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17 良く来られる様です

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「あの人達、どこから来たのかしら?」

 未だにラントの腕に抱きしめられながらポツリと呟く。

「森の向こうからだろうね?」

「そうなの、前も…私の事をおかしいと思わないでね?」

 今日あった事を振り返りながら、カトリーヌに出会った時の事をラントに話す。

 みんな森の外からやって来る。それは良いわよね?ここ、森からしか来れないんだもの。

「…以前にも人が来ているのは見たことあるよ?」

「え?ラントも?あなたもなの?話はした?どんな人?」

「残念ながら、僕は話せなかったんだ…」

「そうなの?では…その人達が何を求めているか知っている?」

「思い出かな?」

 ラントから思いもがけない言葉を聞いた。この人達の事、知らないって言ってたのに?

「ラーシャの話を聞いていてね、そうかな、と。」

「そうね、私では無い他の人に向かって話していたもの…」

「思い出に向かって?」

「そんな、感じかしら?楽しいことと言うよりは謝りたい、とか、申し訳ないって言う内容だけど…」

「彼らは何か、誰かに伝えたい事があるんだね。」

「……そう…そうね、それ、しっくり来るわ。」

 顔を上げてラントを見上げる。いつも優しい顔が、今日も一段と優しく微笑んでくれるのが何よりの救いね…優しい旦那がいて、子供達にも恵まれて、申し分ない生活をしている。裕福ではないけど、慌ただしいほど忙しいけど、いつもそれが楽しいもの。

 少しくらい、こんな不思議な事があったって、家族が居なくなる訳でも何でもないわ!
あちらの人達だって、大切な人が居たからこそ伝えたいのでしょうし…
 無駄に怖がる必要ないかも……?慣れれば?大丈夫になるのかしら?

「ねぇ、ラント?」

「ん?」

「私、ラッキービーナに会えるかしら?」

 何度も思い出そうとしても出てこない答え。でも、沢山の人達がラッキービーナに願いを伝えようとしている…そして、ここに誰かを求めて来る人達が居る……

「………ラーシャ、きっと、きっと会えるよ…」
 
 ラントは柔らかく静かに言葉を紡いで、ゆっくりとまた抱きしめてくれたわ……
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