三日坊主の幸せごっこ

月澄狸

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早生まれ

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 大人になると特に変化のない1週間や1ヶ月でも、成長期の子どもにとっては大事な1週間、1ヶ月。

 早生まれは、遅生まれの子より心も体も幼い状態で、競争にも負けやすく、劣等感を抱きやすい。不利なんだと。

 だから、早生まれにならないように計算して子どもを作る、という意見を見かけた。

 我が子が不憫な思いをしないように。配慮。それが優しさか……。

 でも早生まれの子は他にいるわけで。我が子がその子たちに勝って自信をつけていく、と。

 世の中競争しかないのか? 受験だの点数だの。

 でもすべての人が同じ誕生日になったとしても、体格差、個人差、色々あるよなぁ。

 私は軽い(?)早生まれだけど、背の順でずっと2番、つまりクラスで2番目に小さかったもの。

 未熟児っぽかったんかな。

 今更どうでもいいとは言っても、なんとなく、ずっと落ちこぼれ道をテクテク歩いているもので。

 昨日も陰口とまではいかないけど、私の仕事の遅さが原因で、それとなく他の人がぼやいていたな。

 テレビでペットを抱いた飼い主さんが「この子は私の人生のすべてです」と語っている。

 私は負けて疎まれて、誰のために生きてんだろう。

 もし私に我が子がいたら、遅生まれになって、早生まれの子をおしのけて、自信をつけてもらいたいかな。

 それとも早生まれになって負ける気持ちを知って、優しい子になってほしいかな。

 なんて、勝っても負けても、優しくなっても冷酷になっても、だから何だというんだ。

 ハイエナの子は、自分のお母さんが死んでしまうと、他のお母さんがお乳をくれることはないって。

 自分のお母さんが死んじゃったら、群れの仲間は助けてくれず、餓死だって。

 自分の身内を守る、できる範囲で他の人にも優しくする、それが人間の愛。

 私が愛されていないとしたら、私に愛がない。

 十分愛されてきたことに気づかないとしたら、自分の愛に気づいていない。

 いい年して愛を受け取ることしか考えられない私は人間社会の欠陥品。

 でもしょうがないんだわ。

 なんのために生きているんだろう。

 愛って何だろう。


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