三日坊主の幸せごっこ

月澄狸

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 準備ができていないうちに、好むと好まざると貼られてしまったレッテルは、本人のコンプレックスになったりする。誰かにとっては「それ」が憧れかもしれないけど。


 障がいのある身内は、「障がいがあるから……」とみんなに大目に見られ、許されているのだから、もっと朗らかに呑気に生きればいいのに。ずーっと、聞いている方が不快になるような文句を、ブツクサブツクサ言っている。って端から見れば私も同じかもしれないけど。

 彼は自分に傷がいがあるということを納得していない? 恥だと思っている? 傷がいと思っていない? のか、そのことについて触れられるのが嫌なようだ。

 彼はあちこち出かけるが、障害者手帳を持って行かない。たしかあったはずだけど。で、割引になるはずだけど。障害者扱いされるのが不服らしい。お金の概念もよく分かっていないんだろう。割引になるものを、何も正規の値段(?)で払わなくても……。そんなところでだけ見栄を張るのは……。

 あちこち一人で徘徊して、美味しいもの食べて、ジブリ展とか、気になる場所にも出かけているみたい。しかし「ここに行って、これを見て、楽しかったよ」なんて話はほとんどしてこない。ずっと「人間はクソだ」みたいな文句言ってる。
 で、私が映画を観に行く予定だと人に話していると、横から唐突に「あの映画、こうだった」とネタバレしてくる。空気読めないのか、察知しているけど天の邪鬼なのか。逆撫でするような言動ばかりしてくる。彼の性格を真逆にしたら天使になるかも。


 私が障害者手帳持ってたら多分、割引してもらいまくるけどな~。で、障がいがあるからと、無理強いせず大目に見てもらえたら、きっと大いにホッとできると思うけどな~。そういう問題じゃないのか。

 傷がいがある身内の母が以前、「お母さんの育て方が悪いと何度か言われた」と言っていて、「彼の性格を親の育て方のせいにするなんて。アイツは何を言ってもああなのに。ひどい!」とか思っていたが。たしかに、ちょっと過保護なところがあって。相手は「子どもに傷がいがあるのはあなたのせいだ」と言ったんじゃなく、何か別のことを指摘していたんじゃないかと、今になって思わなくもない。


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生き物の話や夢の日記、思い出や星占いの話など、思いついたことを色々詰め込んだ連載です。


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