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違う!そうじゃない!
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冒険者ギルドで闇ギルドのイケメンを探す。
その為には第三者に聞かれると不味いという事で別室に通された。
当初我だけで行くつもりだったが勇者がどうしても付いて行くと言ったので勇者も一緒だ。
何だかんだ言いつつ乗り気なんだな。
「任せよ勇者よ!我が良い感じのを見繕ってやるからな!」
「そうだな。闇ギルドは全て葬り去ろう。魔王城を攻略した後でゆっくりとな」
うむ!ヤル気があって大変よろしい!
うむうむ頷いている間に腐女子の君がお茶と茶菓子を持ってやって来た。
「さて。彼が勇者様ね。世界と萌えの為に日夜励んでくれてありがとう」
「いや。俺は悪を全て滅ぼす事が生きがいなだけだ」
「ふふ。謙虚ね。良いわ。そんなあなたにピッタリなお相手を紹介してくわね」
熱意熱い腐女子の君が持って来た書類の束を広げた。そこには顔写真とその者のプロフィールがみっちりと書かれている。
「ほう。こ奴らは皆闇ギルドの者か。よくこれ程集めた者だ」
「いえ、闇ギルドはここからここよ。これは吟遊詩人、こっちは騎士、それに男娼の子達にこっちは……」
何という事だろう!腐女子の君は我があくせくと情報を集めている間にも既に世界中の素質ある者達を見出していたのか!是非とも今後とも仲良くしたい者だ!
尊敬の眼差しで腐女子の君を見ていたら何故か勇者に足を踏まれた。
「何をする勇者よ」
「……他の者は良いだろう。闇ギルドの情報だけくれ」
勇者は我の非難の声をスルーしおった。酷いではないか。
しかも闇ギルド以外の書類を無造作に端に寄せるしっ。大事なお見合い写真なんだから丁寧に扱ってよね!
口を尖らせた我の唇は、勇者の指で力強く摘み上げられ捻られた。酷いん……。
物理的に声を封じられた我は勇者が自らお見合い相手を選ぶのをワクワクテカテカしながら見る。
「そうか。ではここからこういう順番で回れば最短で回れるな」
「でゅふふ♪勇者だもの攻めてく系でなくちゃね」
腐女子の君に全力で頷きつつも我は恋愛方面に奥手系勇者も好きだと思う。
「ただ私としては別のカプを推奨したいわ」
闇ギルドの書類を全て勇者に渡した腐女子の君はお茶を手にして言う。
「やっぱり勇者×魔王が王道よね!」
「ぶううう!?」
「ほう」
勇者の手で摘ままれたまま我は出せない叫びを上げた。
その横で勇者が片眉を上げて興味深そうに腐女子の君を見る。
「むう!ぶううう!」
我は腐男子であって決してBLでは無い!両手でガンガン机を叩いて猛抗議するが全く伝わらない。
「あら、腐男子一号は魔王は好みじゃないのね」
「君は魔王が怖くないのか」
「魔王城に一番近い街は伊達じゃないわよ。普通にこの辺に出没するけど、こっちから何かしなければ魔王も何もしないのよ」
「……野生の獣か虫か?」
ちょっと!最後の!勇者ボソッと言ってたけど我聞こえちゃってるんだからね!?獣は兎も角虫は酷いよ!我節足動物と違うんだからねっ!擬人化物は好きだし好みのカプいたら擬人化させてエチチなシーンを堪能してるけど!
猛抗議のダンダン叩く腕は強さを増しているのに腐女子の君も勇者も我に構ってくれない。くすん。
「まあ。確かに悪い奴には感じないな」
珍しく優しい眼差しで少し笑みっぽい顔をした勇者が我を見た。
あれ?勇者ってば我を倒す気なくなったのかな?友好的になってる?
「嗜好だけは受け入れられないが」
あれ?重力がのしかかってる。気温も一下がったし、さっきまで優しいぽかったのにちょっと冷たい目になってる?
「お陰で世界は平和だし。俺も予想に反して人間臭い魔王がまあ、気に入ってはいる」
と思ったら重力も気温も戻った。
何だったんだ今のは。
「あらまあ。ご馳走様。残念だったわね腐男子一号。勇者にはもう心に決めた人がいたみたいよ」
な!何だと!?
我に一言も相談も無いとは薄情な勇者め詳しく聞かせろください相手は何処の何属性の人種だ!くわすくっ!
鼻息荒くして勇者にギラギラの目を近寄らせたら口摘まんでた手を広げて押し戻された。
「今のお前には言う気ない」
「何だと!?我だけ除け者とは酷い扱いではないか!我が一番頑張ってるのに!」
「そうだな。魔王城に着くまでに言えるようにする」
「本当だな!?約束だぞ!」
「ああ」
ソファの上で正座して拳を握りしめ、フンスフンスと興奮冷めやらぬ我の目を、
「約束する」
勇者は真摯に見据え、我の拳に手を重ねて言ってくれた。
その為には第三者に聞かれると不味いという事で別室に通された。
当初我だけで行くつもりだったが勇者がどうしても付いて行くと言ったので勇者も一緒だ。
何だかんだ言いつつ乗り気なんだな。
「任せよ勇者よ!我が良い感じのを見繕ってやるからな!」
「そうだな。闇ギルドは全て葬り去ろう。魔王城を攻略した後でゆっくりとな」
うむ!ヤル気があって大変よろしい!
