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ナニを如何して如何なったのか、あの俺様何様勇者様なテンが、あの有名な「私達ぃ一線超えちゃったのぉ」な大人の階段上った乙女な状態になってる。
「大丈夫?ダメなら言って。直ぐ戻るから」
顔を近付けて言われるテン。その時に背中を支えていた手でテンの頬を撫で、それにテンがビクリと体を震わせて「ぁ」とか声を上げて、その直ぐ側にいる俺居た堪れない。
友達のそういうシーンって見たくないよな。そんで本来は見られたくも無い筈。なのにテンよ、お前はどうしてその目をご飯に置き換えていやがりますか。お陰でヴェイズが俺を見る目が滅茶コワッ!殺意マジでヤバい勘弁してくれガクブルガクブル。
「くふっ。何をそんなに恐れているの?疾しい事でも有るのかな?」
仄暗い笑みで問われて全力で頭を横に振る俺。「ひゅっ」と息が止まり掛けた。
「ユタを怖がらせるな」
蒼褪める俺を抱き寄せた魔王の胸に甘んじて縋る。落ち着く、安心する、安定の筋肉だ。魔王の体温と鼓動が俺をこの場に留めてくれる。
「は?小者が僕のテンの気を引くからだろう。守りたいなら首輪でも付けてこっちによこさない事だね」
何でお前らって顔合わせれば一触即発な状態にしようとするんだ!俺だって好き好んでヤンデレに首なんて突っ込みたくないわっ!ドチクショウ!
とは思うものの口には出せないのが所詮村人。最弱なんです、俺。
なんかね、もうね、野菜ちゃん達が無事ならもうそれで良いかなって。これは逃げじゃ無いよな?な?って自分に言い聞かせてみる。
「は?我のユタが羽虫如きに気などやる訳なかろう。鍋は大人数の方が楽しいという。そして偶々この島にいたその他大勢がお前達だけだっただけだ。でなければ我とて羽虫など願い下げだ」
「くふふふふふふ。ねぇ?羽虫って、僕のテンの事じゃ、無いよねぇ?」
「ほう?他に羽虫がいたかな?」
だああああああ!?火花やら電流やら迸らせるなあああああ!!
ねえ?これほっといて大丈夫?大丈夫かな?俺の野菜ちゃん達。
心配になって現状を冷静に分析しようとゴクリと生唾を飲み込んだ。
魔王の足元にはバチバチというドス昏い魔法陣。
ヴェイズの背後にはビキビキと白く稲光る魔法陣。
うん。全然大丈夫く無かった。
現状を受け入れてうっかり目を細めて遠い目をする。所じゃねええっ!止めないとっ!
「ま、魔王っ落ち着いて!?鍋に入れるネギちゃんや白菜ちゃんが傷付いちゃう!」
俺の懇願に「ぐぅ」と呻いて発動はしないで留めてくれる魔王。魔法陣を解かないのはヴェイズが放つのを止める為だろうな。
ヴェイズを止めるには……!
「テン!ヴェイズ止められないなら鍋は無し!!」
『!!ヴィー……鍋……!』
俺の言葉は届いた。
目を鍋にしたテンは、擦れる艶やかな声音でヴェイズの肩口に擦り寄った。どうやら自分からの刺激も感度良く拾うのか、所々で喘ぎ声が漏れるのが耳に辛いが今は我慢だ俺。
初見の遣り取りしか二人の仲は伺え知れないけど、どうやら暫く会わない内に愛称で呼ぶ位には色々と、想像はしないが色々と有ったんだな。
「……仕方ないなぁ、僕のテンは。今日は特別だよ?」
どうやらテンの説得は功を奏したらしい。魔法陣を解いたヴェイズに合わせて魔王も魔法陣を解いたのだった。
ふぅ、危機は去った……。
「大丈夫?ダメなら言って。直ぐ戻るから」
顔を近付けて言われるテン。その時に背中を支えていた手でテンの頬を撫で、それにテンがビクリと体を震わせて「ぁ」とか声を上げて、その直ぐ側にいる俺居た堪れない。
友達のそういうシーンって見たくないよな。そんで本来は見られたくも無い筈。なのにテンよ、お前はどうしてその目をご飯に置き換えていやがりますか。お陰でヴェイズが俺を見る目が滅茶コワッ!殺意マジでヤバい勘弁してくれガクブルガクブル。
「くふっ。何をそんなに恐れているの?疾しい事でも有るのかな?」
仄暗い笑みで問われて全力で頭を横に振る俺。「ひゅっ」と息が止まり掛けた。
「ユタを怖がらせるな」
蒼褪める俺を抱き寄せた魔王の胸に甘んじて縋る。落ち着く、安心する、安定の筋肉だ。魔王の体温と鼓動が俺をこの場に留めてくれる。
「は?小者が僕のテンの気を引くからだろう。守りたいなら首輪でも付けてこっちによこさない事だね」
何でお前らって顔合わせれば一触即発な状態にしようとするんだ!俺だって好き好んでヤンデレに首なんて突っ込みたくないわっ!ドチクショウ!
とは思うものの口には出せないのが所詮村人。最弱なんです、俺。
なんかね、もうね、野菜ちゃん達が無事ならもうそれで良いかなって。これは逃げじゃ無いよな?な?って自分に言い聞かせてみる。
「は?我のユタが羽虫如きに気などやる訳なかろう。鍋は大人数の方が楽しいという。そして偶々この島にいたその他大勢がお前達だけだっただけだ。でなければ我とて羽虫など願い下げだ」
「くふふふふふふ。ねぇ?羽虫って、僕のテンの事じゃ、無いよねぇ?」
「ほう?他に羽虫がいたかな?」
だああああああ!?火花やら電流やら迸らせるなあああああ!!
ねえ?これほっといて大丈夫?大丈夫かな?俺の野菜ちゃん達。
心配になって現状を冷静に分析しようとゴクリと生唾を飲み込んだ。
魔王の足元にはバチバチというドス昏い魔法陣。
ヴェイズの背後にはビキビキと白く稲光る魔法陣。
うん。全然大丈夫く無かった。
現状を受け入れてうっかり目を細めて遠い目をする。所じゃねええっ!止めないとっ!
「ま、魔王っ落ち着いて!?鍋に入れるネギちゃんや白菜ちゃんが傷付いちゃう!」
俺の懇願に「ぐぅ」と呻いて発動はしないで留めてくれる魔王。魔法陣を解かないのはヴェイズが放つのを止める為だろうな。
ヴェイズを止めるには……!
「テン!ヴェイズ止められないなら鍋は無し!!」
『!!ヴィー……鍋……!』
俺の言葉は届いた。
目を鍋にしたテンは、擦れる艶やかな声音でヴェイズの肩口に擦り寄った。どうやら自分からの刺激も感度良く拾うのか、所々で喘ぎ声が漏れるのが耳に辛いが今は我慢だ俺。
初見の遣り取りしか二人の仲は伺え知れないけど、どうやら暫く会わない内に愛称で呼ぶ位には色々と、想像はしないが色々と有ったんだな。
「……仕方ないなぁ、僕のテンは。今日は特別だよ?」
どうやらテンの説得は功を奏したらしい。魔法陣を解いたヴェイズに合わせて魔王も魔法陣を解いたのだった。
ふぅ、危機は去った……。
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