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後章
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世界樹の元へは日程を調節して行く事になった。
初めは姿の見えない精霊の話ということで皆が難色を示していたけど、アクセルが太鼓判を押してくれたことでなんとか行ける事になった。
「ええっと、滞在日数は7日間だからその間の野菜ちゃん達のお世話をお願い」
俺の方もいない間のお世話を代わって貰わなきゃという事で急遽各地の農民仲間に募集を掛けたんだけど……。
「「「お任せ下さい王妃陛下!」」」
何で全地のハウス栽培責任者が来てんの。
良い笑顔で敬礼されても困り笑顔しか返せん。一応各地のハウスは他にいっぱい農民がいるらしいから一人位抜けてもいいんだろうけど、責任者来てどうすんの。
「ふっふっふ。大人げなくとも全力で勝ち取ったこの任務、見事達成してみせます」
「おお、お前んとこも大変だったか!俺のとこも中々に熾烈な争奪戦だったぜ!」
おいこら、何してけつかんねん。
ちょっと気が遠のきそうだったけど、深く突っ込むのは止めておこう。なんせ相手は農民と言っても魔族。一般魔族でさえ人間の戦士に匹敵する強さを誇るという噂の魔族。俺なんて何人いても相手にならん程のレベル差だ。藪は突かない。これ大事。
「それじゃあ注意事項は以上で宜しく」
「「「イエス!マム!」」」
「ママじゃねぇ……」
テンといいこの人らといい、なんで皆俺を母親にしたがるのか正式に異議申し立てをしたい。
脱力した俺はそれでも強面だけど根は優しい皆さんに何も言えず、すごすごと自室に引き籠るのだった。今日はこれから持ってく荷物の整理をするから忙しいんだ。
◇魔王サイド◇
「おい。多過ぎだ」
我は山済みの書類を片付けながら、それでも浮足立っていた。
ユタと泊り掛けの旅行。その文言は我が心内をウキウキさせるに効果的だった。
っふ。この我がこのような感情を持つとはな。これもユタが可愛すぎるお陰よ。旅行が決まった時のユタの輝く微笑みは我が胸中に満開の花となって咲き誇っている。っく、思い出したら抱きたくなってしまった。優しく、真綿に包むように抱いてやりたい。
「7日も留守にするのです。むしろ少ない方ですよ」
自分に正直な屹立に、よし今から行くかと腰を浮かしかけた所で邪魔が入った。
ぐぅ、こやつ古くからいる竜種の所為か融通が利かん。有能故雇い続けているがユタとの時間を邪魔するならばクビに、
「中途半端で仕事を投げ出す男は王妃陛下もお好きではないでしょう。以前お聞きしたお話では、何でも陛下は強くて、仕事が出来て、自分の本来の仕事じゃなくても必要な事なら真面目に丁寧に対応してくれる大変恰好良い男でそんなの惚れるって。と申しておりましたし」
物理的にクビを切ってやろうとまで考え魔力を練ったところ飄々と言ってくるこやつが憎い、が今はそれどころではない。
「恰好良い、か?そうか、仕事をする我は恰好良くて惚れ惚れするか。
おい、何をぼさっと突っ立っている。もっと仕事を持ってこんか」
ならば常以上の量をこなしてやろうではないか。ユタが我を好きと言うならこれ位秒で終わらせてくれるわっ。
「ちょろ……はい、今お持ち致します」
「ん?今我を莫迦にする発言しなかったか?」
「いえ、しておりません。幻聴ですか?お疲れなら王妃陛下にハーブティーをご用意して貰いましょう」
「む。ユタの茶か。ユタの手が空いているようなら頼む。忙しくしているようなら無理強いはするでないぞ」
「御意」
恭しく頭を下げて出ていく奴に一瞥だけくれて、我は仕事に戻った。
その後ワゴンに山と積んだ書類の束を持って来た時には殺意が再燃したが、その後ろからひょっこり顔を出したユタが、
「凄い!アクセルはこんな凄い量も簡単に捌けちゃうんだ!」
