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腐男子だって心配するんだお
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ぐぅ!我をここまで苦しめ追い詰めるとは!
今代の勇者はやりおる!
「それじゃ後はよろしくー」
「ああ。ゆっくり休めよ」
じゃなーい!君今日で三日目よ!?三日も寝ずの番よ!?さっむーぅい砂漠のど真ん中で!
焚火はあっても心は寒いでしょ!特に勇者で掛け算出来ない我の心が!
しかして武闘家×魔導士の邪魔は腐男子として出来ぬ。ならどうするか。
「すみません。我……余……あー、じゃなくて私も良いでしょうか。休む場所を探していたら火が見えたもので」
新たな仲間の気配がしない今。我しかいないでしょう。
てことで人間に変装中だお。我の魔法は完璧。今までのオフ会でもサイン会でも新刊発売で開店前から並んでいた時も我を疑った者などいないのだ。
「そうか。構わない」
ほらな。我は最強にして
「ここを墓場とするんだな。魔王」
まおー!!?
「なっ何で……いや。チガウヨ。我はマオーじゃナイヨ」
ぴゅーぴーと口笛で誤魔化そう。
「へたくそか」
チャキリと剣を抜く勇者VS冷や汗の我。
ファイ!
じゃなーい!
「何故分かった勇者よ!」
バッと飛び退り距離を取っとこーね。うっかり魔法爆発させたら武闘家×魔導士起きちゃうからね。
「こんな砂漠のど真ん中で突如気配を現す輩は盗賊か魔王と相場が決まっている」
しまったー!我の完璧すぎる気配遮断が仇になった!
後悔しても覆水は盆に返らない。
ならば我が出来る事は限られている。
「寝込みを襲うつもりだったようだが」
「バレてしまっては仕方がない!三日も寝ずの番はお肌にも健康的なBL活動にも毒であるから良く食べ良く寝て良く起っきするのだ勇者よ!」
「は?」
あれ?勇者何か言ってたな。我遮っちゃった。折角の推し攻め(受けでも良いよ!)のセリフなのに。
あ。あ。勇者ポカンてしちゃってるじゃん!我失態!
「すまぬ勇者よ。ちゃんと聞いてなかったからもう一度言ってくれないか」
ワンチャンありかなって思って人差し指と人差し指をツンツンさせて聞いてみる。
眉間に皺寄ったよね!わかる!
話を聞いてなかった我がいけないのだ。無念。
「……百歩……じゃ足らないが譲るとして、びーえるって何の事だ」
おっとBL知らない勢だった。今やこんなにもメジャーなのに。まだまだ認知度は低いのかなぁ。キョーコ先生の薄いのに分厚い本で布教してみようか。
「えーっと。BLは男の子同士が愛し合う尊いものです」
ささっと我一押しのエチチなシーンを開いて見せてみる。
バッサー!と一刀のも元に本を切られそうになったよね!避けたけど!
「ちょ!止めよ勇者!布教用とはいえ尊い先生の大事な本だぞ!?傷付いたらどうしてくれるのだっ!」
「切り捨てようとしたんだが」
「もっとダメー!」
さらに踏み込む姿勢で剣を構える勇者に掌を突き出して制止を促す。
「何にハマっているんだ魔王」
「ちょ。語弊がある言い方止めてよね。我は覗き……見守るのが趣味であって我自身はそうなりたいって思ってないんだからねっ」
勇者の気温と気圧が一下がった!
吹き抜ける体感ブリザードに我とした事が足ガクブルよ。
「そうか。貴様は魔王だったな。人間の常識で当てはめようとした俺が阿呆だった」
チャキリと柄を握りなおす勇者。
見据えられる我。
「死ね」
切りかかる勇者。
「勇者のカップル成立見届けるまで死ねぬ!」
寸前で勇者を闇の触手で絡め取り動きを封じる我。
「貴様俺で妄想してたのかっ!」
いきり立つ勇者。
「妄想って言葉は知ってたのか」
冷静に突っ込む我。
勇者は言葉に詰まった。
うむ。我の勝ち!
「じゃあバレちゃったら隠してても仕様がないし。勇者が運命の番と結ばれるように堂々と側で応援してやろうぞ」
「止めろー!!」
砂漠の冷えた夜に、勇者の熱い叫びが響き渡るのであった。
うむ。これはこれでまた良し!
