三日坊主の幸せごっこ

月澄狸

文字の大きさ
上 下
172 / 417

喜びと不安を繰り返しつつ、現状維持

しおりを挟む
「これで良かった」と「こうしなきゃ良かった、したくなかった」がいつだって曖昧だ。矛盾している。
 どっちだか分からないなら「これで良かった」と言えたらいいのに。本当にそうなのか、不安。
「こうしなきゃ良かった」と言ったって。それも分からない。


 ニートメンタルの私は基本的に「働きたくない」。長時間の拘束が苦手、作業や責任やタイムアタックが苦手、そして人間関係が苦手。嫌われるのも怖いし、一旦仲良くなって嫌われるのはさらに怖い。

 また、ずっと一緒にいる距離感が苦手なためか、基本的に人生で友達ができないか、できても関係終了するか、トラブルを起こするばかりだった。
 ずっと「にこやかな自分」を演じることができないのだ。人と一緒にいると疲れてしまう。おとなしくしていられない。不機嫌になってしまう。

 前の職場では人付き合いがあったが、残業が長く、その上、仕事外でまで仕事の人とのお付き合いがあり、しかも同じ職場の同期に嫌われている感じがしていたので(ポンコツなため)苦痛だった。


 ところが近年は割とうまくいっていた。自分の短気も、情緒不安定も、表に出し過ぎずに働いてこられた。だから、目に見えて誰かを敵に回すことなくやってこられた。それは、職場内での昼食の時間がないとか、仕事が終了したらみんなサッサと帰るとか、プライベートに干渉されることがなく、労働時間も短いからやってこられたのだと思う。

 ただ、ずっとこのままで良いとも思えなかった。もっと働かなければならないはずだ……。また、まわりの人の陰口にはずっと怯え続けてきた。私が「表」を保てたのは、ネットに色々書いてストレス発散してこられたおかげだ。


 ネットに愚痴ばかり書いて、失礼だったと思う。
 けれど「書く」しか自分を保てなかった。

 人間関係も仕事も嫌。働きたくなかった。
 でも、ポンコツなりに仕事や職場が好きになってきたし、職場には好きな人がいっぱいいる。「働きたくなかった」ことばかりではない。


 他にも……。「良かった」と「怖い」が混在し、完全に「喜び」であるとも、「嫌」であるとも言いにくいことばかり。

 正解か、不正解か。
 成功か、失敗か。

 ここで逃げたら分からない。明日は違うかもしれない。
 私は逃げ続けてきたから、もうあまり逃げない。逃げたって人生からは逃げられない。積み重ねた方が良いのかもしれない。逃げても何も解決しなかった。

 それでも何が良いのかは分からない。吉と出るか、凶と出るか。何か分かるまで、いや、分からなくても現状維持。


 結局「納得できるか、できないか」だけかもしれない。
 納得できない人は何を選んでも文句言う。
 納得する人は、何を選んでも受け入れ、向き合い、感謝する。


 どうせ私には「器」が足りないのだ。よく「釣り合わない」なんて言うけれど、釣り合わなさすぎて、もはや埋め合わせようとする気力もない。

 しかし職場でみんなが愚痴を言っているとき、以前はビクビクオドオドしていたけれど、今はちょっぴり安心している。こんな私のことも好きでいてくれる人はいるのだと、本当に信じられるようになった。

 それもこれも一時的なものかもしれない。関係良好も、関係悪化も。
「働きたくない」ならば、「働いている私」は、全部嘘で、偽物かもしれない。怠惰な私だけが本物かもしれない。
 それでも、本当に好きになってもらえた時間はあったんだな。


 私の勝手な想像からくる未来への「不安」と、楽しかった「思い出」が、交互に頭を支配する。
 不安で泣いたり、思い出にクスリと笑ったり。
 私の「人生」のイメージとして、本当に心に残っていくのは、どちらなのだろう。

 こうしている間にも、すべての人は死に向かう。その前に病気があるかもしれない。
 私は人生を味わえているか?


 気持ちが晴れたとき、いつかまっすぐ、自分がいる場所の光景を見るんだ。
 そのとき美しさにハッとするか。思い込んでいた景色と違って驚くか。

 今は私の目が濁っていて、何を見ても濁っているようにしか見えないんだと思う。
 愛に気づかない。


しおりを挟む
うだつの上がらないエッセイ集(たまに自由研究)
【うだつの上がらないエッセイ集】

生き物の話や夢の日記、思い出や星占いの話など、思いついたことを色々詰め込んだ連載です。


良くも悪くも、星の回転は止まらない

【良くも悪くも、星の回転は止まらない】

詩集です。すぐ読める短いものが多いです。20編で完結しました。



ツギクルバナー
感想 41

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

世界は何もくれないから 好きに生きていい

月澄狸
エッセイ・ノンフィクション
不安のプレゼントなら溢れているけどね。

男女について考える(ほとんど憶測と偏見とヒステリー)

月澄狸
エッセイ・ノンフィクション
 私は生物学も心理学も学んでいない、ただの学のない女だ。ついでに恋愛経験もない、さらには友達もいない。告白されたこともないし当然したこともない。そんなわけでこの連載は、浅い知識と経験から「なんとなく思ったこと」を感情的に書き連ねるだけのものになる。読んでも何の学びもなく、不快になるだけなのでご注意を。(※LGBTQについては分からないので、基本的に古い価値観オンリーで書きます。)

『茜色に染まる心』

小川敦人
エッセイ・ノンフィクション
野村隆介、六十七歳。妻と死別して十年、孤独を仕事で紛らわせてきた彼の心が動き出したのは、ボランティア活動で出会った渚菜緒子という女性がきっかけだった。彼女の柔らかな笑顔や憂いを帯びた瞳に惹かれ、いつしかその存在が彼の胸に深く刻まれていった。しかし、菜緒子の左手薬指の指輪は、彼女が既婚者である現実を突きつけ、隆介の想いが叶わないものであることを示していた。 それでも、菜緒子と出会えたことは隆介にとって大きな幸せだった。彼女の些細な仕草や言葉が日々の活力となり、夕陽を見ながら彼女を想うことで心の温かさを感じていた。彼女の幸せを願う一方で、自分の心が揺れ動くたびに切なさを覚えた。 ある日、彼女との何気ない会話が心に残る。その後、図書館で出会ったカフカの詩が、彼の心を解き放った。「大好きと思える人がいることは幸せ」という言葉が彼の心を温かく包み込み、彼はその想いを受け入れることを学ぶ。 「出会えたことに感謝する」。隆介はこの恋を人生最大の宝物として胸に抱き、穏やかで清らかな喜びと共に、茜色の空を見上げる日々を大切にしていく。

断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた

兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。

アルファポリスユーザーと世間一般のズレ2

黒いテレキャス
エッセイ・ノンフィクション
アルファポリス登録して半年経っての印象

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

処理中です...