三日坊主の幸せごっこ

月澄狸

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ゆるっと衝突回避

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 師匠(仕事の先輩)と一緒に、嫌われ女先輩のところに手伝いに行く途中で、師匠が「あの人嫌いやけど(手伝いに行けと言われたら行かないと)しゃあないなー」とおっしゃったので、おお、ズバッと言うなぁと笑ってしまった。

 以前は誰かが嫌われているとか聞くと、自分のことを言われているかのようにビビってしまっていた。私もずっと嫌われ者だった、かつ、どういう人がなぜ嫌われるのか、まったく分かっていなかったからだ。
 今は多少分かる。が、私は善人を演じられるほどの器じゃないし、「こういうとき、良い人ならなんて言うか……」などと一々考えて演じているとタイムロスになるので、身の保身一択というくらいに成り下がっている。夏バテで気力が失せ、化けの皮が剥がれているのかもしれない。

 女先輩をハッキリ「嫌い」と言った師匠の言葉に、ちょっと癒されてしまった。私は一生懸命仕事しているというのに、こないだもその女先輩に怒られたところだったからだ。あまり接点がないうちは分からなかったが、「他の人も女先輩と口論になっていた」などの話を今更思い出して「やっぱりなー」と思っている。でも要注意人物は彼女一人じゃないから、うかつに弱みやプライベートや考え方、趣味など晒しちゃいけないなと、仕事の人間関係や、誰が信頼できそうか(=無害・有害の見分け)など様子を見ている。


 女先輩が指示をしてきたときに、少しでも別の動きをすると怒る。私がトロいせいでもあるけど。「これをやるなら先にアレを片付けてしまわないと……」と、ちょっとでも場を離れると「何してんの! 良いから言ったことやって!」だ。なかなかの気性の荒さ。でも私の一族の方がもうちょい気性が荒くて強烈だし、私の至らなさ故に縁を切ることもできないし、そう考えると職場でちょっと話す程度の人なんか、人生において大したことないか。

 とはいえこないだも、指示された作業をしようとしたらその前に、お客さんが残していった使用済みゴムがこれ見よがしに床に落ちていたので、「うわっ」と思いつつモタモタと処理していたら「何してんの! ◯◯してって言ったじゃない!」と女先輩にキレられた。あれ以上怒鳴られたら思わず、先輩の顔面に使用済みゴムを投げつけるところだった。

 そんなこんなで師匠が「あの人嫌い」とおっしゃっても、「やっぱりそうですよねー」と安心するくらいである。


 そんな女先輩の取り扱い方としては。この間「◯◯やって」と言われたときに、別の場所に物を置いていたので「それを取りに行ってきます」と報告したら何も怒られなかった。基本「あれして」と言われたら、今やっている作業を放り投げて、言われたことをすれば良いらしいが、中途半端に手を着けてあることの片付けなどは、逐一行動理由を報告すれば逆鱗に触れないらしい。それでも、仕事が遅くて苛立たれるのは防ぎようがないけど。


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