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本編
10歳-5
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自宅に帰宅後、俺は直ぐ様父さんに会いに行った。
「父上!私は冒険王になります!」
「良いけど。
学園にはちゃんと通いなさい。
あと帰ってくる場所は必ずこの家だ」
すんなりOK貰いましたー。
……軽!
「え?え?良いの?
だって侯爵継がなくて良いの?」
「ん?両立位出来るだろう。
私はしてたぞ」
ニャンと!
ウチのパパンが一番規格外なんだよ。
流石に結婚してからは冒険者は引退したらしいけど。
「次の跡取りならフレディもいるしな。
二人とも継ぎたくないなら取り潰せば良いし」
え?王侯貴族ってそんな簡単に辞めれるもんだっけ?
「でも継ぐ気があるから仕事覚えてるんだろう?」
「それは、まあ、そうなんですけど……。
父上が冒険者って。初めて知りました」
父さんから何も聞かされて無かった事に少しの不貞腐れを感じる。
若干口を尖らせて目線を逸らせば、父さんは「ふっ」と軽い笑みを乗せた。
「成る程な。それでか。
だが、冒険者は言う程簡単でも安全でも無いぞ」
「心得ています。
これでも父上に従って色々見聞を広めていますから」
父さんの言う事もわかるし、キリリと気を引き締める。
地球だって海外旅行も危険な地域があるんだ。盗賊どころかモンスター蔓延るこの世界じゃ危険度は比じゃないだろう。
聞き分けの無い子供じゃ無いんだ。安全牌は取っていくさ。
父さんはジッと俺を見聞して、ふと気が抜けた様に口が緩んだ。
「矢張り俺の子だな」
嬉しそうにボソリと呟かれた言葉は、シッカリと俺の耳にも聞こえていた。
前世の記憶がある手前、どうしても思考原理も行動原理も前世寄りになり易い。それを自覚してるだけに、今世の父さんに似ていると言われれば嬉しくもむず痒くなる。
照れ隠しに若干視線が泳いだ事なんて、この父さんにはお見通しだろうな。
「とは言え、私も一人で冒険していた訳では無い。
ガイウスとマチルダ。実はこの二人は冒険者時代からの仲間でな。その縁で引退後はこうして共に侯爵領を盛り立ててくれている」
何と!能力あるのに国の打診不意にして、何で侯爵家に勤めているのかと思ったら。ガイウス団長とマチルダは父さんのパーティーメンバーだったのか!
長年の疑問がわかり、閊えが取れた気分だ。
「そうですね。私にも信頼出来る仲間が必要です。
許可を頂けたならレクとケイリーに打診します」
「そうだな。あの二人なら安心して任せられる」
父さんの同意も得られた事で、俺は早速動き出した。
今の時間なら二人とも仕事を終えて自室で休んでる筈。
女の子の部屋を一人で突撃するのは良くないだろう。俺は迷わずレクの部屋に向かった。
「レク!冒険しようぜ!」
ノックとドアを開ける音をほぼ同時に起こす。
開けた入り口に勢い任せにドアを開けた体制で言い放てば、レグは胡乱げに振り返って溜息を溢した。
「ノックの意味って考えた事ある?」
「俺とレクの間柄にノックなど最早形式でしかない」
愚問だよ。と言い切ればレクは更に深く溜息を吐いた。
「同じ事を仕返してもアレックスの場合は喜ぶだけだね」
可愛い子が夜這いに来てくれて喜ばない男はもがれれば良いと思います。
白い歯を光らせた良い笑顔で親指立てれば可愛い顔で睨まれる。うむ、可愛いはいついかなる時も可愛い。
「いいよもう。アレックスに何言っても無駄だしね。
で?冒険者になるって?何時かは言ってくると思ってたけど、割と早かったね」
「おおっ。流石は心の友よ。俺の事などお見通しか」
「アレックスが冒険者に憧れてる事位見てればわかるよ。
でも侯爵家は良いの?」
「両立してみせるさ。
父さんに出来たなら息子の俺にも出来る!筈!」
レクも父さんの事は知らなかったらしい。キョトンとした顔をされたから事のあらましを説明する。
「やっぱり凄い人だな」
説明を終えれば憧憬の眼差しで感じ入るレク。
そうなんだよな。ウチの父さんマジ凄えんだよ。息子として誇らしく思う。
同意を示す様にウンウン頷いていたらノックの音が響いた。
「ケイリーの気配だ。どうしたんだろ」
レクがドアを開ければ私服姿のケイリーがお礼を言って入って来る。
「旦那様にアレックスから話があるだろうって聞いて、ならレクにも有るだろうし此処にいるだろうなって思って来たのよ」
どうしたのか聞けば、近くの椅子に腰掛けて言った。
流石ケイリー。大した洞察力だ。
ケイリーにも同じあらましを話せば、やっぱりレクと同じ事言われた。
「わかるわよ。だってアレックスってば自分に正直なんだもの」
「えぇ~。貴族としてはダメダメじゃん」
ガックシ項垂れれば、レクもケイリーもクスクス笑う。
「良いじゃない。それがアレックスの美徳よ」
「そうそう。裏を知らない莫迦なら困るけど、アレックスは違うでしょ」
親友二人が尊過ぎて涙ちょちょ切れそうだ。
「父上!私は冒険王になります!」
「良いけど。
学園にはちゃんと通いなさい。
あと帰ってくる場所は必ずこの家だ」
すんなりOK貰いましたー。
……軽!
