上 下
1 / 9

それゆけ魔王!気配完全遮断で見守り隊!

しおりを挟む
我は魔王。腐男子である。
我の日課はボーイズ達のラヴを見守る事。
特に最近お気に入りの胸熱な対象は勇者一行である。

何故なら最強にして最恐、最凶の我を倒すパーティメンバーにひ弱な女子供はいないからである。まあ、そこそこやるんじゃね?と褒めてやってもいい奴もいるが一人二人だ。
つまり圧倒的男率の高さ。これはもうカップルいるだろ。

てことで今日もこそっと気配遮断して見に来たよ♪



「なあ、本当に魔王城に行くのにこの道しかないのか?」

おお♪早速武闘家男子が勇者に絡んでる♪良いぞもっと近づくのだっ。

「ああ、王様の話だとこの道を真っ直ぐ北へ行くのが近道らしい」
「それって近くなければ他にあるってことじゃねーか!」
「そうとも言うな」

うむ。我の城は別段断崖絶壁でも孤高の島でもなく普通に誰でも来れる場所にあるからな。勇者一行か取り入ろうとする有象無象くらいしか来んけど。
それはそうと武闘家よ。そこは胸ぐらを掴んでポロリ乳首見えでドキッのチャンスだぞ。手をワキワキさせてる場合ではない!

「なら何もこんなあっつい砂漠地帯を通らなくても良いだろうがあっ!」

何を言う!砂漠にこそロマンという名の腐海は広がっているのだ!スケスケの踊り子服を勇者に着させて自分の猛き想いに気付き押し倒すまでワンセットで今こそ我に見せる時が来ているのだぞ!?

「遠回りしている間に魔王軍が攻めて来たらどうする気だ。俺達の知らない所で家族や友人が惨殺されても良いのか?」
「っぐ!ぅう……そうだけどよぉ……」

暑苦しい武闘家の癖に砂漠地帯程度の熱さにやられるとは情けない奴め。貴様は攻めではなく受けだな。いや待てヘタレ攻めも有りか?今度腐海ネットワークに問いかけてみよう。

腐海ネットワークは腐女子達が開いたインターネットという新たな情報伝達魔法で繰り広げられる萌えの産地である。我も腐男子一号の名で登録しておる。オフ会にも何度か変装して行っているが中々に充実したよいシステムである。
世界を滅ぼす時が来ても彼女、彼等は生かしてやろう。でないと我の心が死んでしまう。

それはさておき。
武闘家では勇者の相手は力不足が否めん気がするぞ。貴様は予備軍に降格だ。

「まあまあ。今冷気で冷ましてあげるから頑張って歩こう?ゴー君」

おおっ。中々に気が利く魔導士ではないか。一見可愛い見た目の優男風だが砂漠強行に異を唱えない剛の者と見た!
受けと見せかけた攻め……。良いかもしれん。魔導士×勇者か(じゅるり)。おっといかん涎が。

「あー……。生き返るー……。サンキュー、ナギ」
「いえいえどういたしまして」

ニコリと微笑むその姿!可愛い顔して実は一番大人を隠し持っている!
お子様な武闘家と大人な魔導士も良い(じゅるり)。

カサリ。

おっといかん興奮しすぎて前に出過ぎた。懐に忍ばせたキョーコ先生の新刊【今こそアナに入りたい】が落ちる所であった。
先に家に置いて来るべきであったか。いやしかし余裕があれば直ぐに読みたいからな。

「ん?今砂漠にそぐわない音がしたな」

しまった気付かれたか。
だが我は最強にして以下略なのだ。こんなことでは動じんぞ。気配完全遮断を甘く見るでない。

我は空気。

我は空気。

我はボーイズがラヴする空間でのみ生きる空気であるぞ。

「気の所為か」

ふー。完璧な我。勇者ですら我の気配に気付けぬのだ。まさに我の力は腐男子として生きる為にあると言っても過言ではあるまい。

勇者一行は我に気付く事もなく砂漠を真っ直ぐ北に向かって歩いている。
文句を言っていた武闘家も今は復活して我先にと先を急いでいるくらいだ。うむ。元気が合って大変よろしい。ワンコ属性も付けてやろうぞ。