うむうむ頷いている間に腐女子の君がお茶と茶菓子を持ってやって来た。
「さて。彼が勇者様ね。世界と萌えの為に日夜励んでくれてありがとう」
「いや。俺は悪を全て滅ぼす事が生きがいなだけだ」
「ふふ。謙虚ね。良いわ。そんなあなたにピッタリなお相手を紹介してくわね」
熱意熱い腐女子の君が持って来た書類の束を広げた。そこには顔写真とその者のプロフィールがみっちりと書かれている。
「ほう。こ奴らは皆闇ギルドの者か。よくこれ程集めた者だ」
「いえ、闇ギルドはここからここよ。これは吟遊詩人、こっちは騎士、それに男娼の子達にこっちは……」
何という事だろう!腐女子の君は我があくせくと情報を集めている間にも既に世界中の素質ある者達を見出していたのか!是非とも今後とも仲良くしたい者だ!
尊敬の眼差しで腐女子の君を見ていたら何故か勇者に足を踏まれた。
「何をする勇者よ」
「……他の者は良いだろう。闇ギルドの情報だけくれ」
勇者は我の非難の声をスルーしおった。酷いではないか。
しかも闇ギルド以外の書類を無造作に端に寄せるしっ。大事なお見合い写真なんだから丁寧に扱ってよね!
口を尖らせた我の唇は、勇者の指で力強く摘み上げられ捻られた。酷いん……。
物理的に声を封じられた我は勇者が自らお見合い相手を選ぶのをワクワクテカテカしながら見る。
「そうか。ではここからこういう順番で回れば最短で回れるな」
「でゅふふ♪勇者だもの攻めてく系でなくちゃね」
腐女子の君に全力で頷きつつも我は恋愛方面に奥手系勇者も好きだと思う。
「ただ私としては別のカプを推奨したいわ」
闇ギルドの書類を全て勇者に渡した腐女子の君はお茶を手にして言う。
「やっぱり勇者×魔王が王道よね!」
「ぶううう!?」
「ほう」
勇者の手で摘ままれたまま我は出せない叫びを上げた。
その横で勇者が片眉を上げて興味深そうに腐女子の君を見る。
「むう!ぶううう!」
我は腐男子であって決してBLでは無い!両手でガンガン机を叩いて猛抗議するが全く伝わらない。
「あら、腐男子一号は魔王は好みじゃないのね」
「君は魔王が怖くないのか」
「魔王城に一番近い街は伊達じゃないわよ。普通にこの辺に出没するけど、こっちから何かしなければ魔王も何もしないのよ」
「……野生の獣か虫か?」
ちょっと!最後の!勇者ボソッと言ってたけど我聞こえちゃってるんだからね!?獣は兎も角虫は酷いよ!我節足動物と違うんだからねっ!擬人化物は好きだし好みのカプいたら擬人化させてエチチなシーンを堪能してるけど!
猛抗議のダンダン叩く腕は強さを増しているのに腐女子の君も勇者も我に構ってくれない。くすん。
「まあ。確かに悪い奴には感じないな」
珍しく優しい眼差しで少し笑みっぽい顔をした勇者が我を見た。
あれ?勇者ってば我を倒す気なくなったのかな?友好的になってる?
「嗜好だけは受け入れられないが」
あれ?重力がのしかかってる。気温も一下がったし、さっきまで優しいぽかったのにちょっと冷たい目になってる?
「お陰で世界は平和だし。俺も予想に反して人間臭い魔王がまあ、気に入ってはいる」
と思ったら重力も気温も戻った。
何だったんだ今のは。
「あらまあ。ご馳走様。残念だったわね腐男子一号。勇者にはもう心に決めた人がいたみたいよ」
な!何だと!?
我に一言も相談も無いとは薄情な勇者め詳しく聞かせろください相手は何処の何属性の人種だ!くわすくっ!
鼻息荒くして勇者にギラギラの目を近寄らせたら口摘まんでた手を広げて押し戻された。
「今のお前には言う気ない」
「何だと!?我だけ除け者とは酷い扱いではないか!我が一番頑張ってるのに!」
「そうだな。魔王城に着くまでに言えるようにする」
「本当だな!?約束だぞ!」
「ああ」
ソファの上で正座して拳を握りしめ、フンスフンスと興奮冷めやらぬ我の目を、
「約束する」
勇者は真摯に見据え、我の拳に手を重ねて言ってくれた。
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