三日坊主の幸せごっこ

月澄狸

文字の大きさ
上 下
149 / 417

私は陰口が嫌だと言いながら陰口狂である。炎上が怖い卑怯者だから。そして毎度の同じ話。

しおりを挟む
 動物モチーフの漫画を描いたり、生き物の写真を投稿したりするためか、動物愛護系の人がチラホラ目に入る。私の方からそっちへ近づいている節もある。

 また久々に見た。猫虐待犯に対しての「罪のない動物にこんなことをするなんてひどい。同じ目に遭わせてやりたい」というコメント。
 判で押したように、「罪のない」「同じ目に遭わせたい」。動物虐待犯に対する、この言い回しは多かった気がする。


 だからその理屈だと私は、牛と豚と鶏と、あと魚と野菜の、死ぬときの苦しみを何万回も味わう羽目になるから嫌だってば。「食べることだけは特別に許される」保証も何もないんだってば。

 で、犬や猫や人を虐殺するのは犯罪でも、殺処分や死刑は仕事であって、罪に問われないんだよね。
 屠殺も殺処分も苦しそうだよ。動物からしたら虐殺と変わらないだろうよ。人間は何かと理屈付けて、「悪」「必要悪」「命をいただく」「正義」とか言うけど。


「罪がない」者が殺されるのがおかしいってんなら。殺される者には罪があるのか。

 不衛生と言われるゴキブリやハエは生まれてきたことが罪なの? 食べられるために生まれてくる牛や豚や鶏は前世が罪人なの?

 人間にとって可愛い生き物を殺すと人は怒るけど、ゲジゲジは特に被害がなくてもキモいから殺していい。そのための殺虫スプレーが売っている。
 ゲジは人間様から見て、醜く生まれてきたことが罪なの? 「おしゃかしゃま」じゃないけど何様なのさ。


 ヘビが好きな人が、「ヘビを殺しても動物虐待に入らないと知ってショックを受けた」って書いてた。
 でもそう。鶏を絞めても、ゴキブリやゲジを殺しても、罪には問われないんでしょう。

 ヘビは小鳥の巣に入って卵やヒナを丸飲みしたり、ネズミを丸飲みする嫌なイメージがある? いや、猫だって小鳥とかネズミとか食べますけど。現代では「キャットフードを食べる」イメージになっているかもしれないけど、そのキャットフードも、我々の食事も、命でできている。なんでヘビばかり、キモくて悪いイメージになっているのか。まぁ蛾やヘビは毒があるのもいるから、そのイメージかもしれないけど。


 農作物を食い荒らす鹿や猪や虫、魚を食べまくるカワウは「悪」であって、駆除されるべき「罪」があるの?

 だったら肉食の猫や犬も。野に放たれたら、絶滅危惧種でもなんでも食べてしまう。
「罪がない」って何? 罪って言うなら、我々人間の方が圧倒的に多いのに。人間のせいでみんな追いやられただろうに。なぜ人間様だけは神様のように、人や動物を裁きつつ、裁かれることもなく生きていけるの?


 で、動物虐待犯も心に闇がある、または、弱いものいじめが「動物的本能」だとしたら?
 本能なら仕方ないね。とはならず、人間だけは本能を抑えるべき、となるのか。

 たしかに「いじめ殺す」のと「食べる」のと「仕方なく駆除する」のは、動機というか気持ち的には全然違うだろう。かといって「いじめ殺す」ことだけが悪だと非難され裁かれ、私は裁かれもせず毎日のうのうとフライドチキン食べて絹の服を着ているというのも、なんか気持ち悪いのである。


 動物虐待の話をすると「偽善者が!」と言うヤツが一定数いる。最初は「なんでそんなこと言うの!?」と思っていたけど、「動物虐待を批判する者」の、どことなく浅はかそうなワンパターンを目にすると、たしかに「偽善者」って叫びたくなる気持ちもちょっと分かってきた。


 とにかくこの世はおかしい。早く悟って離脱して、あの世でゴキブリやゲジをだっこしましょう。
 え、嫌だ? もっと可愛いのが好き?

「可愛い」「美しい」は正義で「醜い」は悪か。
「美しいお姫様と王子様が幸せに暮らす」のは良いけど、醜いお姫様だったら嫌か。
 物語の登場人物も美男美女ばかり。美しいから愛を受ける。美しくなかったらお話にもならない?

