三日坊主の幸せごっこ

月澄狸

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永遠の一喜一憂

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 人との関わりは一喜一憂。メンタルが強くなれば「憂」を抑えて喜びの中で生きられるのかもしれないが、どネガティブな私は一喜八憂くらいの勢いで躓きまくるのである。


 年齢の話にうっとくるようになった。

 年齢。外見。気にしたくない。気にしていないつもりだったが、年がどうのという会話ですごく落ち込んでしまうということは、気にしていたのだろう。

 年齢が上がるほど賢くなり、力が強くなり、好きに生きられるようになり、ついでに外見も自由自在なら、生き甲斐もあったのだけれど。この世で年を取るにはそれなりの備え方が必要、という事実しか見えなくて。落ちこぼれの自分は今更どうやって生きていこう。

 年齢など気にしたくなかったが、若者扱いから遠ざかっていく。もっと人に甘え、可愛がってもらいたかったが、そんな能力もないままに。


 年を取ることがもう何てことないくらいに、この世を克服できている人はいるのだろうか?
 そうなら気の持ちようを教えていただきたいものだが、人生の先輩でも悲しそうにしていた人はいる。私のこの単純な嘆きを世にぶつけたら、他の人もしょんぼりしてしまうかもしれない。私はなんだかんだ言って、まだ若いのだ。


 若さ……。美しさ……。どうでもいい。

 結論を出してみたところで、何も終了しない。他の人の概念が刺さる。
 悲しい。疲れた。しんどい。が、一周回って腹が立ってくる。怒りが沸く。
 この世にはこんな話しかないのか。魂が被った化けの皮程度が、そんなに重要なのか。私自身もそう思っているのか。


 一人で過ごすこの時間は良い。誰も口を挟んでこない。飲み込めない概念が流れてこない。鏡はないし、自分の年齢や外見も、今この瞬間は存在しないに等しく、どうでもいいことなのだ。

 そう、どうでもいい。本気でそう思っているなら、本気で無視できたはずなのに。
 悲しいなぁ。何だってんだ。年齢に価値なんかあるもんか。誰が何歳だろうと、どんな姿であろうと、すべての人がその人自身であることに変わりはないじゃないか。


 泣いたり怒ったり忙しい。怒が強くて、その次に悲。どうせずっとこうなのだ。
 とはいえどっしり、諦めたい。言う人は何とでも言う。

 流されないようにしたい。明日歩けなくなるわけでも、視力ががた落ちするわけでもなかろう。もっと緩やかで、もっと希望のあるもの。
 そしてこんな波に縋っていたってしょうがない。応援したい価値観を持つ人を応援する。縋らない。鵜呑みにしない。

 幻想だ、何もかも。
 良かったじゃないか。子どもの頃にも理不尽がいっぱいあったのだから、今から味わう理不尽にも余裕で耐えられるっしょ。
 ってそれがなぜだか全然そんなことないんだよな。あーあ。生きる楽しみみたいなものが、現実逃避以外に見当たらんなぁ。


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