三日坊主の幸せごっこ

月澄狸

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記憶の塗り替え加工

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「私は昔からこうだった、こう思っていた」と言うとき、記憶を塗り替えていると思う。
 実際は人の考えや感覚や雰囲気って、昔とはどんどん変わっていくものだと思う。あんまり変わらない人もいるのかもしれないけど。私は表面的には進歩も変化もあまりないけれど、それでも感覚的な変化は激しい方かもしれない。

 昔の作文を残しておきたかったな、と思った。恥ずかしながら、自分の過去の作品を見ると、「こんなに柔軟だったのか」「こんな自由な発想があったのか」と感動するからである。
 年々凝り固まっているから、若さに心揺さぶられるのかもしれないし、あるいは多少人格が変化したことで別人のように感じ、「私なのに私じゃないみたい」と面白く感じるのか。

 でも私の作品は整理好きな母に大体捨てられたはず。って言うと母に「人のせいにするな」って言われそうだけど。子どもの作品とか長年取っている人を見ると、すごいな~と思う。私は工作とか好きだったけど、整理が下手でゴチャゴチャになってしまって、よく母に捨てられたもんだ。

 昔の文章……証拠がないから、今、好き勝手に「昔からこうだった」なんて書けているのだと思う。もう確認のしようがないが、もしかしたら昔、「私が結婚して赤ちゃんが産まれたら……」なんて書いていたこともあったのかもしれない。今は考えられないことを、考えていた日もあったかもしれない。

 良くも悪くも別人になっていく。未来は一瞬先も分からないし、まだ不安だらけ。自信がない。
 けれど今の自分の考えも、けして悪くないし間違っていないし、今の考えにたどり着けたことで、本当の自分に近づいた、と、心のどこかで開き直っているのである。


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うだつの上がらないエッセイ集(たまに自由研究)
【うだつの上がらないエッセイ集】

生き物の話や夢の日記、思い出や星占いの話など、思いついたことを色々詰め込んだ連載です。


良くも悪くも、星の回転は止まらない

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