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プロローグ
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「えー、まず私は神の一人。運命と転生の女神クロトと申しま」
「何を言ってるんだお前」
「いやいやいや、本当本当、これマジだから。はー、こういうやりとりが嫌だから、テンプレがいいのに」
「まあいい。話を続けろ、女」
「ぞんざい!
いやまーもういいけどさ。とりあえず簡単に言うと、神の仕事というのは、数多ある人間世界の管理で……」
「嘘だな」
「はぁ!?」
「嘘はつくな。俺は相手のわずかな挙動から嘘を見抜くことができる」
いやいやいやいや、何それ怖い。
「あー、もう正直に話しちゃった方がいいんじゃないっすか?」
「いや、別に今のも嘘ってわけじゃ…………あー、もう! わかったわよ。
簡単に言うと、創造した世界の住民生活を覗くことが神々にとっての娯楽なんだけど、平凡な人間の日常を追っても面白くないでしょ。だからちょっとしたスパイスを加えるわけ。
そのスパイスにも流行り廃りがあって、最近の流行として異世界転生があるわけよ」
「異世界転生?」
「あんたも日本に住んでたなら知ってるんじゃない?
そうしたアニメや漫画やラノベは腐るほどあるし」
「知らんな。そうしたものに興味はない」
「……さいですか。簡単にいうと、定期的にこちらの世界の魂を異世界に送って、色々活躍してもらうの。活躍する人間を主人公として鑑賞するってわけよ。
すぐに死んでも面白くないし、その他大勢の人間と一緒にしても面白くないから、色々とチートな能力を与えるんだけどね。それが私の仕事」
高い幸運度や周囲の環境に加えて、全ての魔術を使える適正や技をコピーするスキルなど、何かしら特化させることで差別化、つまりは主人公補正を行うわけである。
俺tueeeは天上でも人気なのだ。
「あなたの場合、死んでないから転生することはできないし、転移するにしても肉体を作り変えることができないから、そうした能力が得られないわけ。
ちなみになんだけど、死んでみる気はない?」
「ありえんな。俺は俺の力を試したいだけで、おかしげな能力などに頼るつもりは毛頭ない。大体、俺が死ぬときは俺が敗れたときだ」
それ以外はありえん、と鼻で笑う不動仁。
「正直、なんの力も付与することなく生身のままの人間を送り出すなんてことした事ないのよねー。上もなんていうか……」
正直、特例を認めることで、仕事中に漫画を読んでいたことがバレるのは困るのだ。
ここはなんとか誤魔化して、帰って頂くのがベターだろう。
──とそのとき、タイミングよくヘベの胸ポケットからスマホの着信音が流れる。
メールだったようで、ヘベはそれを確認すると、スマホを私に向かって放り投げた。読めということだろう。
「あっ、その上(親父殿)からっす」
「あのジジイ、地獄耳だ絶対」
ハンター協会の会長並だ。仕方なしにそれに目を通すと、
『特例として認める。ちなみに、仕事をサボっていた罰として、クロトもついていくように。
地獄耳のジジイより』
「はっ? えっ、ちょ…………まっ」
「引き継ぎは私の方でやっておくんで、いってらっしゃーい」
見れば、不動仁と私の身体が足元からすっと消え始めている。転送が始まったのだ。
「いやあああああああぁぁぁぁ…………!!?」
「~~♪」
ヘベが歌うとあるラジオ体操の歌が聞こえたところで、私の視界は暗転した。
「何を言ってるんだお前」
「いやいやいや、本当本当、これマジだから。はー、こういうやりとりが嫌だから、テンプレがいいのに」
「まあいい。話を続けろ、女」
「ぞんざい!
いやまーもういいけどさ。とりあえず簡単に言うと、神の仕事というのは、数多ある人間世界の管理で……」
「嘘だな」
「はぁ!?」
「嘘はつくな。俺は相手のわずかな挙動から嘘を見抜くことができる」
いやいやいやいや、何それ怖い。
「あー、もう正直に話しちゃった方がいいんじゃないっすか?」
「いや、別に今のも嘘ってわけじゃ…………あー、もう! わかったわよ。
簡単に言うと、創造した世界の住民生活を覗くことが神々にとっての娯楽なんだけど、平凡な人間の日常を追っても面白くないでしょ。だからちょっとしたスパイスを加えるわけ。
そのスパイスにも流行り廃りがあって、最近の流行として異世界転生があるわけよ」
「異世界転生?」
「あんたも日本に住んでたなら知ってるんじゃない?
そうしたアニメや漫画やラノベは腐るほどあるし」
「知らんな。そうしたものに興味はない」
「……さいですか。簡単にいうと、定期的にこちらの世界の魂を異世界に送って、色々活躍してもらうの。活躍する人間を主人公として鑑賞するってわけよ。
すぐに死んでも面白くないし、その他大勢の人間と一緒にしても面白くないから、色々とチートな能力を与えるんだけどね。それが私の仕事」
高い幸運度や周囲の環境に加えて、全ての魔術を使える適正や技をコピーするスキルなど、何かしら特化させることで差別化、つまりは主人公補正を行うわけである。
俺tueeeは天上でも人気なのだ。
「あなたの場合、死んでないから転生することはできないし、転移するにしても肉体を作り変えることができないから、そうした能力が得られないわけ。
ちなみになんだけど、死んでみる気はない?」
「ありえんな。俺は俺の力を試したいだけで、おかしげな能力などに頼るつもりは毛頭ない。大体、俺が死ぬときは俺が敗れたときだ」
それ以外はありえん、と鼻で笑う不動仁。
「正直、なんの力も付与することなく生身のままの人間を送り出すなんてことした事ないのよねー。上もなんていうか……」
正直、特例を認めることで、仕事中に漫画を読んでいたことがバレるのは困るのだ。
ここはなんとか誤魔化して、帰って頂くのがベターだろう。
──とそのとき、タイミングよくヘベの胸ポケットからスマホの着信音が流れる。
メールだったようで、ヘベはそれを確認すると、スマホを私に向かって放り投げた。読めということだろう。
「あっ、その上(親父殿)からっす」
「あのジジイ、地獄耳だ絶対」
ハンター協会の会長並だ。仕方なしにそれに目を通すと、
『特例として認める。ちなみに、仕事をサボっていた罰として、クロトもついていくように。
地獄耳のジジイより』
「はっ? えっ、ちょ…………まっ」
「引き継ぎは私の方でやっておくんで、いってらっしゃーい」
見れば、不動仁と私の身体が足元からすっと消え始めている。転送が始まったのだ。
「いやあああああああぁぁぁぁ…………!!?」
「~~♪」
ヘベが歌うとあるラジオ体操の歌が聞こえたところで、私の視界は暗転した。
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