今代の勇者はやりおる!
「それじゃ後はよろしくー」
「ああ。ゆっくり休めよ」
じゃなーい!君今日で三日目よ!?三日も寝ずの番よ!?さっむーぅい砂漠のど真ん中で!
焚火はあっても心は寒いでしょ!特に勇者で掛け算出来ない我の心が!
しかして武闘家×魔導士の邪魔は腐男子として出来ぬ。ならどうするか。
「すみません。我……余……あー、じゃなくて私も良いでしょうか。休む場所を探していたら火が見えたもので」
新たな仲間の気配がしない今。我しかいないでしょう。
てことで人間に変装中だお。我の魔法は完璧。今までのオフ会でもサイン会でも新刊発売で開店前から並んでいた時も我を疑った者などいないのだ。
「そうか。構わない」
ほらな。我は最強にして
「ここを墓場とするんだな。魔王」
まおー!!?
「なっ何で……いや。チガウヨ。我はマオーじゃナイヨ」
ぴゅーぴーと口笛で誤魔化そう。
「へたくそか」
チャキリと剣を抜く勇者VS冷や汗の我。
ファイ!
じゃなーい!
「何故分かった勇者よ!」
バッと飛び退り距離を取っとこーね。うっかり魔法爆発させたら武闘家×魔導士起きちゃうからね。
「こんな砂漠のど真ん中で突如気配を現す輩は盗賊か魔王と相場が決まっている」
しまったー!我の完璧すぎる気配遮断が仇になった!
後悔しても覆水は盆に返らない。
ならば我が出来る事は限られている。
「寝込みを襲うつもりだったようだが」
「バレてしまっては仕方がない!三日も寝ずの番はお肌にも健康的なBL活動にも毒であるから良く食べ良く寝て良く起っきするのだ勇者よ!」
「は?」
あれ?勇者何か言ってたな。我遮っちゃった。折角の推し攻め(受けでも良いよ!)のセリフなのに。
あ。あ。勇者ポカンてしちゃってるじゃん!我失態!
「すまぬ勇者よ。ちゃんと聞いてなかったからもう一度言ってくれないか」
ワンチャンありかなって思って人差し指と人差し指をツンツンさせて聞いてみる。
眉間に皺寄ったよね!わかる!
話を聞いてなかった我がいけないのだ。無念。
「……百歩……じゃ足らないが譲るとして、びーえるって何の事だ」
おっとBL知らない勢だった。今やこんなにもメジャーなのに。まだまだ認知度は低いのかなぁ。キョーコ先生の薄いのに分厚い本で布教してみようか。
「えーっと。BLは男の子同士が愛し合う尊いものです」
ささっと我一押しのエチチなシーンを開いて見せてみる。
バッサー!と一刀のも元に本を切られそうになったよね!避けたけど!
「ちょ!止めよ勇者!布教用とはいえ尊い先生の大事な本だぞ!?傷付いたらどうしてくれるのだっ!」
「切り捨てようとしたんだが」
「もっとダメー!」
さらに踏み込む姿勢で剣を構える勇者に掌を突き出して制止を促す。
「何にハマっているんだ魔王」
「ちょ。語弊がある言い方止めてよね。我は覗き……見守るのが趣味であって我自身はそうなりたいって思ってないんだからねっ」
勇者の気温と気圧が一下がった!
吹き抜ける体感ブリザードに我とした事が足ガクブルよ。
「そうか。貴様は魔王だったな。人間の常識で当てはめようとした俺が阿呆だった」
チャキリと柄を握りなおす勇者。
見据えられる我。
「死ね」
切りかかる勇者。
「勇者のカップル成立見届けるまで死ねぬ!」
寸前で勇者を闇の触手で絡め取り動きを封じる我。
「貴様俺で妄想してたのかっ!」
いきり立つ勇者。
「妄想って言葉は知ってたのか」
冷静に突っ込む我。
勇者は言葉に詰まった。
うむ。我の勝ち!
「じゃあバレちゃったら隠してても仕様がないし。勇者が運命の番と結ばれるように堂々と側で応援してやろうぞ」
「止めろー!!」
砂漠の冷えた夜に、勇者の熱い叫びが響き渡るのであった。
うむ。これはこれでまた良し!
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