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チュンチュン。と、雀の鳴き声で目が覚めた。
ボーとしながら歪む視界を徐々に正常なものに戻していき、直後にギュッと両目を力強く瞑った。
何で全裸の魔王と向かい合わせで寝てんの俺!?
しかも良く見りゃ俺も全裸。
え?え?どういう状況だコレ?
待て、落ち着け俺。
昨日は強い日差しと保存肉を作るので汗と汚れが酷かった。
だから久し振りに温泉に行ったんだ。
魔王と一緒に。
ふぬぉおおおおお!!何で思い出した俺ええええええ!!
「ぬ……起きたか。ユタ」
超密着状態で百面相してたら魔王が起きてしまった。これでは気付かれる前に離れて無かった事になど出来はしない。
「ぅおはよぉまぉお」
やば。動揺して声が裏返った。
動揺したことに動揺して視線を彷徨わせると、魔王はふと朝陽に照らされた優しい微笑みを見せた。
「体調は崩しておらぬか?」
しかも体を慮ってくれる。くそ優しいな、おい。
転生勇者より優しい魔王って世の中可笑しくないか?
「ええっと。大丈夫」
後ろも違和感が無い。ってことは俺の尊厳は未だ守られているらしい。
と、考えた所で疑問が起きた。
「俺。あの後気を失ったんだよな。なのに最後までしなかったのか」
思えば初めの頃も寝ていた俺には無体な真似をした事がなかった。
真面目に問えば魔王も真面目な顔を返してくれる。
「約束したであろう。ユタが我に惚れぬ限りは最後までせぬと」
人間だって約束を守らない人間がいるのに。この魔王は誠実に守ろうとしてくれてる。
魔王にとっては日常だったかもしれない行為なのに、ただの村人でしかない俺の意を優先してくれてるんだな。
「それに寝ている者を抱いて喜ぶ趣味も無い」
どうしよう。
常識が違う筈の魔王が転生者より常識的だ。
この瞬間。揺らぎかけていた魔王という存在の嫌悪感は、綺麗さっぱりと消え失せたのを俺は感じていた。
「っふ。惚れ直したか?」
緩む表情筋を見て何を勘違いしたのか魔王が俺の頬を撫でて言った。
「そもそも惚れてねえよ」
撫でる手を防げない事は学んでる。だから半眼で反論しておく。
「なんと強情な者よな」
魔王は苦笑して、でも穏やかな顔をする。その顔にドキッとした。
俺は芽生え始めた感情を無視するなんて出来なくて、気恥ずかしさから視線を逸らす。
「……でも。嫌いでも無い」
村でも性に奔放な友人位いた。村長の息子とか。
そう思えば魔王だって友達になれるよな。あくまで友達だけどな!
◇魔王サイド◇
昨夜はユタが寝ていたから素肌を合わせて寝た。
洗いたてのユタの肌は、普段手入れをしていないにも関わらずきめ細やく滑らかだ。つまりとても気持ちが良い。
力なく寝入るユタの足と絡めて抱き込めば、その暖かさに我も直ぐに夢へと落ちて行った。
翌朝ユタの目覚めを感じ取り目を覚ませば、真っ赤な顔して恥じらう姿が目に入り、その愛らしさに思わず目眩がする所であった。
平常心を保ち昨夜の余韻が残っていないか、風邪を引いていないか問えば大丈夫だと答えがあり安堵する。
それより「あの後最後までしなかったのか」と不思議そうな顔で言われてしまった。
我が畜生と同じ堪え性の無い小者だと思っておったのだろうか。心外ではあるが世の魔王や転生勇者は確かに畜生同然だったな。では魔王がそういうものと誤解していても仕方あるまい。
「約束したであろう。ユタが我に惚れぬ限りは最後までせぬと。
それに寝ている者を抱いて喜ぶ趣味も無い」
ここは誤解を解く為にもしっかり伝えておく。
するとユタは今まで見た事がないとても穏やかな優しい笑みを浮かべた。
「っふ。惚れ直したか?」
「そもそも惚れてねえよ」
その顔に触れたくて撫でて軽口で確認するが、半眼で釣れない反論をされてしまった。
「なんと強情な者よな」
わかってはいた答え故に苦笑が禁じ得ない。
それなのに次のユタの呟きに、我は歓喜に打ち震える事になる。
「……でも。嫌いでも無い」
ふ。ふはは。ふはははははっ!
来た。来たぞ!ついにユタが我に気を許した!!
何と言う高揚感だろう。達成感に珍しく心臓が早鐘を打っているぞ。
ここまで来れば我に惚れさせるのも時間の問題であろう。昨夜思い留まった我は矢張り英断であった。
そうだ。以前寝た者が言っていたではないか。押して駄目なら引いてみよ!とな。我には効かぬがユタのような平凡村人ならチョロいというもの。
この調子で今日明日中にユタのナカを我で満たしてくれるわ!はーはっはっは!