我が魔王城へと向かう勇者一行を背後から見守る我は今日も思う。

ところで勇者よ。今日は誰とフラグを立てるのだ?
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

失恋して崖から落ちたら、山の主の熊さんの嫁になった

無月陸兎
BL
ホタル祭で夜にホタルを見ながら友達に告白しようと企んでいた俺は、浮かれてムードの欠片もない山道で告白してフラれた。更には足を踏み外して崖から落ちてしまった。 そこで出会った山の主の熊さんと会い俺は熊さんの嫁になった──。 チョロくてちょっぴりおつむが弱い主人公が、ひたすら自分の旦那になった熊さん好き好きしてます。

婚約破棄したら隊長(♂)に愛をささやかれました

ヒンメル
BL
フロナディア王国デルヴィーニュ公爵家嫡男ライオネル・デルヴィーニュ。 愛しの恋人(♀)と婚約するため、親に決められた婚約を破棄しようとしたら、荒くれ者の集まる北の砦へ一年間行かされることに……。そこで人生を変える出会いが訪れる。 ***************** 「国王陛下は婚約破棄された令嬢に愛をささやく(https://www.alphapolis.co.jp/novel/221439569/703283996)」の番外編です。ライオネルと北の砦の隊長の後日談ですが、BL色が強くなる予定のため独立させてます。単体でも分かるように書いたつもりですが、本編を読んでいただいた方がわかりやすいと思います。 ※「国王陛下は婚約破棄された令嬢に愛をささやく」の他の番外編よりBL色が強い話になりました(特に第八話)ので、苦手な方は回避してください。 ※完結済にした後も読んでいただいてありがとうございます。  評価やブックマーク登録をして頂けて嬉しいです。 ※小説家になろう様でも公開中です。

陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 まったり書いていきます。 2024.05.14 閲覧ありがとうございます。 午後4時に更新します。 よろしくお願いします。 栞、お気に入り嬉しいです。 いつもありがとうございます。 2024.05.29 閲覧ありがとうございます。 m(_ _)m 明日のおまけで完結します。 反応ありがとうございます。 とても嬉しいです。 明後日より新作が始まります。 良かったら覗いてみてください。 (^O^)

俺がイケメン皇子に溺愛されるまでの物語 ~ただし勘違い中~

空兎
BL
大国の第一皇子と結婚する予定だった姉ちゃんが失踪したせいで俺が身代わりに嫁ぐ羽目になった。ええええっ、俺自国でハーレム作るつもりだったのに何でこんな目に!?しかもなんかよくわからんが皇子にめっちゃ嫌われているんですけど!?このままだと自国の存続が危なそうなので仕方なしにチートスキル使いながらラザール帝国で自分の有用性アピールして人間関係を築いているんだけどその度に皇子が不機嫌になります。なにこれめんどい。

拝啓お父様。私は野良魔王を拾いました。ちゃんとお世話するので飼ってよいでしょうか?

ミクリ21
BL
ある日、ルーゼンは野良魔王を拾った。 ルーゼンはある理由から、領地で家族とは離れて暮らしているのだ。 そして、父親に手紙で野良魔王を飼っていいかを伺うのだった。

婚約破棄された悪役令息は従者に溺愛される

田中
BL
BLゲームの悪役令息であるリアン・ヒスコックに転生してしまった俺は、婚約者である第二王子から断罪されるのを待っていた! なぜなら断罪が領地で療養という軽い処置だから。 婚約破棄をされたリアンは従者のテオと共に領地の屋敷で暮らすことになるが何気ないリアンの一言で、テオがリアンにぐいぐい迫ってきてーー?! 従者×悪役令息

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

幽閉王子は最強皇子に包まれる

皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。 表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

処理中です...