と言って茶と茶菓子を用意し、手が離せぬ我の手に代わって「あーん」をしてくれたから許してやろう。恩赦である。
初めは姿の見えない精霊の話ということで皆が難色を示していたけど、アクセルが太鼓判を押してくれたことでなんとか行ける事になった。
「ええっと、滞在日数は7日間だからその間の野菜ちゃん達のお世話をお願い」
俺の方もいない間のお世話を代わって貰わなきゃという事で急遽各地の農民仲間に募集を掛けたんだけど……。
「「「お任せ下さい王妃陛下!」」」
何で全地のハウス栽培責任者が来てんの。
良い笑顔で敬礼されても困り笑顔しか返せん。一応各地のハウスは他にいっぱい農民がいるらしいから一人位抜けてもいいんだろうけど、責任者来てどうすんの。
「ふっふっふ。大人げなくとも全力で勝ち取ったこの任務、見事達成してみせます」
「おお、お前んとこも大変だったか!俺のとこも中々に熾烈な争奪戦だったぜ!」
おいこら、何してけつかんねん。
ちょっと気が遠のきそうだったけど、深く突っ込むのは止めておこう。なんせ相手は農民と言っても魔族。一般魔族でさえ人間の戦士に匹敵する強さを誇るという噂の魔族。俺なんて何人いても相手にならん程のレベル差だ。藪は突かない。これ大事。
「それじゃあ注意事項は以上で宜しく」
「「「イエス!マム!」」」
「ママじゃねぇ……」
テンといいこの人らといい、なんで皆俺を母親にしたがるのか正式に異議申し立てをしたい。
脱力した俺はそれでも強面だけど根は優しい皆さんに何も言えず、すごすごと自室に引き籠るのだった。今日はこれから持ってく荷物の整理をするから忙しいんだ。
◇魔王サイド◇
「おい。多過ぎだ」
我は山済みの書類を片付けながら、それでも浮足立っていた。
ユタと泊り掛けの旅行。その文言は我が心内をウキウキさせるに効果的だった。
っふ。この我がこのような感情を持つとはな。これもユタが可愛すぎるお陰よ。旅行が決まった時のユタの輝く微笑みは我が胸中に満開の花となって咲き誇っている。っく、思い出したら抱きたくなってしまった。優しく、真綿に包むように抱いてやりたい。
「7日も留守にするのです。むしろ少ない方ですよ」
自分に正直な屹立に、よし今から行くかと腰を浮かしかけた所で邪魔が入った。
ぐぅ、こやつ古くからいる竜種の所為か融通が利かん。有能故雇い続けているがユタとの時間を邪魔するならばクビに、
「中途半端で仕事を投げ出す男は王妃陛下もお好きではないでしょう。以前お聞きしたお話では、何でも陛下は強くて、仕事が出来て、自分の本来の仕事じゃなくても必要な事なら真面目に丁寧に対応してくれる大変恰好良い男でそんなの惚れるって。と申しておりましたし」
物理的にクビを切ってやろうとまで考え魔力を練ったところ飄々と言ってくるこやつが憎い、が今はそれどころではない。
「恰好良い、か?そうか、仕事をする我は恰好良くて惚れ惚れするか。
おい、何をぼさっと突っ立っている。もっと仕事を持ってこんか」
ならば常以上の量をこなしてやろうではないか。ユタが我を好きと言うならこれ位秒で終わらせてくれるわっ。
「ちょろ……はい、今お持ち致します」
「ん?今我を莫迦にする発言しなかったか?」
「いえ、しておりません。幻聴ですか?お疲れなら王妃陛下にハーブティーをご用意して貰いましょう」
「む。ユタの茶か。ユタの手が空いているようなら頼む。忙しくしているようなら無理強いはするでないぞ」
「御意」
恭しく頭を下げて出ていく奴に一瞥だけくれて、我は仕事に戻った。
その後ワゴンに山と積んだ書類の束を持って来た時には殺意が再燃したが、その後ろからひょっこり顔を出したユタが、
「凄い!アクセルはこんな凄い量も簡単に捌けちゃうんだ!」
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