 この話題になるとルッキズムについての議論に入りまーす。


 自分も含め、まわりから見聞きする概念も一辺倒。みんな想定内のことしかしない、言わない。
「想像を超える」が欲しい。見たい。

 猫が可愛がられゴキブリが殺される。白人やお花は美しい。
 でも美醜も善悪のイメージも全部思い込みで、時代によって変わる。戦争によって国のイメージが変わるように。

 「この世」には「死」以外出口がない。でも死んでも魂はそう簡単に変わらないから、多分生まれ変わって何度も同じような人生を歩む。

 クソつまらん。


しおりを挟む
うだつの上がらないエッセイ集(たまに自由研究)
【うだつの上がらないエッセイ集】

生き物の話や夢の日記、思い出や星占いの話など、思いついたことを色々詰め込んだ連載です。


良くも悪くも、星の回転は止まらない

【良くも悪くも、星の回転は止まらない】

詩集です。すぐ読める短いものが多いです。20編で完結しました。



ツギクルバナー
感想 41

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

世界は何もくれないから 好きに生きていい

月澄狸
エッセイ・ノンフィクション
不安のプレゼントなら溢れているけどね。

男女について考える(ほとんど憶測と偏見とヒステリー)

月澄狸
エッセイ・ノンフィクション
 私は生物学も心理学も学んでいない、ただの学のない女だ。ついでに恋愛経験もない、さらには友達もいない。告白されたこともないし当然したこともない。そんなわけでこの連載は、浅い知識と経験から「なんとなく思ったこと」を感情的に書き連ねるだけのものになる。読んでも何の学びもなく、不快になるだけなのでご注意を。(※LGBTQについては分からないので、基本的に古い価値観オンリーで書きます。)

『茜色に染まる心』

小川敦人
エッセイ・ノンフィクション
野村隆介、六十七歳。妻と死別して十年、孤独を仕事で紛らわせてきた彼の心が動き出したのは、ボランティア活動で出会った渚菜緒子という女性がきっかけだった。彼女の柔らかな笑顔や憂いを帯びた瞳に惹かれ、いつしかその存在が彼の胸に深く刻まれていった。しかし、菜緒子の左手薬指の指輪は、彼女が既婚者である現実を突きつけ、隆介の想いが叶わないものであることを示していた。 それでも、菜緒子と出会えたことは隆介にとって大きな幸せだった。彼女の些細な仕草や言葉が日々の活力となり、夕陽を見ながら彼女を想うことで心の温かさを感じていた。彼女の幸せを願う一方で、自分の心が揺れ動くたびに切なさを覚えた。 ある日、彼女との何気ない会話が心に残る。その後、図書館で出会ったカフカの詩が、彼の心を解き放った。「大好きと思える人がいることは幸せ」という言葉が彼の心を温かく包み込み、彼はその想いを受け入れることを学ぶ。 「出会えたことに感謝する」。隆介はこの恋を人生最大の宝物として胸に抱き、穏やかで清らかな喜びと共に、茜色の空を見上げる日々を大切にしていく。

「自分さえ良ければいい」がしっくりくる

月澄狸
エッセイ・ノンフィクション
思ってもいないことや、身の丈に合わない綺麗事・正論を目指そうとするとしんどくなる。自分で放った言葉にウッとなることもある。ネガティブなもので。 なので日々、「しっくりくる意見や言葉」を探している。 しっくりこようがこなかろうが自己満足であって、特に行動を起こすわけでもないから、意味はないのだけれど。とりあえず、ウッとならない「理屈」を探している。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

アルファポリスユーザーと世間一般のズレ2

黒いテレキャス
エッセイ・ノンフィクション
アルファポリス登録して半年経っての印象

BL書籍の印税で娘の振り袖買うつもりが無理だった話【取らぬ狸の皮算用】

月歌(ツキウタ)
エッセイ・ノンフィクション
【取らぬ狸の皮算用】 書籍化したら印税で娘の成人式の準備をしようと考えていましたが‥‥無理でした。 取らぬ狸の皮算用とはこのこと。 ☆書籍化作家の金銭的には夢のないお話です。でも、暗い話じゃないよ☺子育ての楽しさと創作の楽しさを満喫している貧弱書籍化作家のつぶやきです。あー、重版したいw ☆月歌ってどんな人?こんな人↓↓☆ 『嫌われ悪役令息は王子のベッドで前世を思い出す』が、アルファポリスの第9回BL小説大賞にて奨励賞を受賞(#^.^#) その後、幸運な事に書籍化の話が進み、2023年3月13日に無事に刊行される運びとなりました。49歳で商業BL作家としてデビューさせていただく機会を得ました。 ☆表紙絵、挿絵は全てAIイラスです

処理中です...