三日坊主の幸せごっこ

月澄狸

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人は怒る動物

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 この間、先輩(年上)が先輩(年下)の物の積み方が汚いと、本人のいるところで上司の人に告げ口(?)していた。私だったら、これ見よがしに仕事の不出来を上司の人に告げ口されたら心折れてしまうなぁ。
 しかし、すかさず師匠(いつもお世話になっている先輩。86歳くらい?)が「そんなん(気にいらんのやったら)自分で積み直したらええのになぁ」と先輩(年下)にフォローを入れていて、「師匠かっこえー」と思った。


 私は、職場の人に「人間関係で悩んでいる」というような話をされたことがチラホラあるが、私も前職で人間関係ぶっ壊してきた身なので、お役に立てそうなことは何も言えなかった。ちょっと愚痴ってスッキリしてもらえたらいいなとは思ったが、先輩のキツさに驚いていたらしかった後輩さんが一人、辞めてしまったな。

 先輩のキツさだけが原因かどうかは分からないが、思い描いていた世界と現実のギャップって、あるよなぁ。私も世の中、もっと心の豊かさや幸せを重視する世界のはずだと思っていた。が、現実は忙しくて、作業をこなすことが第一。

 仕事もそこそこに話しかけてくれる新人さんを見ていると、「分かるなぁ、私も人とおしゃべりしたり、仲良くなったりするのに憧れる派だなぁ」と思う。が、頭の中で『◯◯1個、××1個……』とか必死に記憶しているのが雑談で吹っ飛んでしまうので、申し訳ないが適度にかわす。


 後輩さんの言動を見ていると、「自分もそうだったなぁ」ということが多い。覚えることいっぱいで混乱する、とか。それで後輩さんを見ていて気が付いたことを(余計なお世話かもしれないけど)お伝えすると、嬉しそうにしてくださるのが可愛くて嬉しい。

 きつく言われたら「嫌なこと」になることも、優しく、あるいは冗談混じりに伝えていただくだけで、クスッと笑える思い出になるはず。
 私がミスしたときも、上司の人が「あ~、このやり方してる、罰金やな」と言ってくださったりすると笑ってしまう。いや、ちゃんとしないといけないんだけど。


 思えば小学校の思い出とかって、個人差はあれど、けっこう全部「あるある」だ。
 小学校の遠足で博物館に行ったよ。恐竜の化石が大きくて驚いたよ。お菓子を買っていくとき、どれにするか悩んだよ。とか。
 2年生の九九、全部覚えようと頑張って、先生にシール貼ってもらえたのが嬉しかったよ、とか。

 仕事や人間関係というのも、けっこう同じかも。
 丁寧に仕事を教えてくださったこと。こっそり短縮技を伝えてくださったこと。自分が不安だったこと、途方に暮れたこと、そういうときにすかさず先輩がフォローしてくれたこと。色々喋ってもらったこと。嬉しかったなぁ。


 でも人間ってどうも、自分基準で、「自分ができること、自分が分かることは人も分かって当然」「なんで分からないんだろう」「わざとやっているに違いない」って、怒ってしまう生き物だなぁ。

 私は、できれば食べ物を捨てたくない派なので、お客様や知り合いが平気で大量の食べ物を捨てているように見えると怒ってしまう。私もロスを出してしまうことはあるけど、いくら何でも、食べ物を粗末にしすぎじゃない? と。
 でも私が食品ロスにあれこれ思うのと同じように、みんなができるレベルの仕事を私ができないと、先輩も怒りたくなるのだろう。「みんなこのくらいできるのに、どうしてアイツはいつまで経っても……」と。


 うん。まだどうともこうとも結論は出ないけど、とりあえず……
「頑張る」は苦手だから、楽しもう。できるだけ……。


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