この時の我は嫌われていない事を知り悦に入っていた。
この喜びが思う通りに事が進んだ事へのものだと信じて疑わなかったのだ。
ボーとしながら歪む視界を徐々に正常なものに戻していき、直後にギュッと両目を力強く瞑った。
何で全裸の魔王と向かい合わせで寝てんの俺!?
しかも良く見りゃ俺も全裸。
え?え?どういう状況だコレ?
待て、落ち着け俺。
昨日は強い日差しと保存肉を作るので汗と汚れが酷かった。
だから久し振りに温泉に行ったんだ。
魔王と一緒に。
ふぬぉおおおおお!!何で思い出した俺ええええええ!!
「ぬ……起きたか。ユタ」
超密着状態で百面相してたら魔王が起きてしまった。これでは気付かれる前に離れて無かった事になど出来はしない。
「ぅおはよぉまぉお」
やば。動揺して声が裏返った。
動揺したことに動揺して視線を彷徨わせると、魔王はふと朝陽に照らされた優しい微笑みを見せた。
「体調は崩しておらぬか?」
しかも体を慮ってくれる。くそ優しいな、おい。
転生勇者より優しい魔王って世の中可笑しくないか?
「ええっと。大丈夫」
後ろも違和感が無い。ってことは俺の尊厳は未だ守られているらしい。
と、考えた所で疑問が起きた。
「俺。あの後気を失ったんだよな。なのに最後までしなかったのか」
思えば初めの頃も寝ていた俺には無体な真似をした事がなかった。
真面目に問えば魔王も真面目な顔を返してくれる。
「約束したであろう。ユタが我に惚れぬ限りは最後までせぬと」
人間だって約束を守らない人間がいるのに。この魔王は誠実に守ろうとしてくれてる。
魔王にとっては日常だったかもしれない行為なのに、ただの村人でしかない俺の意を優先してくれてるんだな。
「それに寝ている者を抱いて喜ぶ趣味も無い」
どうしよう。
常識が違う筈の魔王が転生者より常識的だ。
この瞬間。揺らぎかけていた魔王という存在の嫌悪感は、綺麗さっぱりと消え失せたのを俺は感じていた。
「っふ。惚れ直したか?」
緩む表情筋を見て何を勘違いしたのか魔王が俺の頬を撫でて言った。
「そもそも惚れてねえよ」
撫でる手を防げない事は学んでる。だから半眼で反論しておく。
「なんと強情な者よな」
魔王は苦笑して、でも穏やかな顔をする。その顔にドキッとした。
俺は芽生え始めた感情を無視するなんて出来なくて、気恥ずかしさから視線を逸らす。
「……でも。嫌いでも無い」
村でも性に奔放な友人位いた。村長の息子とか。
そう思えば魔王だって友達になれるよな。あくまで友達だけどな!
◇魔王サイド◇
昨夜はユタが寝ていたから素肌を合わせて寝た。
洗いたてのユタの肌は、普段手入れをしていないにも関わらずきめ細やく滑らかだ。つまりとても気持ちが良い。
力なく寝入るユタの足と絡めて抱き込めば、その暖かさに我も直ぐに夢へと落ちて行った。
翌朝ユタの目覚めを感じ取り目を覚ませば、真っ赤な顔して恥じらう姿が目に入り、その愛らしさに思わず目眩がする所であった。
平常心を保ち昨夜の余韻が残っていないか、風邪を引いていないか問えば大丈夫だと答えがあり安堵する。
それより「あの後最後までしなかったのか」と不思議そうな顔で言われてしまった。
我が畜生と同じ堪え性の無い小者だと思っておったのだろうか。心外ではあるが世の魔王や転生勇者は確かに畜生同然だったな。では魔王がそういうものと誤解していても仕方あるまい。
「約束したであろう。ユタが我に惚れぬ限りは最後までせぬと。
それに寝ている者を抱いて喜ぶ趣味も無い」
ここは誤解を解く為にもしっかり伝えておく。
するとユタは今まで見た事がないとても穏やかな優しい笑みを浮かべた。
「っふ。惚れ直したか?」
「そもそも惚れてねえよ」
その顔に触れたくて撫でて軽口で確認するが、半眼で釣れない反論をされてしまった。
「なんと強情な者よな」
わかってはいた答え故に苦笑が禁じ得ない。
それなのに次のユタの呟きに、我は歓喜に打ち震える事になる。
「……でも。嫌いでも無い」
ふ。ふはは。ふはははははっ!
来た。来たぞ!ついにユタが我に気を許した!!
何と言う高揚感だろう。達成感に珍しく心臓が早鐘を打っているぞ。
ここまで来れば我に惚れさせるのも時間の問題であろう。昨夜思い留まった我は矢張り英断であった。
そうだ。以前寝た者が言っていたではないか。押して駄目なら引いてみよ!とな。我には効かぬがユタのような平凡村人ならチョロいというもの。
この調子で今日明日中にユタのナカを我で満たしてくれるわ!はーはっはっは!
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