三日坊主の幸せごっこ

月澄狸

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真に受けない指摘

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 表では、「いつもすみません、ありがとうございます!」「ああっ、すみません!」みたいなペコペコしたキャラを心がけている。心がけてはいるが、全然足りないかもしれない。
「そんなにかしこまらなくていいのに!」「オドオドしないで」というふうに言われることもあるが、あんまり真に受けていない。

「そういうへりくだった態度が嫌なのよ! あなたの辞書に『対等』という文字はないの?」的に、キツめに言われたことはないこともないが。そういう考えは、やや特殊だと思う。特殊な意見を押し付けてくる人に振り回されていたら、命がいくつあっても足りない。

 今はそこまで言われない。以前は「敬語やめてってば~」と言われることもあったが、職場の空気の違いか、今はそれもない。あんまり「ああしろ、こうしろ」言われないのでありがたい。

「そんなにビビらないでよ~」と言われても。「私ってそんなにオドオド、ビクビクしているんだろうか?」と気に病むことはなくなった。狙ってやっているからだ。

 ポンコツが堂々としていたら、「なんでアイツ、ポンコツのくせに、あんな堂々としているんだ?」「仕事もできないくせに、いつも元気そうでイライラする」と思われそうなので。そっちのリスクの方が高いと見た。

 どっちかというと、暗く臆病で卑屈な振る舞いをした方が「得」だと思っている。
 みんなお疲れなので、お疲れモードに合わせている節もある。そうこうしているうちに、私もお疲れモードから抜け出せなくなってしまったが。

 人には、能力に見合った振る舞い方がある。私はエリートキャラやクールキャラに憧れていたかもしれないが、ポンコツである以上、素直でマヌケでちょっとピエロのように振る舞うなど、キャラが限定されると思うのだ。
 優秀であれば、演じられるキャラのバリエーションも増えると思うけど。私に許された言葉は「ごめんなさい」しかない。

 ただ、本気で怯えきっているわけでもない。以前は本当に、「なぜ叱られるか分からないけど、急に叱られる」というような気持ちでオドオドしていたけれど、今は察知能力がやや上がったため(それかまわりの人がおとなしいから?)、突然怒られることはあまりなくなった。なのでけっこうリラックスしている。オドオドも、萎縮しているというより、そういうキャラでやっている。

 職場の話ではないが、中には、横暴で、ワガママで、特に人の役に立つようなこともせず、全然気配りしてくれないような人もいる。そういう人はやけに自信がある……というより「自信がない」「自分なんて」という概念もないらしい。当然のように自己中である。
 そういう人には、ちょっとは気を使ってほしい、謝ってほしい、遠慮してほしい、多少ビクビクオドオドするくらい自信をなくしてほしいとさえ思ってしまう。自分を疑い、省みてほしい。

 そして、私が「人の顔色をうかがう」キャラをやめたら、あとに何も残らない。
 別にペコペコしても評価が上がるというほどではないし、自分にとっても相手にとってもさほどメリットはないのだが、身を慎むことすらしなくなったら、私も「あちら側」になってしまう。

 この世には、さほど真に受けなくていい指摘がある。
「遠慮しなくてもいいのよ」と言われたのを真に受けて、本当にまったく遠慮しなかったら、陰で文句言われそう。

 そういうことを見抜き、見抜く力に自信を持ち、誰かに何かを指摘されても「こうしている方が都合がいいんで」と心の中で呟き、もっと良い方法が見つかったら乗り換えようと希望を持ちつつ、気に病まないようにしていきたい。


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