三日坊主の幸せごっこ

月澄狸

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病院不信

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「健康な人が抗うつ剤を飲んだら」の検索結果に恐れおののいた。
 え、デマ? フェイクニュース? それとも本当?
 関連検索結果の「精神科の薬の恐ろしさ」にもビビってしまった。

 精神というとロボトミー手術が脳裏をよぎる。

 けど感染症のワクチンもヤバいとか何とか言われていたが……もはや何がどうなんだか、何を選べばいいのか、何を発信するべきで何を黙っておくべきか、情報が錯綜して、訳が分からない。右から左から、情報という名の混沌が押し寄せてくる。

 もう私の人生、人体実験なのだ。なんか急に泣けてきたり、かと思ったら笑えてきたり、若干おかしい気がするが、今に始まったことではない。
 というか物心ついたときからおかしいのだ。おかしさのタイプが変化しているだけで。


 小学生の頃は、友達が欲しかったものの、同年代の子を避け、大人とばかり話したがり、友達が欲しいと思う割に一人遊びばかりして、虫を探し回ったりしていた。でも恋の真似事をし、障害児学級の子にクッキーを渡したり、キスをしていたりした(向こうからもキスしてくれていたので、こっちが強引に襲っているわけではないはず)。

 中学生の頃は性犯罪に遭って以降、気持ちが混乱。その前後か、やたらと通学路で動物の死骸を見る時期があり、そのことにも混乱。不審者にも何度か遭った。男友達に性的なことをされていたと知った。

 高校生の頃、「私は人として生きる術が何一つ身についていない、何も分かっていない」と気づく。不安に駆られる。動物虐待の情報などを見漁り、この世界がヤバいところだと気づく。自分が思っていた以上に、この世界は最悪らしいと絶望。脳内のお花畑が崩壊した。何かぶよぶよの膜に包まれたように現実感がなくなり、楽しいとか面白いとか感じなくなり、ディズニー旅行に連れて行ってもらっても何も感じない自分に泣きそうになった。が、パレードを見てやっと「楽しい」の感覚が戻った。

 就職前、湿疹が異常に発生。就職後、なぜか職場の人たちの声が聞き取れない(みんなは普通に聞こえているらしい)。一連の仕事を覚えられない。
 そういえば学生時にも、体育で聞いたスポーツのルールが一切覚えられなかった。ただ単に興味がないからだと思っていたが、生きるために必要不可欠な仕事も覚えられない、言葉が聞こえないようでは異常。ちなみに聴力に問題はなかったはずなので、ストレスか緊張か何かだろう。
 人間関係は自らぶっ壊したかもしれない。対人恐怖症でうまく関われない。そもそも残業が多く、陰口を言いまくる人が多く、空気が淀んでおり暗かった。結果「とにかく休みたい」と辞めた。

 今の職場は、何だかんだ言って100倍マシ、というか恩だらけである。ボロボロの履歴書の私を食い気味に雇ってくれたところを見ると、そういう人間ばかり雇っているのかもしれない。そう思うと、先輩の人格が多少破綻しているのもしょうがないか。お互い様だ。みんなどことなくおかしいので親近感が沸く。音が多い環境ではないこと、以前よりリラックスできていること、聞き逃しても質問できる、仕事について話せるような人に囲まれたこと、色々なことが幸いし、声が聞き取れないこともなくなった。最初は「仕事が遅い」という指摘を何度かされ、クビにされるんじゃないかと泣きそうになったが、どうも「この子はこれ以上成長しないらしい」と諦めてくださったらしく、甘やかされた手厚い環境で働いている。ハードな作業をこなす先輩方からの視線が痛いが、これ以上どうしようもないので、気づかないフリをし、陰口で発散しながら生きていこうと思う。


 私は全体通して被害者意識が強いが、人にも相当迷惑をかけていたと思う。が、自分のやった行いについては、何が悪いのかよく分かっていないことが多い。都合の悪いことは隠している or 忘れている部分も多いと思う。以前は「自分を良く見せる」ということができなかったが、今は言語化能力を鍛えたことで、ある意味自分を良く見せているのかもしれない。同情を誘うのが上手になり、哀れまれるように立ち回り、真面目ぶってトラブルを回避するようになり、失言はだいぶ減った。が、眠いとき・疲れたとき・テンションが上がって調子に乗ったときなどにボロが出やすいので要注意。


 落ち込んでいた時期などは鬱だったんじゃないかと思ったが、自殺を試みたことも、自殺しようと思ったことも一度もない。食欲不振も、眠れないということもなかった。

 その他、発達障害など何かあるんじゃないかと思って、検索したり本を買ったりしたが、メンタル系にはあちこち共感するものの、「これだ!」というものが見つからない。全部どことなく違う気がする。


 今は億劫だし、誰も私のメンタルのことなど気に留めていないから面倒だけど、以前は誰かに助けてもらいたかった。気づいてほしかった。支援を受けたかった。話を聞いてほしかった。向き合ってほしかった。
 まぁ要約すると……何でもいい、誰からでもいい、愛されたかったのだ。

 書いているだけで泣けてくる。が、今となってはどうでもいい。私が病院通いしたって、誰も興味を示さないだろう。そもそも、理解だの支援だの求めたくなるようなすべての問題意識は、「構ってほしい」という私の幼い心が生み出した幻影に過ぎないかもしれないのだ(※私の場合)。

 これから先どうなるかは分からないけど、今は辛うじて上手くいっている。幸せと言える。
 壊したくない。ここにプラスしていきたい。欲を言えばネットで収益化できてほしかったけれど、それが叶わないのなら……。どうしようか。


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