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ツチノコ議論
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ある日エー太くんとビー子ちゃんが話をしながら歩いていると、怪しげな看板が目に入りました。
そこにはこう書かれています。
『ツチノコを捕まえた人には賞金100万円! ツチノコを捕まえたらこちらまでご連絡ください。……UMA買い取り委員会』
それを見てエー太くんは嬉しそうに言いました。
「うわー、100万円だって! 夢があるなぁ。よーし、ツチノコ捕まえるぞー! 今から下を向きながら歩こうっと。」
ビー子ちゃんは腕を組み、しかめっ面で返事をしました。
「ツチノコを捕まえるなんて可哀想よ。もし本当にツチノコがいるとしたら、それは今まで環境の変化にも負けず生き残ってきた生き物なのよ。見つけたって見なかったことにしてあげるべきだわ。」
するとエー太くんはニヤニヤしながら言いました。
「まったく、ビー子は分かっていないなぁ。捕まえてあげた方がツチノコだって、長い目で見たら幸せになれるんだよ。もしツチノコを発見したことを誰にも言わなかったら、ツチノコはその後幸せに暮らし続けられると思うか? 人間はみんなツチノコなんていないものだと思っているんだから、ツチノコの住みかだって開発されるかもしれないんだぜ。けどツチノコを捕まえて存在を証明できれば、ツチノコがいた場所はツチノコ保護区として守られるかもしれない。それに運良くオスとメスを捕まえられれば、繁殖させられるかもしれないよ。こんなに長い間ツチノコが発見されていないということはきっと絶滅しかかっているんだから、早いとこ捕まえて保護してやった方がいいよ」
「うーん……そう言われるとエー太の言い分もなんとなく分かるけど、発見したばっかりの生き物をうまく飼育してその上繁殖なんてさせられる訳ないわよ。それにツチノコにとっては、たとえ近いうちに滅びるとしても、人間なんかに見つからず自然の中で静かに暮らす方が幸せなんじゃない?」
「そんなの誰が言ったんだよ。ツチノコの気持ちなんて俺らには分かりっこないだろ。絶滅させてしまったらもう取り返しがつかないし、ツチノコだって絶滅だけはしたくないと思っているかもしれないぜ。それに人間は環境を破壊した者として、絶滅しかかっている生き物を保護する責任があるんだ」
「だから、今まで未確認生物だったツチノコの保護なんて、そう簡単にできるわけないって言ってるの。ツチノコの習性やおびき寄せ方が分かった時には、ツチノコが乱獲されて見せ物にされて絶滅するのがオチだわ。そうなるくらいなら放っておいてあげる方が幸せよ。」
二人はギャーギャーと言い争いを始め、ますますヒートアップしました。
しかし10分くらい経つと急に我に返ったように静かになりました。
「待て待て。空想上の生き物のことで何をこんなに言い争う必要があるんだ。多くの人間が血眼で探しても見つけられなかったツチノコだぞ。俺らなんかが発見するわけないだろ。」
「……それもそうね。バカバカしい」
どうやら二人は仲直りしたようです。
「さっきはアンタの言うことを否定して悪かったわね。100万円が欲しいだけかと思ったら意外とちゃんとした意見を持っているじゃない。……アンタの言ったことの方が正しい気もしてきたわ。」
「いやいやこっちも悪かったよ。考え方は人それぞれだもんな。さ、どうでもいい話は終わりにして帰ろうぜ。」
……その時。
目の前の草むらがガサリと音を立てて揺れ、そこから太く短いヘビのような生き物がこちらへ飛び出してきました。
……しーん……。
姿を現したそれを、二人はしばし無言で見つめました。
「こっここ、これって、ツ、ツチっ……」
「ツチノコ!!??」
その生き物は紛れもなくツチノコでした。
「うおおおぉっ! 100万円!!」
先に動いたのはビー子ちゃんでした。
目を光らせてツチノコに突進し、驚いたツチノコは逃げ出します。そのままビー子ちゃんはツチノコを追い回し始めました。
「ち、ちょっと待てお前!! 言ったこととやっていることが違うだろ!」
「そうだけどダメだわ……! 実際この目で見てしまうと欲望を抑えきれない……っ!!」
「意志よっわ!! そんなんでよくあんなに偉そうに語れたな!?」
「待ちなさーい100万円!!」
「100万円は俺のものだー!!」
