三日坊主の幸せごっこ

月澄狸

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育てるとか教えるとか

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 またまた人と口論になった。「人」とか言って具体的な状況をぼかしているところが、私の卑怯なポイントだけど。


「分かっている」人は「分からない」人に教えるべき立場なのだと思う。それが「年功序列」や「上下関係」の本来の意味だったのだと思う。

 別に年齢とか先輩後輩とか関係なく、知っている方が知らない方に教えればいいんだろう。たとえば建物や町について、よく知っている人がいれば、その人が案内するとか。案内の得意・不得意はあるだろうけども。

 なんでもかんでもやってあげる、なんでもかんでも怒るなどの、偏った態度(?)は、「教える」「育てる」姿勢と違うと思う。

 なんか、知っていることが多い割に「教える」「育てる」態度じゃない人が多い。企業とか軍事とかも色々、「秘密」が多いんだろう。「教える」「伝える」をしてはいけない風潮。それで伝達も下手なのかも。


 今回、人と口論になった理由は、相手が「誰かや環境のせいにしてはいけない。国がどうとか親がどうとか、人格や成長に関係ない」みたいなことを言ったのに対し、私が「それは違うんじゃない?」と反論したことだ。

 そりゃ、仕事を手取り足取り教わったって私はポンコツだし、未経験のはずの若い新人さんがすごくキビキビと働いているそうで、持って生まれたものがそもそも違うなとは思うけど。
 それでも大抵の場合、まわりの人の影響は大きいと思う。赤ちゃんはまともに育ててもらえないと死ぬだろうし、後輩さんも、先輩がなんでもかんでもやってあげるとか、やたら怒るとか、偏ったことをすれば、まともに育たないかも。


 だから「環境のせいにするな」ってのは、「教える・育てる」責任からの逃げ言葉に感じる。

 特に何も教わらなくても優秀な人はいるけど、「◯◯はちゃんとやっているのに」「◯◯は貧しい生まれなのに、こんなに偉大になった」などと、優秀な人や天才と比べられても。なかなか上手くできない人の方が多いのでは?


「ちゃんと丁寧に教えてもらいたい。そうすれば分かるはずなのに」って甘えなのだろうか。
 私も「丁寧に教えたい」とは思っても全然至らなくて、私が教えた新人さんが他の人に注意されていたりして申し訳ないのだけれど。

 私としては「分からなくて当然。分かる人が先回りして見守ってあげなきゃ」というイメージ。「誰も教えてくれなくて当たり前。自分で考えろ」なんて、想像力にも限界があると思う。そして、上手に育ててもらえなかった人、有意義な経験を積めなかった人が落ちこぼれるんじゃないかと思う。違うかなぁ。


 ちゃんと育ててもらった人は、上手に見守ってもらい、自信を持たせてもらったのではないか。それで「自分でやってきた」ように誇りを持てているんじゃないか。

 教え上手な人は、相手が自信を持てるように誘導していると思う。
 教え下手な人はろくに見守りも助言もせず、自信を奪うような物言いばかりする。教える側に立つことができるはずなのに、「私、私」と自我ばかり強い人もいる。「アンタは何も考えなくていい。私の言うことを聞け」みたいな。


 学校教育だって、ああいうのが人生のために必要な知識なんだろうか。もっと他に教えるべきことがたくさんあるのでは。特に道徳が必要なのではないか。

 覚えていても役に立つんだか立たないんだか分からない、また現代では興味を持って検索すれば出てくるような情報を、柔軟な子どもの頃に、わざわざ暗記させる必要があるのか。変なデータを暗記させることに時間を費やすより、なんとなくでも知っておいた方がいい知識に触れさせてあげる方が良いんじゃないか。「そういや、あんなこと習ったよな……」と、いつか思い出せるように。お金のこととか、性のこととか(性教育は難しそうだけど)。


 と、思うなら。そして私がもしも「正しい」のならば。私が真実を「教える」べき立場だと思うけど。普段のポンコツぶりを客観的に見ていると、どうも私が指導者の魂を持って生まれたとは思えない。そして自分自身が誰かに教えてもらいたいと、甘えてばかりいる。

「教えてくれたらいいのに」ばかり思っているし、自分が「教える」方の能力も低いから、教える側の苦労を分かっておらず、甘えすぎるんだろうか。けど、いくら教えてもザルに水の人はいるだろうけど、上手く教えれば伸びそうな人はいっぱいいる。教えた方が、結果的にみんな平等に……能力差があるから平等ではないか……でも楽になりそうなんだけど。ポンコツに意見する資格はないかな。


 理想の教育とは何だろう。
「教える」って難しいなぁ。


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