三日坊主の幸せごっこ

月澄狸

文字の大きさ
上 下
281 / 417

年齢と虚無

しおりを挟む
 年齢なんて気にしない人間でありたかったのに、最近年齢や、身体機能の衰えばかり気にしてしまう。

 何かの記事を読んでいて、パァッと開けるような考えを目にしても、「これ書いた人、何歳だ? 23歳か、まだ若いな。今は自分のスタイルに自信を持って書いておられるけど、この先ずっとそのスタイルを貫けるか疑問だな」などと失礼なことを思ったり。
「30歳、お金なし彼氏なし、人生のどん底からの大逆転!」とかいう話を見ると、「30歳だったら、まだギリギリ若いから、滑り込みで逆転できるのか。じゃあそれ以上の年齢だとこの話、参考にできないな」と思ったり。

 いつ老眼になるんだろうとか。自分の少し先の年齢が気になったり。
 体の不調はもう、治るどころか増えたり、悪化していくんだなとか。以前は健康なんて気にしておらず、好きなものを買い、好きに動いていたのに、今は薬の購入とか、病院に行くことをよく検討しているなとか。

 これ以上目が悪くなったら……。体力も落ちたかも……。
 前は裸眼で見えていた大きい文字が、もう見えない。裸眼どころかメガネでも見えない。駅から見える、町中にあるでっかい看板、あれはこちらに向けての広告なんだろうけど、もうなんて書いてあるのか読めない。
 前はメガネを替える度、世界がクッキリハッキリ見えた。もうあの感動も味わえないのかも。昔は「失明するかも」なんて不安、すぐに忘れてしまったが、今はどこまで視力が落ちるんだろうと気になる。
 ネットやめないといけないのか? 稼げもせず、長い時間を費やして、視力が悪くなって……この先何を目指し、どう生きるんだろう。

 キャラクターの「時」は止まったまま。自分の年齢は、ぼんやりしているうちに、どんどん上がっていく。「私だって少し前まで20代だったのに」とか。
 時がどんどん過ぎるので、何かの登場人物など、「自分に似ていて、少し年齢が上の人」に感情移入する。私の近い未来という感じがする。「そのときどうする?」と。

 似た境遇の若い人は……まぁ若いから、動き出せれば色んなチャンスがあるよな。
 考え方も、若ければ若いほど自由。そのスタイルを貫いた結果何が起こるとか、年齢がどうとか、気にし始めるのはもう少し先。時代によって、波に乗れたり乗れなかったり、予想外のことが起こったり、吉と出るか凶と出るか……でも若さがあればいいね。

 テレビなどでずっと見かける人。今何歳だろう、なんて気になり始める。昔は年齢なんてどうでも良かったのに。新聞の4コマ漫画描いている人、何歳だ? とか気になりだす。次は誰の訃報だろうとか……失礼な。
 でもショックを和らげるために、心の準備しておかないとね。人は病気にもなるし、老いて死んでゆくのだと。

 若さを失っていくってつまんないなぁ。自分だけじゃなく、まわりも老いて。言ってもしょうがないけど、諸行無常(?)。


しおりを挟む
うだつの上がらないエッセイ集(たまに自由研究)
【うだつの上がらないエッセイ集】

生き物の話や夢の日記、思い出や星占いの話など、思いついたことを色々詰め込んだ連載です。


良くも悪くも、星の回転は止まらない

【良くも悪くも、星の回転は止まらない】

詩集です。すぐ読める短いものが多いです。20編で完結しました。



ツギクルバナー
感想 41

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

世界は何もくれないから 好きに生きていい

月澄狸
エッセイ・ノンフィクション
不安のプレゼントなら溢れているけどね。

男女について考える(ほとんど憶測と偏見とヒステリー)

月澄狸
エッセイ・ノンフィクション
 私は生物学も心理学も学んでいない、ただの学のない女だ。ついでに恋愛経験もない、さらには友達もいない。告白されたこともないし当然したこともない。そんなわけでこの連載は、浅い知識と経験から「なんとなく思ったこと」を感情的に書き連ねるだけのものになる。読んでも何の学びもなく、不快になるだけなのでご注意を。(※LGBTQについては分からないので、基本的に古い価値観オンリーで書きます。)

『茜色に染まる心』

小川敦人
エッセイ・ノンフィクション
野村隆介、六十七歳。妻と死別して十年、孤独を仕事で紛らわせてきた彼の心が動き出したのは、ボランティア活動で出会った渚菜緒子という女性がきっかけだった。彼女の柔らかな笑顔や憂いを帯びた瞳に惹かれ、いつしかその存在が彼の胸に深く刻まれていった。しかし、菜緒子の左手薬指の指輪は、彼女が既婚者である現実を突きつけ、隆介の想いが叶わないものであることを示していた。 それでも、菜緒子と出会えたことは隆介にとって大きな幸せだった。彼女の些細な仕草や言葉が日々の活力となり、夕陽を見ながら彼女を想うことで心の温かさを感じていた。彼女の幸せを願う一方で、自分の心が揺れ動くたびに切なさを覚えた。 ある日、彼女との何気ない会話が心に残る。その後、図書館で出会ったカフカの詩が、彼の心を解き放った。「大好きと思える人がいることは幸せ」という言葉が彼の心を温かく包み込み、彼はその想いを受け入れることを学ぶ。 「出会えたことに感謝する」。隆介はこの恋を人生最大の宝物として胸に抱き、穏やかで清らかな喜びと共に、茜色の空を見上げる日々を大切にしていく。

「自分さえ良ければいい」がしっくりくる

月澄狸
エッセイ・ノンフィクション
思ってもいないことや、身の丈に合わない綺麗事・正論を目指そうとするとしんどくなる。自分で放った言葉にウッとなることもある。ネガティブなもので。 なので日々、「しっくりくる意見や言葉」を探している。 しっくりこようがこなかろうが自己満足であって、特に行動を起こすわけでもないから、意味はないのだけれど。とりあえず、ウッとならない「理屈」を探している。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

アルファポリスユーザーと世間一般のズレ2

黒いテレキャス
エッセイ・ノンフィクション
アルファポリス登録して半年経っての印象

BL書籍の印税で娘の振り袖買うつもりが無理だった話【取らぬ狸の皮算用】

月歌(ツキウタ)
エッセイ・ノンフィクション
【取らぬ狸の皮算用】 書籍化したら印税で娘の成人式の準備をしようと考えていましたが‥‥無理でした。 取らぬ狸の皮算用とはこのこと。 ☆書籍化作家の金銭的には夢のないお話です。でも、暗い話じゃないよ☺子育ての楽しさと創作の楽しさを満喫している貧弱書籍化作家のつぶやきです。あー、重版したいw ☆月歌ってどんな人?こんな人↓↓☆ 『嫌われ悪役令息は王子のベッドで前世を思い出す』が、アルファポリスの第9回BL小説大賞にて奨励賞を受賞(#^.^#) その後、幸運な事に書籍化の話が進み、2023年3月13日に無事に刊行される運びとなりました。49歳で商業BL作家としてデビューさせていただく機会を得ました。 ☆表紙絵、挿絵は全てAIイラスです

処理中です...