三日坊主の幸せごっこ

月澄狸

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意思表示には、時に瞬発力が必要なのだ

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 山へ行ったとき、他の人が、断る間もなく私に虫除けスプレーを吹きかけてくれて、「あっ」と思った。

 私は虫を探すために山に行ったのだ。普段も虫を探し歩いているから、基本的に虫除けスプレーを使わない。また、あとで動物園にも行こうと思っていたから、虫除けスプレーを使って大丈夫なのかと心配だった。

 まぁ、こちらとしては「本末転倒」程度の重大なことだけれど、もし反射的に「やめて!!」とか叫んでしまったりしていれば、人間関係的には余計ややこしいことになっていただろうから、反応できなくて良かったかもしれない。


 こういうことになるから、秘密主義は厄介である。「私、虫探しに来たの~」と最初から公言しておけばいいのだ。
 でも今まで、虫が好きだと明かして傷つくこともあったし、変な目で見られたように感じることもあった。面倒だから、「この人には言っても大丈夫そうだ」と思う人以外には、あまり言わないのである。言っても微妙な空気になるだけで、共感などしてもらえないだろうし。

 昔は多分、こちらの思いがなかなか伝わらず、「なぜ伝わらないのだろう?」と驚き、意思疎通に四苦八苦していたように思う。が、今は「誰にも伝わらなくて当然」と半ば諦めている。
 それでも、たまにこちらの趣味を受け入れて理解しようとしてくださる人がいて、ありがたい。


 でも、ああ、人の行動って予測不能。
 世間からしたら、こちらが予測不能で理解不能なのかもしれないけど。人間がクマを恐れるように、クマもまた人間を恐れているのだ……みたいな感じで(?)、他人の行動が、制御不能だ。

 私はトロいもので、状況把握にも時間がかかるし……。瞬時に言葉を選んだり、必要なことを伝えたりしてコミュニケーションを取るの、難しい~。


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