「え?え?良いの?
だって侯爵継がなくて良いの?」
「ん?両立位出来るだろう。
私はしてたぞ」
ニャンと!
ウチのパパンが一番規格外なんだよ。
流石に結婚してからは冒険者は引退したらしいけど。
「次の跡取りならフレディもいるしな。
二人とも継ぎたくないなら取り潰せば良いし」
え?王侯貴族ってそんな簡単に辞めれるもんだっけ?
「でも継ぐ気があるから仕事覚えてるんだろう?」
「それは、まあ、そうなんですけど……。
父上が冒険者って。初めて知りました」
父さんから何も聞かされて無かった事に少しの不貞腐れを感じる。
若干口を尖らせて目線を逸らせば、父さんは「ふっ」と軽い笑みを乗せた。
「成る程な。それでか。
だが、冒険者は言う程簡単でも安全でも無いぞ」
「心得ています。
これでも父上に従って色々見聞を広めていますから」
父さんの言う事もわかるし、キリリと気を引き締める。
地球だって海外旅行も危険な地域があるんだ。盗賊どころかモンスター蔓延るこの世界じゃ危険度は比じゃないだろう。
聞き分けの無い子供じゃ無いんだ。安全牌は取っていくさ。
父さんはジッと俺を見聞して、ふと気が抜けた様に口が緩んだ。
「矢張り俺の子だな」
嬉しそうにボソリと呟かれた言葉は、シッカリと俺の耳にも聞こえていた。
前世の記憶がある手前、どうしても思考原理も行動原理も前世寄りになり易い。それを自覚してるだけに、今世の父さんに似ていると言われれば嬉しくもむず痒くなる。
照れ隠しに若干視線が泳いだ事なんて、この父さんにはお見通しだろうな。
「とは言え、私も一人で冒険していた訳では無い。
ガイウスとマチルダ。実はこの二人は冒険者時代からの仲間でな。その縁で引退後はこうして共に侯爵領を盛り立ててくれている」
何と!能力あるのに国の打診不意にして、何で侯爵家に勤めているのかと思ったら。ガイウス団長とマチルダは父さんのパーティーメンバーだったのか!
長年の疑問がわかり、閊えが取れた気分だ。
「そうですね。私にも信頼出来る仲間が必要です。
許可を頂けたならレクとケイリーに打診します」
「そうだな。あの二人なら安心して任せられる」
父さんの同意も得られた事で、俺は早速動き出した。
今の時間なら二人とも仕事を終えて自室で休んでる筈。
女の子の部屋を一人で突撃するのは良くないだろう。俺は迷わずレクの部屋に向かった。
「レク!冒険しようぜ!」
ノックとドアを開ける音をほぼ同時に起こす。
開けた入り口に勢い任せにドアを開けた体制で言い放てば、レグは胡乱げに振り返って溜息を溢した。
「ノックの意味って考えた事ある?」
「俺とレクの間柄にノックなど最早形式でしかない」
愚問だよ。と言い切ればレクは更に深く溜息を吐いた。
「同じ事を仕返してもアレックスの場合は喜ぶだけだね」
可愛い子が夜這いに来てくれて喜ばない男はもがれれば良いと思います。
白い歯を光らせた良い笑顔で親指立てれば可愛い顔で睨まれる。うむ、可愛いはいついかなる時も可愛い。
「いいよもう。アレックスに何言っても無駄だしね。
で?冒険者になるって?何時かは言ってくると思ってたけど、割と早かったね」
「おおっ。流石は心の友よ。俺の事などお見通しか」
「アレックスが冒険者に憧れてる事位見てればわかるよ。
でも侯爵家は良いの?」
「両立してみせるさ。
父さんに出来たなら息子の俺にも出来る!筈!」
レクも父さんの事は知らなかったらしい。キョトンとした顔をされたから事のあらましを説明する。
「やっぱり凄い人だな」
説明を終えれば憧憬の眼差しで感じ入るレク。
そうなんだよな。ウチの父さんマジ凄えんだよ。息子として誇らしく思う。
同意を示す様にウンウン頷いていたらノックの音が響いた。
「ケイリーの気配だ。どうしたんだろ」
レクがドアを開ければ私服姿のケイリーがお礼を言って入って来る。
「旦那様にアレックスから話があるだろうって聞いて、ならレクにも有るだろうし此処にいるだろうなって思って来たのよ」
どうしたのか聞けば、近くの椅子に腰掛けて言った。
流石ケイリー。大した洞察力だ。
ケイリーにも同じあらましを話せば、やっぱりレクと同じ事言われた。
「わかるわよ。だってアレックスってば自分に正直なんだもの」
「えぇ~。貴族としてはダメダメじゃん」
ガックシ項垂れれば、レクもケイリーもクスクス笑う。
「良いじゃない。それがアレックスの美徳よ」
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