10 / 33
本編
12歳-2
しおりを挟む
俺達が通う学園は王族を除いて全寮制になっている。
地方貴族なんかもいるから公正を規す為に敢えて全寮制にしてるらしい。
とは言っても公務もあるし、何より流石に王族の為のセキュリティを維持するのは大変なので、王族は城通いとなってる。
一応婚約者(仮)の俺も自宅通いとなってる。城での勉強もあるし、その中には公務も含まれるからだ。
ていうか(仮)だしその辺曖昧でいーじゃーん。とか思うけど、有って困る知識も無いから甘んじて受けてる。
「あー、寮生活も楽しそうだよなー」
エヴァンとジェームスが寮内での話をしてるのを聞いて俺は呟いた。
「おお、友人と遊べる貴重な場だな。
問題もあるけどな」
「エヴァンは学園でも遊んでいるでしょう。
大体問題って何ですか」
カラカラ笑うエヴァンにすかさず突っ込むジェームス。
問題に心当たりが無いのかジェームスが首を傾げてる。
「いや、大問題あるだろ。
だって好きな時に抜けねえんだぜ?」
ぶーーーーーーーー!!!!
ジェームスが盛大にお茶を噴いた。
「大丈夫か?」
咽るジェームスにハンカチを渡そうと取り出す。
それをデイヴィッドに制されて、代わりにデイヴィッドのハンカチを渡している。
たかがハンカチで嫉妬すんなし。
俺は掴まれた手をブンブン振って、胡乱な目でデイヴィッドを見た。
良い笑顔を返された。何故に。
「なんっ、エヴァっ、こんな、ところでっ」
受け取ったハンカチで口を拭いつつ、エヴァンを睨むジェームス。
ちな、今俺達がいるの学園内のカフェ。
オープンテラスで軽食を食べつつ午後のひと時中。
前の授業が剣技の実技で腹が減ったんだよ。
勿論腹を空かしたのは俺達だけじゃない。
つまり。マワリイッパイヒトイルヨー。
急に始まった下ネタにソワソワしながら耳だけ傾ける思春期真っ只中の少年達。
「別に良くね?ヤローしかいねーし」
「そういう問題ではありません!
殿下もご一緒しているのですよ!?」
俺がサラッと零したら矛先が俺に向いたし。
イライラにカルシウムって関係無かったんだっけ?
俺はジェームスが食べてる白身魚のフライサンドをチラッと見ながら思った。
「僕は構わないよ?(僕も早くアレクとしたいしね)」
!?今背筋がゾワッてしたヨ!
怖い副音声聞こえたヨ!目が攻め手の目だヨ!
「そ、そーかーっ、俺まだだからワカンナイヨー!」
俺は目を思いっきり逸らして誤魔化した。
そう、俺まだ夢精来てないんだよ。そろそろ来ると思うんだけどなー。
来たら先ずは右手とお友達になってみたい!
「ふふ、大丈夫。来てなくても出来るから(ドライとかね)」
おうっふ!鋭利な反撃のお言葉!
だから目が怖くなってるからー!
くぅっ、美味しく頂かれる前に美味しく頂いてみせるんだからね!ちっくしょー!
「それよりっ!次の授業に行こうぜ!」
これは逃げじゃない。戦略的撤退ってやつだ!
断じてデイヴィッドの目が空恐ろしいんじゃないんだからねっ。
「おや、もうそんな時間ですか。
時が経つのは早いものですね」
俺が嫌な汗を掻きつつ立ち上がると、ジェームスが話に乗ってくれた。
良い奴だよなー。ジェームス。
俺が優しいジェームスにほっこりしてると、デイヴィッドが俺の腰に手を回して来た。
「そうだな。(少し早いが可愛い姿を大多数に見られるのも嫌だし)行こうか」
明らかに「そうだな」から「行こうか」までの間が長いよね!聞こえてんだよ副音声!
