三日坊主の幸せごっこ

月澄狸

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態度だけ

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 意見が違うから争いが起こると思っていたけれど、違う気がしてきた。
 争いが起こるような意見の違いとは……そういうのもあるっちゃあるだろうけど、結局のところ、「喧嘩腰」だったら、わりと似た者同士でも喧嘩になるだろうし、表面上穏やかだったら、わりと独特なことを言っていても争いにはならないんじゃないだろうか。

 私は今内心、半出生主義寄りだ。でも別に、自分以外の人の生き方をどうこうしてやろうなんて気はないのだ。
 ただ……。

 以前アシナガバチが家のベランダに巣を作って、それにお母さんが殺虫剤をかけて退治してくれたとき。みんなボトボトッと落ちて死んだ。女王様も。働き蜂も。きっと赤ちゃんたちも死んだ。産まれたばかりの卵も。
 毎日一生懸命、私なんかの倍以上一生懸命働いているハチたちの国が、一瞬で滅びた。

 私は引きこもりニート気質。生き物たちの方が懸命に真面目に、一生懸命やっている。外の過酷な気温の中、風雨に晒されながら。それを殺しながら、くだらないことでゲラゲラ笑ったり論争したり怠けたりしながら、生きている私って何だろう。

 なんかニュースとか見ていて、国同士で「報復」だの「思惑」だの言っていたり、人を動かしてどうこうしようとしているのを見ると、くだらないと思ってしまう。
 生き物たちだって殺戮もするし、獲物を弄んだり、時には過剰に殺すこともあるだろう。でも生き物たちの佇まいって、何か圧倒されるというか感動するというか。人間のやり方(主に政治とか?)って、見ていて心に響いてこないのだ。

 私が生きる代わりにアシナガバチを殺した、つまり私の命と引き換えにアシナガバチを死なせたのかもしれないけど、人間って大量に駆除しておいて、それすら忘れているような気がする。漁業、農業、狩猟、畜産などしておられる方は、命そのものと向き合っているんだろうけど。私たちはスーパーで買ったり、捨てたり。何故だろう、生き物たちの姿は心に響くが、人間の生き方は心が痛む。

 だからある意味、ひどい言い方をすれば、私は「みんな(人間)死んじゃえ」って思っているのかもしれないし、実際上手く行かないことがあって苦手な人がいると、殺意に到達するほどの憎しみを抱いたりすることもあるわけだけど。
 そういう過激思考と、「喧嘩になる」「争う」というのは。イコールではない可能性がある。上手く包み隠したり、言葉やら表現やらのオブラートに包んだりして、表向き穏やかだったら、争わずに語るだけになるかもしれない。


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