」
直ぐに掛け物を持って来る様に執務室の侍従に命ずると、トライトスは狐の毛皮を取ってきてシャイリーの膝にかけてくれた。
「まぁ!大事な毛皮でしょうに…!」
この狐との経緯は神官ホートネルからも聞いている。バルビス帝国創立者にとってもトライトスにとっても大切な物だろうに…
「ふふふ、シャイリーもこれを気に入っているのだろう?お前に使って貰えば嬉しいだろうからな。」
ホートネルから全てを聞いているからこそ、トライトスは時折こんな事を言う。だからシャイリーは遠慮も無くバルビス公主家の守り神となっている艶々でサラサラとした狐の毛皮に触らせてもらえているのだ。
「ええ、私の方こそお世話になりましたから。」
「それで、シャイリーどうしたのだ?わざわざ執務室にまで来なくても…」
「ふふ、城内でのお散歩を兼ねてここまで来てみたのです。」
白狐の毛皮の側にいた時にはトライトスと共に広い城内を移動していたものだが、シャイリーは未だ自分の足では歩いてみた事がなかった。動き回れる体力が戻ってきたのだから、是非とも自分の足で歩いてみたかった。
「そうか。」
「トライトス様。」
そしてもう一つの目的。
「ん?」
「こちらをお渡しくださいませんか?」
シャイリーが出してきた物は2通の手紙だ。
1通は祖国であるアールスト王国宛の、もう1通は神官ホートネルに宛てた物だ。
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