二人は押しのけ合いながらツチノコを追い、そのうち取っ組み合いの喧嘩を始めました。その隙にツチノコはスルリと逃げ出し、山奥深くへと消えていきました。
そこにはこう書かれています。
『ツチノコを捕まえた人には賞金100万円! ツチノコを捕まえたらこちらまでご連絡ください。……UMA買い取り委員会』
それを見てエー太くんは嬉しそうに言いました。
「うわー、100万円だって! 夢があるなぁ。よーし、ツチノコ捕まえるぞー! 今から下を向きながら歩こうっと。」
ビー子ちゃんは腕を組み、しかめっ面で返事をしました。
「ツチノコを捕まえるなんて可哀想よ。もし本当にツチノコがいるとしたら、それは今まで環境の変化にも負けず生き残ってきた生き物なのよ。見つけたって見なかったことにしてあげるべきだわ。」
するとエー太くんはニヤニヤしながら言いました。
「まったく、ビー子は分かっていないなぁ。捕まえてあげた方がツチノコだって、長い目で見たら幸せになれるんだよ。もしツチノコを発見したことを誰にも言わなかったら、ツチノコはその後幸せに暮らし続けられると思うか? 人間はみんなツチノコなんていないものだと思っているんだから、ツチノコの住みかだって開発されるかもしれないんだぜ。けどツチノコを捕まえて存在を証明できれば、ツチノコがいた場所はツチノコ保護区として守られるかもしれない。それに運良くオスとメスを捕まえられれば、繁殖させられるかもしれないよ。こんなに長い間ツチノコが発見されていないということはきっと絶滅しかかっているんだから、早いとこ捕まえて保護してやった方がいいよ」
「うーん……そう言われるとエー太の言い分もなんとなく分かるけど、発見したばっかりの生き物をうまく飼育してその上繁殖なんてさせられる訳ないわよ。それにツチノコにとっては、たとえ近いうちに滅びるとしても、人間なんかに見つからず自然の中で静かに暮らす方が幸せなんじゃない?」
「そんなの誰が言ったんだよ。ツチノコの気持ちなんて俺らには分かりっこないだろ。絶滅させてしまったらもう取り返しがつかないし、ツチノコだって絶滅だけはしたくないと思っているかもしれないぜ。それに人間は環境を破壊した者として、絶滅しかかっている生き物を保護する責任があるんだ」
「だから、今まで未確認生物だったツチノコの保護なんて、そう簡単にできるわけないって言ってるの。ツチノコの習性やおびき寄せ方が分かった時には、ツチノコが乱獲されて見せ物にされて絶滅するのがオチだわ。そうなるくらいなら放っておいてあげる方が幸せよ。」
二人はギャーギャーと言い争いを始め、ますますヒートアップしました。
しかし10分くらい経つと急に我に返ったように静かになりました。
「待て待て。空想上の生き物のことで何をこんなに言い争う必要があるんだ。多くの人間が血眼で探しても見つけられなかったツチノコだぞ。俺らなんかが発見するわけないだろ。」
「……それもそうね。バカバカしい」
どうやら二人は仲直りしたようです。
「さっきはアンタの言うことを否定して悪かったわね。100万円が欲しいだけかと思ったら意外とちゃんとした意見を持っているじゃない。……アンタの言ったことの方が正しい気もしてきたわ。」
「いやいやこっちも悪かったよ。考え方は人それぞれだもんな。さ、どうでもいい話は終わりにして帰ろうぜ。」
……その時。
目の前の草むらがガサリと音を立てて揺れ、そこから太く短いヘビのような生き物がこちらへ飛び出してきました。
……しーん……。
姿を現したそれを、二人はしばし無言で見つめました。
「こっここ、これって、ツ、ツチっ……」
「ツチノコ!!??」
その生き物は紛れもなくツチノコでした。
「うおおおぉっ! 100万円!!」
先に動いたのはビー子ちゃんでした。
目を光らせてツチノコに突進し、驚いたツチノコは逃げ出します。そのままビー子ちゃんはツチノコを追い回し始めました。
「ち、ちょっと待てお前!! 言ったこととやっていることが違うだろ!」
「そうだけどダメだわ……! 実際この目で見てしまうと欲望を抑えきれない……っ!!」
「意志よっわ!! そんなんでよくあんなに偉そうに語れたな!?」
「待ちなさーい100万円!!」
「100万円は俺のものだー!!」
二人は押しのけ合いながらツチノコを追い、そのうち取っ組み合いの喧嘩を始めました。その隙にツチノコはスルリと逃げ出し、山奥深くへと消えていきました。
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