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一章 異世界迷宮編
15 はじめてのダンジョン
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というわけで、一党を組んだ翌日の昼。
私と不動仁は迷宮の入り口前にある広場で三人を待っていた。
「すみません、お待たせしました」
「いやー、イーサンのやつがあれもこれもって買い物していて遅くなっちまって」
「それをいうなら、アーベルこそ新しい槍を選ぶのにあーでもないこーでもないと時間をかけて……」
中々に騒々しい三人組である。
「代わりの槍は買えたの?」
「おかげさまで。以前の槍より随分良いものになったっすよ」
新しい槍を器用にくるくる回してみせるアーベル。
昨日不動仁が彼の槍を折ったことに対する詫びとして、新しい槍を買うよう少し多めにお金を渡してあったのだ。
盗賊から奪った金品も残り少なくなってきたので、今日からしっかり稼がないと。
「よし。それでは行くぞ」
「「「はい」」」
不動仁に促され、さっそく私たちは地下迷宮の入口へと向かった。
冒険者ギルドの隣にある大きな寺院のような白亜の建物。これが地下迷宮への入り口である。
建物の扉の両脇には兵士が立っており、昨日いわれた通り彼らにギルドカードを確認してもらうことで、中へと入ることができた。
そうしてしばらく建物の中を進むと、やがて横幅の広い階段が現れる。ここから地下へと降りていくのだ。
長い階段を降りていくと、やがて岩盤をくり抜いた隧道のような通路へと出る。思ったよりも広く、外に比べ随分冷んやりしていた。
「ここが地下迷宮の一階になります。ジンさんたちは初めてなんすよね?
俺たち、中層域まではいったことあるんで、案内しましょうか?」
「そうだな。最短ルートで頼む」
「了解!」
アーベルを先頭に、地下迷宮を進んでいく。その途中で、ジャイアントバットとジャイアントラットの襲撃を受けた。
「せい!」
「はっ!」
「インベル・イグニス!」
アーベルが槍で突き、イーサンが手にした弓で矢を放つ。リスティンが火雨の魔術によって宙を飛ぶジャイアントバットを撃ち落としていった。
基本的にはアーベルたち三人が倒していくも、その攻撃から逃れた何匹かが不動仁へと襲いかかる。
「ふむ。ただの動物だな」
ゴブリンのとき同様、どれも一撃で屠っていく不動仁。
倒したあとは、三人組がそれぞれの牙を回収していった。
「あれが呪物というやつか」
「そう。この世界の生物は死んだときにそれぞれ魔力を蓄える場所があるの。
人間の場合は心臓だし、あの魔物の場合は牙ね。
強い魔物ほど魔力量が多く、また一箇所だけでなく分散して蓄えることもあるわ。
ちなみにダンジョン内で呪物を失った魔物──死んだ魔物は、外にくらべて早く朽ちていく。魔物の肉も食べれないことはないけれど、普通の家畜として育てられたものの方が美味しいわね」
「そうか」
ゴブリンのときみたいにいきなり食べられたら他のメンバーもドン引きするだろうと説明しておく。
地下迷宮内はいくつもの路に分かれているものの、アーベルたちは迷いなく進み、やがて下へと降りる階段が現れた。
「他にも下へと降りる階段はあるんですが、ここが一番早いんです。その分出現する魔物の数は多いのですが」
イーサンが説明してくれる。多いとはいっても序盤の魔物は弱いので、問題ないそうだ。
こうして、私たちははじめてのダンジョンを進んで行った。
私と不動仁は迷宮の入り口前にある広場で三人を待っていた。
「すみません、お待たせしました」
「いやー、イーサンのやつがあれもこれもって買い物していて遅くなっちまって」
「それをいうなら、アーベルこそ新しい槍を選ぶのにあーでもないこーでもないと時間をかけて……」
中々に騒々しい三人組である。
「代わりの槍は買えたの?」
「おかげさまで。以前の槍より随分良いものになったっすよ」
新しい槍を器用にくるくる回してみせるアーベル。
昨日不動仁が彼の槍を折ったことに対する詫びとして、新しい槍を買うよう少し多めにお金を渡してあったのだ。
盗賊から奪った金品も残り少なくなってきたので、今日からしっかり稼がないと。
「よし。それでは行くぞ」
「「「はい」」」
不動仁に促され、さっそく私たちは地下迷宮の入口へと向かった。
冒険者ギルドの隣にある大きな寺院のような白亜の建物。これが地下迷宮への入り口である。
建物の扉の両脇には兵士が立っており、昨日いわれた通り彼らにギルドカードを確認してもらうことで、中へと入ることができた。
そうしてしばらく建物の中を進むと、やがて横幅の広い階段が現れる。ここから地下へと降りていくのだ。
長い階段を降りていくと、やがて岩盤をくり抜いた隧道のような通路へと出る。思ったよりも広く、外に比べ随分冷んやりしていた。
「ここが地下迷宮の一階になります。ジンさんたちは初めてなんすよね?
俺たち、中層域まではいったことあるんで、案内しましょうか?」
「そうだな。最短ルートで頼む」
「了解!」
アーベルを先頭に、地下迷宮を進んでいく。その途中で、ジャイアントバットとジャイアントラットの襲撃を受けた。
「せい!」
「はっ!」
「インベル・イグニス!」
アーベルが槍で突き、イーサンが手にした弓で矢を放つ。リスティンが火雨の魔術によって宙を飛ぶジャイアントバットを撃ち落としていった。
基本的にはアーベルたち三人が倒していくも、その攻撃から逃れた何匹かが不動仁へと襲いかかる。
「ふむ。ただの動物だな」
ゴブリンのとき同様、どれも一撃で屠っていく不動仁。
倒したあとは、三人組がそれぞれの牙を回収していった。
「あれが呪物というやつか」
「そう。この世界の生物は死んだときにそれぞれ魔力を蓄える場所があるの。
人間の場合は心臓だし、あの魔物の場合は牙ね。
強い魔物ほど魔力量が多く、また一箇所だけでなく分散して蓄えることもあるわ。
ちなみにダンジョン内で呪物を失った魔物──死んだ魔物は、外にくらべて早く朽ちていく。魔物の肉も食べれないことはないけれど、普通の家畜として育てられたものの方が美味しいわね」
「そうか」
ゴブリンのときみたいにいきなり食べられたら他のメンバーもドン引きするだろうと説明しておく。
地下迷宮内はいくつもの路に分かれているものの、アーベルたちは迷いなく進み、やがて下へと降りる階段が現れた。
「他にも下へと降りる階段はあるんですが、ここが一番早いんです。その分出現する魔物の数は多いのですが」
イーサンが説明してくれる。多いとはいっても序盤の魔物は弱いので、問題ないそうだ。
こうして、私たちははじめてのダンジョンを進んで行った。
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