38 / 44
本編
15歳-11
しおりを挟む
カーメムー侯爵家は取り潰しとなった。
今回の騒動に加え、カマドゥラ子爵との繋がりを改めて問われ、徹底的にやり込められていた。
王族怖ぇ。
他にも会長狙いで騒動を起こした数人の貴族子息達も、程度の差で停学からお家断絶まで、其々の刑に伏した。見せしめと忠告を込めて、結構大々的に捌かれていた。お陰で今、貴族間では一般教育に熱が入っているらしい。
そりゃそうだよな。自分の子が馬鹿な所為で自分の首が絞められちゃ堪ったもんじゃない。つか遅えよ。もっと早く気付けし。
「しっかし、会長とミシェル嬢が恋仲だったとわ」
学園としても捜査や警備に力を入れたお陰で、生徒会も落ち着きを取り戻した。
まったりのほほんとした生徒会室で、俺は紅茶を嗜みながら会長とミシェル嬢を意外な顔で見た。
「いや、俺は会長のこの顔が信じられん。世の中に本当に人形の様な可愛らしい人間が存在するなんて」
「それもこれで男ですか。世の女性達が知れば嘆きますね」
ヴァンとジミーは会長から瓶底眼鏡を奪い、前髪掻き上げてまぢまぢと見てる。うぅむ、デイヴの時と違って俺の体は不調にならん。
チラリとデイヴを見れば、気付いたデイヴがフワリと微笑む。うん。可愛いが過ぎる。
最近可愛さが目に余る様になったデイヴは、事ある毎にフワリと天使の微笑みをくれ、俺の心臓を撃ち落としにきてる。
ケイリー曰く「いや、可愛くないから。王子のキラキラスマイルだから」と言うが、どう見ても可愛いと思う。きっと男と女の感性の違いというやつに違いない。今度レク達にも聞いてみようと思う。
「っく!こんな所に隠しキャラがいたのねっ」
「隠しキャラ?」
レクを見れば丁度苦悩に悶絶しているケイリーを介抱?しながら首を傾げている所だった。
……隠しキャラ?って俺も何それ状態で首を傾げる。
「あの、申し訳無いのですが、この事は内密にして頂けないでしょうか。
ルキアーノ会長は素顔を晒しますと変た、変じ、えっと変わった思考の殿方に狙われてしまいますの」
ミシェル嬢が困り眉毛で頬に手を当て、「ふぅ」っとしなやかな動作で溜息をついた。
話を聞くに、どうやら幼少期より幾度となく会長は変態(ミシェル嬢は言葉を濁していたが)や変人(ミシェル嬢は以下略)に貞操を狙われ続けていたらしい。それを阻止すべく今のモサ男風味に仕上げたのがミシェル嬢と会長の家族。お陰で平和に過ごしてきたが、残念な事に偶々瓶底眼鏡を外し、濡れ髪を掻き上げ乾かしていたというラッキースケベをカーメムー元侯爵子息他に目撃されてしまった。
後は結果を御覧じろう、ってなもんで。
「何ていうか。案外カーメムー達も被害者、と言えなくもないのかね」
会長の美少女振りは犯罪級。
俺は遠い目で加害者となった被害者達に静かに合掌を送るのだった。
「さてと、事件も無くなったし、そろそろお暇しようか」
お茶も美味しく頂いたし、帰ろうと席を立った。
「「「え?」」」
茶器を片付け始めれば、生徒会メンバーが異口同音に驚きの声を上げる。
何故驚かれるし。ついうっかり片付け途中の間抜けな姿勢で固っちまったじゃん。
「他に何か有りましたか?」
一旦片付けを中断して会長に向き直る。
会長は物言いたげに上目遣いで見上げていた。
「あの、出来ましたらこのまま時期生徒会候補として残って頂けないでしょうか。
あ、勿論殿下方が御政務でお忙しいのは存じております。されどせめてオルティス殿とレク殿、モーリス嬢だけでもお力添いを頂きたいと思っているのです」
なんと推薦されちゃったよ。
この学園の生徒会は、前期生徒会の推薦と、教師の会議で決められる。生徒による投票制度は無い。そもそも投票というシステム自体が殆ど無い。王権制度なら普通なんだろうけど、それで問題が起きないのは異世界ゆえなんだろうか。
「会長……。
本っ当にアレックスに生徒会任せちゃうんですか!?学園崩壊させる気!?」
「オイコラケイリーさんや」
「アレックスが、会長……?
どうしよう。今から全校生徒に戦闘訓練して間に合うだろうか……」
「ちょいとレク君?」
「あははは!アレクが生徒会か、それは良いね。きっと今より学園が楽しくなる」
「デイヴが何でそんなに快活に笑ってるのかはさて置き、楽しくは保証しよう」
「強者が増えるのは歓迎だぜ」
「ヴァンよ、それは俺も大歓迎だ」
「やめてください。後生ですからこれ以上仕事を増やさないでください」
「ジミー……疲れてるんだな、ゆっくり休め?」
其々言いたい放題の友人達に、其々ツッコミをする。
ジミーはヴァンが介抱するから問題ないとして、結局俺は歓迎されていないのかされているのかどっちだ?
「今回、臨時とはいえ貴殿の手腕を垣間見る事が出来ました。来期生徒会として相応しいのはオルティス殿を置いて他におりません」
「手放しで褒めてくださるのはありがたいですが、流石に言い過ぎかと。私などはまだまだ修行中の身ですから」
キラキラした目で見上げる会長には悪いけど、俺は冒険者活動のが楽しいし、ぶっちゃけ生徒会活動に興味が無い。よって丁重にお断りした。
生徒会メンバーはこの世の終わりな顔で悲しみに暮れたが、レクとケイリーとジミーは明らかにホッとした顔で安堵の息を吐いている。
あれかな?いぢめて欲しいのかな?
今回の騒動に加え、カマドゥラ子爵との繋がりを改めて問われ、徹底的にやり込められていた。
王族怖ぇ。
他にも会長狙いで騒動を起こした数人の貴族子息達も、程度の差で停学からお家断絶まで、其々の刑に伏した。見せしめと忠告を込めて、結構大々的に捌かれていた。お陰で今、貴族間では一般教育に熱が入っているらしい。
そりゃそうだよな。自分の子が馬鹿な所為で自分の首が絞められちゃ堪ったもんじゃない。つか遅えよ。もっと早く気付けし。
「しっかし、会長とミシェル嬢が恋仲だったとわ」
学園としても捜査や警備に力を入れたお陰で、生徒会も落ち着きを取り戻した。
まったりのほほんとした生徒会室で、俺は紅茶を嗜みながら会長とミシェル嬢を意外な顔で見た。
「いや、俺は会長のこの顔が信じられん。世の中に本当に人形の様な可愛らしい人間が存在するなんて」
「それもこれで男ですか。世の女性達が知れば嘆きますね」
ヴァンとジミーは会長から瓶底眼鏡を奪い、前髪掻き上げてまぢまぢと見てる。うぅむ、デイヴの時と違って俺の体は不調にならん。
チラリとデイヴを見れば、気付いたデイヴがフワリと微笑む。うん。可愛いが過ぎる。
最近可愛さが目に余る様になったデイヴは、事ある毎にフワリと天使の微笑みをくれ、俺の心臓を撃ち落としにきてる。
ケイリー曰く「いや、可愛くないから。王子のキラキラスマイルだから」と言うが、どう見ても可愛いと思う。きっと男と女の感性の違いというやつに違いない。今度レク達にも聞いてみようと思う。
「っく!こんな所に隠しキャラがいたのねっ」
「隠しキャラ?」
レクを見れば丁度苦悩に悶絶しているケイリーを介抱?しながら首を傾げている所だった。
……隠しキャラ?って俺も何それ状態で首を傾げる。
「あの、申し訳無いのですが、この事は内密にして頂けないでしょうか。
ルキアーノ会長は素顔を晒しますと変た、変じ、えっと変わった思考の殿方に狙われてしまいますの」
ミシェル嬢が困り眉毛で頬に手を当て、「ふぅ」っとしなやかな動作で溜息をついた。
話を聞くに、どうやら幼少期より幾度となく会長は変態(ミシェル嬢は言葉を濁していたが)や変人(ミシェル嬢は以下略)に貞操を狙われ続けていたらしい。それを阻止すべく今のモサ男風味に仕上げたのがミシェル嬢と会長の家族。お陰で平和に過ごしてきたが、残念な事に偶々瓶底眼鏡を外し、濡れ髪を掻き上げ乾かしていたというラッキースケベをカーメムー元侯爵子息他に目撃されてしまった。
後は結果を御覧じろう、ってなもんで。
「何ていうか。案外カーメムー達も被害者、と言えなくもないのかね」
会長の美少女振りは犯罪級。
俺は遠い目で加害者となった被害者達に静かに合掌を送るのだった。
「さてと、事件も無くなったし、そろそろお暇しようか」
お茶も美味しく頂いたし、帰ろうと席を立った。
「「「え?」」」
茶器を片付け始めれば、生徒会メンバーが異口同音に驚きの声を上げる。
何故驚かれるし。ついうっかり片付け途中の間抜けな姿勢で固っちまったじゃん。
「他に何か有りましたか?」
一旦片付けを中断して会長に向き直る。
会長は物言いたげに上目遣いで見上げていた。
「あの、出来ましたらこのまま時期生徒会候補として残って頂けないでしょうか。
あ、勿論殿下方が御政務でお忙しいのは存じております。されどせめてオルティス殿とレク殿、モーリス嬢だけでもお力添いを頂きたいと思っているのです」
なんと推薦されちゃったよ。
この学園の生徒会は、前期生徒会の推薦と、教師の会議で決められる。生徒による投票制度は無い。そもそも投票というシステム自体が殆ど無い。王権制度なら普通なんだろうけど、それで問題が起きないのは異世界ゆえなんだろうか。
「会長……。
本っ当にアレックスに生徒会任せちゃうんですか!?学園崩壊させる気!?」
「オイコラケイリーさんや」
「アレックスが、会長……?
