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本編
15歳-11
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カーメムー侯爵家は取り潰しとなった。
今回の騒動に加え、カマドゥラ子爵との繋がりを改めて問われ、徹底的にやり込められていた。
王族怖ぇ。
他にも会長狙いで騒動を起こした数人の貴族子息達も、程度の差で停学からお家断絶まで、其々の刑に伏した。見せしめと忠告を込めて、結構大々的に捌かれていた。お陰で今、貴族間では一般教育に熱が入っているらしい。
そりゃそうだよな。自分の子が馬鹿な所為で自分の首が絞められちゃ堪ったもんじゃない。つか遅えよ。もっと早く気付けし。
「しっかし、会長とミシェル嬢が恋仲だったとわ」
学園としても捜査や警備に力を入れたお陰で、生徒会も落ち着きを取り戻した。
まったりのほほんとした生徒会室で、俺は紅茶を嗜みながら会長とミシェル嬢を意外な顔で見た。
「いや、俺は会長のこの顔が信じられん。世の中に本当に人形の様な可愛らしい人間が存在するなんて」
「それもこれで男ですか。世の女性達が知れば嘆きますね」
ヴァンとジミーは会長から瓶底眼鏡を奪い、前髪掻き上げてまぢまぢと見てる。うぅむ、デイヴの時と違って俺の体は不調にならん。
チラリとデイヴを見れば、気付いたデイヴがフワリと微笑む。うん。可愛いが過ぎる。
最近可愛さが目に余る様になったデイヴは、事ある毎にフワリと天使の微笑みをくれ、俺の心臓を撃ち落としにきてる。
ケイリー曰く「いや、可愛くないから。王子のキラキラスマイルだから」と言うが、どう見ても可愛いと思う。きっと男と女の感性の違いというやつに違いない。今度レク達にも聞いてみようと思う。
「っく!こんな所に隠しキャラがいたのねっ」
「隠しキャラ?」
レクを見れば丁度苦悩に悶絶しているケイリーを介抱?しながら首を傾げている所だった。
……隠しキャラ?って俺も何それ状態で首を傾げる。
「あの、申し訳無いのですが、この事は内密にして頂けないでしょうか。
ルキアーノ会長は素顔を晒しますと変た、変じ、えっと変わった思考の殿方に狙われてしまいますの」
ミシェル嬢が困り眉毛で頬に手を当て、「ふぅ」っとしなやかな動作で溜息をついた。
話を聞くに、どうやら幼少期より幾度となく会長は変態(ミシェル嬢は言葉を濁していたが)や変人(ミシェル嬢は以下略)に貞操を狙われ続けていたらしい。それを阻止すべく今のモサ男風味に仕上げたのがミシェル嬢と会長の家族。お陰で平和に過ごしてきたが、残念な事に偶々瓶底眼鏡を外し、濡れ髪を掻き上げ乾かしていたというラッキースケベをカーメムー元侯爵子息他に目撃されてしまった。
後は結果を御覧じろう、ってなもんで。
「何ていうか。案外カーメムー達も被害者、と言えなくもないのかね」
会長の美少女振りは犯罪級。
俺は遠い目で加害者となった被害者達に静かに合掌を送るのだった。
「さてと、事件も無くなったし、そろそろお暇しようか」
お茶も美味しく頂いたし、帰ろうと席を立った。
「「「え?」」」
茶器を片付け始めれば、生徒会メンバーが異口同音に驚きの声を上げる。
何故驚かれるし。ついうっかり片付け途中の間抜けな姿勢で固っちまったじゃん。
「他に何か有りましたか?」
一旦片付けを中断して会長に向き直る。
会長は物言いたげに上目遣いで見上げていた。
「あの、出来ましたらこのまま時期生徒会候補として残って頂けないでしょうか。
あ、勿論殿下方が御政務でお忙しいのは存じております。されどせめてオルティス殿とレク殿、モーリス嬢だけでもお力添いを頂きたいと思っているのです」
なんと推薦されちゃったよ。
この学園の生徒会は、前期生徒会の推薦と、教師の会議で決められる。生徒による投票制度は無い。そもそも投票というシステム自体が殆ど無い。王権制度なら普通なんだろうけど、それで問題が起きないのは異世界ゆえなんだろうか。
「会長……。
本っ当にアレックスに生徒会任せちゃうんですか!?学園崩壊させる気!?」
「オイコラケイリーさんや」
「アレックスが、会長……?
どうしよう。今から全校生徒に戦闘訓練して間に合うだろうか……」
「ちょいとレク君?」
「あははは!アレクが生徒会か、それは良いね。きっと今より学園が楽しくなる」
「デイヴが何でそんなに快活に笑ってるのかはさて置き、楽しくは保証しよう」
「強者が増えるのは歓迎だぜ」
「ヴァンよ、それは俺も大歓迎だ」
「やめてください。後生ですからこれ以上仕事を増やさないでください」
「ジミー……疲れてるんだな、ゆっくり休め?」
其々言いたい放題の友人達に、其々ツッコミをする。
ジミーはヴァンが介抱するから問題ないとして、結局俺は歓迎されていないのかされているのかどっちだ?
「今回、臨時とはいえ貴殿の手腕を垣間見る事が出来ました。来期生徒会として相応しいのはオルティス殿を置いて他におりません」
「手放しで褒めてくださるのはありがたいですが、流石に言い過ぎかと。私などはまだまだ修行中の身ですから」
キラキラした目で見上げる会長には悪いけど、俺は冒険者活動のが楽しいし、ぶっちゃけ生徒会活動に興味が無い。よって丁重にお断りした。
生徒会メンバーはこの世の終わりな顔で悲しみに暮れたが、レクとケイリーとジミーは明らかにホッとした顔で安堵の息を吐いている。
あれかな?いぢめて欲しいのかな?
