男に生まれたからには攻めていく!

無月

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本編

15歳-1

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 社交界デビューから4年。
 俺達は特に何の進展も無く、友人関係を深めてきた。
 いや、デイヴィッドからは愛称呼びを強請られてデイヴって呼ぶ様になったし、油断した頃に俺を落としにくるけど。まあ、概ね変わり無く友人関係を築いてきた。
 俺としては可愛い子は好きでもロリの気もショタの気もない訳で、小中学生の年齢の内はどうしても大人目線で可愛がってしまうんだよなぁ。
 正直デイヴの告白も「将来パパと結婚する」と公言する娘を見る目になってしまう。

 「つっても公の場で婚約宣言された以上、いい加減ちゃんと考えなきゃな。
 来年には卒業だし、前世でも女の子は親の許可さえ有れば結婚出来る年になったしな……」
 
 寮の個室で大きく息を吐き出して天を仰ぐも、考えも心も纏まりゃしない。
 俺ってば考えるより行動した方が好きだからなぁ。
 ここでグダグタしてても明日には新年度が始まる。デイヴも本腰入れるか他を考えなきゃならんだろうし、覚悟決めて考えなきゃな。

 「よしそれじゃ今日は寝ようそうしよう下手な考え休むに似たりだ」
 
 俺はスックと立ち上がると、開き直った顔で部屋の灯りを消して布団に潜り込んだのだった。



 翌日。
 学園に登校すれば道を行く顔ぶれが少し違う事が新しい年度の始まりを感じさせる。

 「やっぱ新入生は初々しくて可愛いよな」

 慣れない足取りで校舎に入って行く姿に和む。4年前にフレディが入学した時なんて思わず全力でレクに記録を残して貰ったもんだ。その映像は魔道具として俺の自室に永久保存している。

 「私達も5年前はそうだったけどね」

 隣を歩くデイヴもクスクス笑いながら優しい目で新入生を見守っている。
 俺は少し低いデイヴの目を見て昨晩の思いを改めて思い出した。

 「5年で大分デカくなったよな、俺達」
 「飛び抜けて高くなったのはヴァンだよね。前に立って貰えば視線を遮れて良い」

 背後を振り向けばヴァンとジミー(ジェームスの愛称)の身長凹凸コンビがデイヴの後ろに、レクとケイリーの低身長コンビが俺の後ろに付いて来てる。
 身長を高い順に言えば2メートルにもう時期届くヴァンを筆頭に、俺、デイヴ、ジミー、レクと続く。ケイリーは紅一点だし一番低いのは予定調和だけど……。レクが思いの外伸びなかったんだよなぁ。可愛いとは思うが、男として辛かろう。本人も気にして俺の顔を見ては「もう少し高ければ……」とか言ってるし。頑張れレク!遅咲きの成長期を期待するんだ!と心の中でエールだけ送っとこう。
 因みに学年が違う為ここにいないフレディはケイリーと同じ身長で、愛らしいショタっ子に成長を遂げている。最早神。

 「俺は殿下を護る剣であり、盾ですからね。ヒョロっこくっちゃお役御免されてしまいます」

 ヴァンがニヤリと笑って言う。一応デイヴ付きの騎士見習いだからと、最近敬語混じりになってきた。でも返って軽く感じるんだよなー(笑)。

 「エヴァの家系は大きい方ばかりですしね」

 頭一つ程下で、ジミーがクスリと微笑んだ。
 "エヴァ"はジミー専用のエヴァンの愛称だ。ヴァンの奴は絶対他の奴には呼ばせないし、ジミーが他の愛称を使う事も嫌がる。全くもってわかりやすい奴だよな。
 チラリとヴァンを生暖かい目で見ると、目を眇めたヴァンはこれ見よがしにジミーの腰を抱き寄せた。

 「!?何するんですか!」

 素気無くペチリと叩き落とされた(笑)。
 ジミーはまだ恋愛については奥手なのかな?昔からこの遣り取りが変わって無……い……。
おや?いや?

 「何ですかその目は」

 まぢまぢとジミーの目尻を見てたら睥睨された。
 でもさっきは目尻だけだったけど……明らかに紅い。これって、もしかしてもしかするんでないのん?
 こりゃ両思い間近かと思いヴァンを見たら、メッチャ俺睨んでた。ジミーの変化には気付いて無いっぽいなこりゃ。
 俺は堪らずニマ~っと顔が緩んだ。

 「んだよ」
 「いや~?べぇつにぃ~?」
 「うっわ本気でムカつくわ、そのツラ」

 眉根を寄せたヴァンが、俺にアイアンクローをかましたそうに手をワキワキさせている。だがしかしその位置では届くまいよ。わっはっはー(笑)。
 良い良い。青春はこうで無いとな。俺は親父臭く若人達を生暖かく見守るのだよ。

 「ケイリー?さっきから静かだね?」
 「ふぇ!?ななな何でも無いわよ!?美味しいとか思って無いわよ!?」
 「美味しい……?何か食べてるの?」

 俺の背後ではケイリーが行動不審を起こしていた。レクが訝しんで首を傾げてる。
 俺はケイリーの口元の緩みとキラリと光る滴を見つけ、モシカシテ……(遠目)。と、前世でも貴腐人の同僚がいた事をふと思い出すのだった。
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