「いちいち腰掴まんでもいいだろ!?」
「ん?何か問題でも?」
デイヴィッドの手を振り払おうとしたら笑ってない笑顔で言われた。
しかも掴む手に力入れられた。
「……無いヨ……」
拒絶しきれなかった俺。多分間違ってない。
これ拒絶してたら何か怖い事が起こってたと思う。
この後何故かやたら上機嫌のデイヴィッドに、腰に手を回されたまま授業受けた。何故に。
「なあ、デイヴよ。そろそろ放してくれても良いんじゃないかね」
授業終わりにそう切り出したが、またしてもいい笑顔を返された。
「うんそうだねぇ。ところで次の舞踏会の準備は出来てるかい?」
同意されたと思ったのに手が離れない……だと?
いやそれより舞踏会か。またそんな季節になったんだなー。
「舞踏会ってことは、またドレス着んのか」
エヴァンがニヤニヤしながら聞いて来た。
「まあ、母様との約束だからな」
そう、俺は何故か公式の場では女装して出席してる。
女物が嫌いって訳じゃねーから良いんだけど……。そろそろ体格的にヤバくね?
「ああ。アレのお陰で勘違いしている人がいるんですよね。
殿下の婚約者が令嬢だと未だに勘違いしている人が」
「最近艶かしさに磨きが掛かって来てるしね」
「俺、以前学園の奴に紹介してくれって言われた時有るぜ。
そん時ゃマジで噴いたわ」
なん……だと……?
今の俺の女装は傍から見たらさぞキモイんだろうなーって思ってたぞ。
「……アレクは女装時の自身の姿を見たことは?」
驚愕し慄いていたら、ジェームスに何とも言えない顔で聞かれた。
「そーいや無いな。支度は全部メイドがやるし」
顎に手を当てて考えてみるが、そういやちっこい頃に面白がって見た位か。最近はねーや。
「今度はじっくりガッツリちゃんと見る事をお勧め致します」
ジェームスに両肩に手を置かれて真面目な顔で言われた。
エヴァンはニヤニヤ笑いながらウンウン頷いてる。
チラリとデイヴィッドを見ると……。キラキラエフェクトを飛ばした良い笑顔を戴きました。
マジか。
地方貴族なんかもいるから公正を規す為に敢えて全寮制にしてるらしい。
とは言っても公務もあるし、何より流石に王族の為のセキュリティを維持するのは大変なので、王族は城通いとなってる。
一応婚約者(仮)の俺も自宅通いとなってる。城での勉強もあるし、その中には公務も含まれるからだ。
ていうか(仮)だしその辺曖昧でいーじゃーん。とか思うけど、有って困る知識も無いから甘んじて受けてる。
「あー、寮生活も楽しそうだよなー」
エヴァンとジェームスが寮内での話をしてるのを聞いて俺は呟いた。
「おお、友人と遊べる貴重な場だな。
問題もあるけどな」
「エヴァンは学園でも遊んでいるでしょう。
大体問題って何ですか」
カラカラ笑うエヴァンにすかさず突っ込むジェームス。
問題に心当たりが無いのかジェームスが首を傾げてる。
「いや、大問題あるだろ。
だって好きな時に抜けねえんだぜ?」
ぶーーーーーーーー!!!!
ジェームスが盛大にお茶を噴いた。
「大丈夫か?」
咽るジェームスにハンカチを渡そうと取り出す。
それをデイヴィッドに制されて、代わりにデイヴィッドのハンカチを渡している。
たかがハンカチで嫉妬すんなし。
俺は掴まれた手をブンブン振って、胡乱な目でデイヴィッドを見た。
良い笑顔を返された。何故に。
「なんっ、エヴァっ、こんな、ところでっ」
受け取ったハンカチで口を拭いつつ、エヴァンを睨むジェームス。
ちな、今俺達がいるの学園内のカフェ。
オープンテラスで軽食を食べつつ午後のひと時中。
前の授業が剣技の実技で腹が減ったんだよ。
勿論腹を空かしたのは俺達だけじゃない。
つまり。マワリイッパイヒトイルヨー。
急に始まった下ネタにソワソワしながら耳だけ傾ける思春期真っ只中の少年達。
「別に良くね?ヤローしかいねーし」
「そういう問題ではありません!