今回の騒動に加え、カマドゥラ子爵との繋がりを改めて問われ、徹底的にやり込められていた。
王族怖ぇ。
他にも会長狙いで騒動を起こした数人の貴族子息達も、程度の差で停学からお家断絶まで、其々の刑に伏した。見せしめと忠告を込めて、結構大々的に捌かれていた。お陰で今、貴族間では一般教育に熱が入っているらしい。
そりゃそうだよな。自分の子が馬鹿な所為で自分の首が絞められちゃ堪ったもんじゃない。つか遅えよ。もっと早く気付けし。
「しっかし、会長とミシェル嬢が恋仲だったとわ」
学園としても捜査や警備に力を入れたお陰で、生徒会も落ち着きを取り戻した。
まったりのほほんとした生徒会室で、俺は紅茶を嗜みながら会長とミシェル嬢を意外な顔で見た。
「いや、俺は会長のこの顔が信じられん。世の中に本当に人形の様な可愛らしい人間が存在するなんて」
「それもこれで男ですか。世の女性達が知れば嘆きますね」
ヴァンとジミーは会長から瓶底眼鏡を奪い、前髪掻き上げてまぢまぢと見てる。うぅむ、デイヴの時と違って俺の体は不調にならん。
チラリとデイヴを見れば、気付いたデイヴがフワリと微笑む。うん。可愛いが過ぎる。
最近可愛さが目に余る様になったデイヴは、事ある毎にフワリと天使の微笑みをくれ、俺の心臓を撃ち落としにきてる。
ケイリー曰く「いや、可愛くないから。王子のキラキラスマイルだから」と言うが、どう見ても可愛いと思う。きっと男と女の感性の違いというやつに違いない。今度レク達にも聞いてみようと思う。
「っく!こんな所に隠しキャラがいたのねっ」
「隠しキャラ?」
レクを見れば丁度苦悩に悶絶しているケイリーを介抱?しながら首を傾げている所だった。
……隠しキャラ?って俺も何それ状態で首を傾げる。
「あの、申し訳無いのですが、この事は内密にして頂けないでしょうか。
ルキアーノ会長は素顔を晒しますと変た、変じ、えっと変わった思考の殿方に狙われてしまいますの」
ミシェル嬢が困り眉毛で頬に手を当て、「ふぅ」っとしなやかな動作で溜息をついた。
話を聞くに、どうやら幼少期より幾度となく会長は変態(ミシェル嬢は言葉を濁していたが)や変人(ミシェル嬢は以下略)に貞操を狙われ続けていたらしい。それを阻止すべく今のモサ男風味に仕上げたのがミシェル嬢と会長の家族。お陰で平和に過ごしてきたが、残念な事に偶々瓶底眼鏡を外し、濡れ髪を掻き上げ乾かしていたというラッキースケベをカーメムー元侯爵子息他に目撃されてしまった。
後は結果を御覧じろう、ってなもんで。
「何ていうか。案外カーメムー達も被害者、と言えなくもないのかね」
会長の美少女振りは犯罪級。
俺は遠い目で加害者となった被害者達に静かに合掌を送るのだった。
「さてと、事件も無くなったし、そろそろお暇しようか」
お茶も美味しく頂いたし、帰ろうと席を立った。
「「「え?」」」
茶器を片付け始めれば、生徒会メンバーが異口同音に驚きの声を上げる。
何故驚かれるし。ついうっかり片付け途中の間抜けな姿勢で固っちまったじゃん。
「他に何か有りましたか?」
一旦片付けを中断して会長に向き直る。
会長は物言いたげに上目遣いで見上げていた。
「あの、出来ましたらこのまま時期生徒会候補として残って頂けないでしょうか。
あ、勿論殿下方が御政務でお忙しいのは存じております。されどせめてオルティス殿とレク殿、モーリス嬢だけでもお力添いを頂きたいと思っているのです」
なんと推薦されちゃったよ。
この学園の生徒会は、前期生徒会の推薦と、教師の会議で決められる。生徒による投票制度は無い。そもそも投票というシステム自体が殆ど無い。王権制度なら普通なんだろうけど、それで問題が起きないのは異世界ゆえなんだろうか。
「会長……。
本っ当にアレックスに生徒会任せちゃうんですか!?学園崩壊させる気!?」
「オイコラケイリーさんや」
「アレックスが、会長……?
どうしよう。今から全校生徒に戦闘訓練して間に合うだろうか……」
「ちょいとレク君?」
「あははは!アレクが生徒会か、それは良いね。きっと今より学園が楽しくなる」
「デイヴが何でそんなに快活に笑ってるのかはさて置き、楽しくは保証しよう」
「強者が増えるのは歓迎だぜ」
「ヴァンよ、それは俺も大歓迎だ」
「やめてください。後生ですからこれ以上仕事を増やさないでください」
「ジミー……疲れてるんだな、ゆっくり休め?」
其々言いたい放題の友人達に、其々ツッコミをする。
ジミーはヴァンが介抱するから問題ないとして、結局俺は歓迎されていないのかされているのかどっちだ?
「今回、臨時とはいえ貴殿の手腕を垣間見る事が出来ました。来期生徒会として相応しいのはオルティス殿を置いて他におりません」
「手放しで褒めてくださるのはありがたいですが、流石に言い過ぎかと。私などはまだまだ修行中の身ですから」
キラキラした目で見上げる会長には悪いけど、俺は冒険者活動のが楽しいし、ぶっちゃけ生徒会活動に興味が無い。よって丁重にお断りした。
生徒会メンバーはこの世の終わりな顔で悲しみに暮れたが、レクとケイリーとジミーは明らかにホッとした顔で安堵の息を吐いている。
あれかな?いぢめて欲しいのかな?
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