どうしよう。今から全校生徒に戦闘訓練して間に合うだろうか……」
「ちょいとレク君?」
「あははは!アレクが生徒会か、それは良いね。きっと今より学園が楽しくなる」
「デイヴが何でそんなに快活に笑ってるのかはさて置き、楽しくは保証しよう」
「強者が増えるのは歓迎だぜ」
「ヴァンよ、それは俺も大歓迎だ」
「やめてください。後生ですからこれ以上仕事を増やさないでください」
「ジミー……疲れてるんだな、ゆっくり休め?」
其々言いたい放題の友人達に、其々ツッコミをする。
ジミーはヴァンが介抱するから問題ないとして、結局俺は歓迎されていないのかされているのかどっちだ?
「今回、臨時とはいえ貴殿の手腕を垣間見る事が出来ました。来期生徒会として相応しいのはオルティス殿を置いて他におりません」
「手放しで褒めてくださるのはありがたいですが、流石に言い過ぎかと。私などはまだまだ修行中の身ですから」
キラキラした目で見上げる会長には悪いけど、俺は冒険者活動のが楽しいし、ぶっちゃけ生徒会活動に興味が無い。よって丁重にお断りした。
生徒会メンバーはこの世の終わりな顔で悲しみに暮れたが、レクとケイリーとジミーは明らかにホッとした顔で安堵の息を吐いている。
あれかな?いぢめて欲しいのかな?
0
お気に入りに追加
61
あなたにおすすめの小説
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

【完結】試練の塔最上階で待ち構えるの飽きたので下階に降りたら騎士見習いに惚れちゃいました
むらびっと
BL
塔のラスボスであるイミルは毎日自堕落な生活を送ることに飽き飽きしていた。暇つぶしに下階に降りてみるとそこには騎士見習いがいた。騎士見習いのナーシンに取り入るために奮闘するバトルコメディ。
目立たないでと言われても
みつば
BL
「お願いだから、目立たないで。」
******
山奥にある私立琴森学園。この学園に季節外れの転入生がやってきた。担任に頼まれて転入生の世話をすることになってしまった俺、藤崎湊人。引き受けたはいいけど、この転入生はこの学園の人気者に気に入られてしまって……
25話で本編完結+番外編4話
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

乙女ゲームが俺のせいでバグだらけになった件について
はかまる
BL
異世界転生配属係の神様に間違えて何の関係もない乙女ゲームの悪役令状ポジションに転生させられた元男子高校生が、世界がバグだらけになった世界で頑張る話。

小学生のゲーム攻略相談にのっていたつもりだったのに、小学生じゃなく異世界の王子さま(イケメン)でした(涙)
九重
BL
大学院修了の年になったが就職できない今どきの学生 坂上 由(ゆう) 男 24歳。
半引きこもり状態となりネットに逃げた彼が見つけたのは【よろず相談サイト】という相談サイトだった。
そこで出会ったアディという小学生? の相談に乗っている間に、由はとんでもない状態に引きずり込まれていく。
これは、知らない間に異世界の国家育成にかかわり、あげく異世界に召喚され、そこで様々な国家の問題に突っ込みたくない足を突っ込み、思いもよらぬ『好意』を得てしまった男の奮闘記である。
注:主人公は女の子が大好きです。それが苦手な方はバックしてください。
*ずいぶん前に、他サイトで公開していた作品の再掲載です。(当時のタイトル「よろず相談サイト」)
完結・オメガバース・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン王から溺愛されました
美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる