三日坊主の幸せごっこ

月澄狸

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無限ループ

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 こんな風にずっと書いていることで、世界に何かを伝えてきた気になっていたんだろう。
 でも百回、千回と発信したところで、案外どこにも何も伝わらないもので。

 難病の、太陽光に当たれない子に、工夫して服を着せてあげているお母さんに、何も知らないまわりの人が「どうしてあんなしんどそうな格好をさせるの。子どもが可哀想」と声をかけてくることが多く、説明してもまた別の人が「どうして?」と声をかけてくる、と。テレビで見た気がする。

 終わらない犬猫の殺処分。ボランティアの方が一匹一匹丁寧に対応しておられたって。どこかでは雑に命を扱い、軽い気持ちで飼い、テキトーに捨てているのだろう。


 変わってきた部分もあるのだろう。けれど根本が変わらないと、世界は変わらないのだろう。発信には限界があるのか。発信したから変わるのか。

 人にもよる。何回言っても「うるせぇな!」という態度で、変わろうとしてくれない人もいる。
 かと思えば初対面の人が、こちらが「良い人」である前提で喋ってくれることもある。

 疑ってかかる人。信じる人。
 やっぱり「心を開く」ってのは個人に対してのことではなく、世界に対する生き方なのかも。


 みんな「発信」する現代。「言う」のはわりと簡単なのだろう。難病の子のお母さんに「どうしてあんなしんどそうな格好をさせるの。子どもが可哀想」と言う人みたいに。「言う」ことで何か変えられると思っている。

 街中でかんしゃくを起こした子のお母さんに、「声をかける」「かけない」の論争が、ネット上であったような。
 でも私たちみたいな素人が声をかけたとして、傷がいのある子(?)に何ができるだろう。
「大変ですね。頑張ってくださいね」などと言ったりすれば。その言葉でお母さんは励まされる? いいや、ただ他人事で、言った本人が何か良いことをしたような、寄り添ったり、社会について考えたりしたような気持ちになるだけの自己満足では?


 実際何が変わるというのだろう。
 いいや、何万年も、特に何も変わらないのか。

 実際に「行動する」人は一握り。
 でも行動しても、エンドレスなのかも。
 片付けては汚され。作っては壊され。助けては殺され。


 良くも悪くも「言う」ことで変わるようになってきた部分もあるのか。
 でも必要以上に誰かを貶めようとするパワーが多い。
「助けよう」が多くなれば、みんな助かるかもしれないけど。

 私らみたいな小物は好き勝手言い。
 大物は、誰かを「不快」にさせないように、本音や冗談の一つも言えなくなっていく。
 そんな感じか。


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うだつの上がらないエッセイ集(たまに自由研究)
【うだつの上がらないエッセイ集】

生き物の話や夢の日記、思い出や星占いの話など、思いついたことを色々詰め込んだ連載です。


良くも悪くも、星の回転は止まらない

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