三日坊主の幸せごっこ

月澄狸

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非日常に焦がれつつ、変わらぬ日常

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 またまた陰口を聞いた。「誰とは言わないけど、役立たずが多すぎて……」みたいに言われてる(もうちょっとマイルドな表現だけど、要するにそういう意味だろう)。

 ターゲットを一人に絞って叩かないあたり、まだ優しいのか。私が通りかかったから私のこと言えないだけで、普段は絶対言っているんだろうけど。なんたって私はキングオブポンコツだもの。


 あー。悲しい。消えたい。悔しい。腹立つ。虚しい。感情グルグル。
 好きでポンコツやってるんじゃないやい。けど誰もポンコツを庇うことはできまい。

 申し訳ないとは思うけれど、申し訳なさも怒りに変わってくる。

 なんで好きなことで生きていけないんだ。なんで「好きなことを仕事にするのも楽じゃない」とか「好きと得意は違う」とか言うんだ。
 なんでこんな世の中なんだ。まったり遊んで生きていきたいだけなのに、なんで。

 私が頭悪いのか?


 けどなんか妙に優しく、甘くしてくれる人たちもいるんだよなぁ。哀れんでくれているのかな。それともあの人たちにも裏があって、「本当に月澄狸には困ったもんだよ」って言ってるのかな。

「困っている」は問題であり相談であって、悪口ではない。悪口言われているんじゃなく、みんな困っているんだ。遠回しで、直接言ってこないから分からんけど、多分私に。

 言いたいことあるなら直接言えよ! 結局陰でグダグダ言うだけの陰湿人間どもめが。
 どこが課題でどうしてほしいのか、言ってくれればいいのに。でも言われたら動揺するんだろう、私は。


 私だけじゃない、他の人だって陰口言われているじゃないか。誰でも言われるじゃないか。そこまで気に病むことない。自分のペースで頑張ればいい。と言ったって、おそらくこの職場で一番仕事が遅いの、私じゃないか。

 疑心暗鬼だ。人間不信だ。
 それでも私が悪い。悪いものは悪い。ああそうですよ、申し訳ありません。

 ……ダメだ、こんな態度じゃ。せめてもっとへりくだらないと。申し訳なさそうに、おとなしく、にこやかにしていないと。せめて……。


 感情グチャグチャ。逃げられるものなら逃げたかったはずなのに、現状を変える勇気もない。弱くなった、いや元から弱い。

 ポンコツに愚痴を吐く資格なんかない。愚痴が許されるのは、頑張っている人だけ。

 ポンコツの頑張りなど認めてもらえない。実績、能力、結果がすべてでしょ。
 もしも長年の引きニートから脱却して、なんとか頑張っているのだとしても、人並みじゃない中でがんばっているとしても、「だから何だ」という話であって、なんの評価もされないんでしょ。

「他人じゃなく自分と比べよう」とか言うけど、過去の自分と比べて良くなろうとしたって、結局世の中の基準は他人であって、私が100人中最下位だったら最下位。結果として足手まといになる、それだけでしょ。

 昨日の自分より成長したからといって何になる? そのうち退化が始まる。


 寝る前に泣く。ワーッと泣く。スッキリする、ということにする。
 仕事中に泣いたら鼻ばかりかんで仕事にならなくて、余計タイムロスだからね。まぁ泣くけど。

 死にたくない。生きたくない。消えたい。消えたくない。
 働きたくない。遊んでいたい。あーあー。


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