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後章
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四大魔王は会食に付いている。俺を伴って。はっきり言って胃が痛い。
だって世界最強が揃ってるんだぞ!?覇気を抑えてくれてなかったらガクブルして呼吸止めてるところだっつーの!
「そうか、それであの秘島にいたのか」
話の本筋は秘島と世界樹について。領土に戻って直ぐに東西南の魔王に情報は送っていたらしい。
そりゃこれだけ重大な情報留めておけないよな。あれ?でも待てよ。それじゃあ俺を見に来たっていうのは冗談だったのか?もののついでか。それなら納得。
俺は目の前の他人に作って貰った料理に舌鼓を打ちながらウンウン一人で頷いていた。皆真面目な話をしてるから俺の奇行は目立たないだろう。
「他者からの転送。それも封じ込め目的でないと行けへん場所とはのう」
西の魔王が軽薄そうな見た目に反した真面目な顔で顎を撫でた。
「今までも封印目的で転送された者達がいたわよね。その子達もあの島に行ったって事かしら」
南の魔王は悩まし気に頬に手を当てて言う。改めて見ると絵面が凄いな。ムキムキマッチョなお姉系。しかも筋肉美を惜しげもなく晒してる。くそ羨ましい。農作業には向かなそうだから要らんけど。
「いや。島の殆どはデートで行ったが」
そこは暴露せんでもいいんじゃないかな。強調して言ってるとこ悪いけど。
「その形跡は見当たらなかった」
耳を赤くしてる俺に、視線を流してフッと一瞬見せた笑みが恰好良くて危うく咽るとこだった。
「はいはいご馳走様。まあそうよね、封印目的なら別に場所は秘島に限らず有るでしょうし」
「恐らく世界樹の影響だろう。あれは種別関係無く分け隔てが無いが悪意には拒絶を示す」
「ほおん、流石東のは呪術やら祈祷やらに長けとるのう。東のが言うんやったらそれが当たりやろな」
難しい話をしていたけど、もう終わりそうだ。纏めに入ってる感じだよな。
それじゃそろそろ食事に手を付けないか?食材になった野菜ちゃん達が一番美味しく食べれる今の内に。
チロリとアクセルを見て、全く手を付ける様子が無い料理に視線を落とす。これだけで俺が言いたい事は伝わる。アクセルならな。
「う。あー、みな。そろそろ料理に手を付けては如何かな」
珍しくニコリと営業スマイルを向けたアクセル。営業用ですら恰好良いな。
「いやよ。あたし、噂の北の胃袋を落とした最愛ちゃんの手料理が食べたいわ」
そっぽを向く南の魔王。それにカチンと来たのは、そう。俺です。
「皆の為に料理になった野菜ちゃん達が食べられないって言うのか?野菜ちゃんを蔑ろにする人には料理したくない」
「そもそもユタの手料理は我だけのものだ」
ついうっかり口から出てヤバい殺されるか!?って思う前にアクセルが俺を膝に乗せて言った。そして自分の分の料理を俺に食べさせようとする。
「アクセル……?」
ジト目で見上げれば逸らされる目。お前もか。
「我はもうユタの手料理しか胃が受け付けぬ」
子供か。
拗ねた物言いに俺のジト目は深みを増す。それは野菜ちゃんだけじゃなくて作ってくれた料理人に対しても失礼だろ。野菜ちゃんをこんなに美味しくしてくれる料理人には尊敬の念が絶えない。
そう思って横に控える料理人を見たら……ウンウンしたり顔で頷いてた。良いのかそれで。
「はぁ~。わかった。それじゃあ今出てる料理を全て平らげた人にだけデザート作る」
諦めて溜め息を吐くのも仕方ない。
でも俺の言葉に全員料理を平らげたのはビビった。そんなに凄い料理作れる訳じゃないのにな。
それでも怒らないで平らげる姿は何だか笑いが込み上げた。
だって世界最強が揃ってるんだぞ!?覇気を抑えてくれてなかったらガクブルして呼吸止めてるところだっつーの!
「そうか、それであの秘島にいたのか」
話の本筋は秘島と世界樹について。領土に戻って直ぐに東西南の魔王に情報は送っていたらしい。
そりゃこれだけ重大な情報留めておけないよな。あれ?でも待てよ。それじゃあ俺を見に来たっていうのは冗談だったのか?もののついでか。それなら納得。
俺は目の前の他人に作って貰った料理に舌鼓を打ちながらウンウン一人で頷いていた。皆真面目な話をしてるから俺の奇行は目立たないだろう。
「他者からの転送。それも封じ込め目的でないと行けへん場所とはのう」
西の魔王が軽薄そうな見た目に反した真面目な顔で顎を撫でた。
「今までも封印目的で転送された者達がいたわよね。その子達もあの島に行ったって事かしら」
南の魔王は悩まし気に頬に手を当てて言う。改めて見ると絵面が凄いな。ムキムキマッチョなお姉系。しかも筋肉美を惜しげもなく晒してる。くそ羨ましい。農作業には向かなそうだから要らんけど。
「いや。島の殆どはデートで行ったが」
そこは暴露せんでもいいんじゃないかな。強調して言ってるとこ悪いけど。
「その形跡は見当たらなかった」
耳を赤くしてる俺に、視線を流してフッと一瞬見せた笑みが恰好良くて危うく咽るとこだった。
「はいはいご馳走様。まあそうよね、封印目的なら別に場所は秘島に限らず有るでしょうし」
「恐らく世界樹の影響だろう。あれは種別関係無く分け隔てが無いが悪意には拒絶を示す」
「ほおん、流石東のは呪術やら祈祷やらに長けとるのう。東のが言うんやったらそれが当たりやろな」
難しい話をしていたけど、もう終わりそうだ。纏めに入ってる感じだよな。
それじゃそろそろ食事に手を付けないか?食材になった野菜ちゃん達が一番美味しく食べれる今の内に。
チロリとアクセルを見て、全く手を付ける様子が無い料理に視線を落とす。これだけで俺が言いたい事は伝わる。アクセルならな。
「う。あー、みな。そろそろ料理に手を付けては如何かな」
珍しくニコリと営業スマイルを向けたアクセル。営業用ですら恰好良いな。
「いやよ。あたし、噂の北の胃袋を落とした最愛ちゃんの手料理が食べたいわ」
そっぽを向く南の魔王。それにカチンと来たのは、そう。俺です。
「皆の為に料理になった野菜ちゃん達が食べられないって言うのか?野菜ちゃんを蔑ろにする人には料理したくない」
「そもそもユタの手料理は我だけのものだ」
ついうっかり口から出てヤバい殺されるか!?って思う前にアクセルが俺を膝に乗せて言った。そして自分の分の料理を俺に食べさせようとする。
「アクセル……?」
ジト目で見上げれば逸らされる目。お前もか。
「我はもうユタの手料理しか胃が受け付けぬ」
子供か。
拗ねた物言いに俺のジト目は深みを増す。それは野菜ちゃんだけじゃなくて作ってくれた料理人に対しても失礼だろ。野菜ちゃんをこんなに美味しくしてくれる料理人には尊敬の念が絶えない。
そう思って横に控える料理人を見たら……ウンウンしたり顔で頷いてた。良いのかそれで。
「はぁ~。わかった。それじゃあ今出てる料理を全て平らげた人にだけデザート作る」
諦めて溜め息を吐くのも仕方ない。
でも俺の言葉に全員料理を平らげたのはビビった。そんなに凄い料理作れる訳じゃないのにな。
それでも怒らないで平らげる姿は何だか笑いが込み上げた。
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