殿下もご一緒しているのですよ!?」
俺がサラッと零したら矛先が俺に向いたし。
イライラにカルシウムって関係無かったんだっけ?
俺はジェームスが食べてる白身魚のフライサンドをチラッと見ながら思った。
「僕は構わないよ?(僕も早くアレクとしたいしね)」
!?今背筋がゾワッてしたヨ!
怖い副音声聞こえたヨ!目が攻め手の目だヨ!
「そ、そーかーっ、俺まだだからワカンナイヨー!」
俺は目を思いっきり逸らして誤魔化した。
そう、俺まだ夢精来てないんだよ。そろそろ来ると思うんだけどなー。
来たら先ずは右手とお友達になってみたい!
「ふふ、大丈夫。来てなくても出来るから(ドライとかね)」
おうっふ!鋭利な反撃のお言葉!
だから目が怖くなってるからー!
くぅっ、美味しく頂かれる前に美味しく頂いてみせるんだからね!ちっくしょー!
「それよりっ!次の授業に行こうぜ!」
これは逃げじゃない。戦略的撤退ってやつだ!
断じてデイヴィッドの目が空恐ろしいんじゃないんだからねっ。
「おや、もうそんな時間ですか。
時が経つのは早いものですね」
俺が嫌な汗を掻きつつ立ち上がると、ジェームスが話に乗ってくれた。
良い奴だよなー。ジェームス。
俺が優しいジェームスにほっこりしてると、デイヴィッドが俺の腰に手を回して来た。
「そうだな。(少し早いが可愛い姿を大多数に見られるのも嫌だし)行こうか」
明らかに「そうだな」から「行こうか」までの間が長いよね!聞こえてんだよ副音声!
「いちいち腰掴まんでもいいだろ!?」
「ん?何か問題でも?」
デイヴィッドの手を振り払おうとしたら笑ってない笑顔で言われた。
しかも掴む手に力入れられた。
「……無いヨ……」
拒絶しきれなかった俺。多分間違ってない。
これ拒絶してたら何か怖い事が起こってたと思う。
この後何故かやたら上機嫌のデイヴィッドに、腰に手を回されたまま授業受けた。何故に。
「なあ、デイヴよ。そろそろ放してくれても良いんじゃないかね」
授業終わりにそう切り出したが、またしてもいい笑顔を返された。
「うんそうだねぇ。ところで次の舞踏会の準備は出来てるかい?」
同意されたと思ったのに手が離れない……だと?
いやそれより舞踏会か。またそんな季節になったんだなー。
「舞踏会ってことは、またドレス着んのか」
エヴァンがニヤニヤしながら聞いて来た。
「まあ、母様との約束だからな」
そう、俺は何故か公式の場では女装して出席してる。
女物が嫌いって訳じゃねーから良いんだけど……。そろそろ体格的にヤバくね?
「ああ。アレのお陰で勘違いしている人がいるんですよね。
殿下の婚約者が令嬢だと未だに勘違いしている人が」
「最近艶かしさに磨きが掛かって来てるしね」
「俺、以前学園の奴に紹介してくれって言われた時有るぜ。
そん時ゃマジで噴いたわ」
なん……だと……?
今の俺の女装は傍から見たらさぞキモイんだろうなーって思ってたぞ。
「……アレクは女装時の自身の姿を見たことは?」
驚愕し慄いていたら、ジェームスに何とも言えない顔で聞かれた。
「そーいや無いな。支度は全部メイドがやるし」
顎に手を当てて考えてみるが、そういやちっこい頃に面白がって見た位か。最近はねーや。
「今度はじっくりガッツリちゃんと見る事をお勧め致します」
ジェームスに両肩に手を置かれて真面目な顔で言われた。
エヴァンはニヤニヤ笑いながらウンウン頷いてる。
チラリとデイヴィッドを見ると……。キラキラエフェクトを飛ばした良い笑顔を戴きました。
マジか。
2
お気に入りに追加
57
あなたにおすすめの小説
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい
金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。
私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。
勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。
なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。
※小説家になろうさんにも投稿しています。
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる