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矛盾こそ我が人生、ぶんぶんぶん

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 道で草や虫を眺めていると、すぐ車や人が通ります。そんなに広い道ではないので、素早くどかなくてはなりません。この間はぼんやり木を眺めているときに後ろを小学生が通過しましたが、「ただつっ立っているだけ」だと不審者みたいに見えるのではないかと心配ですね。
 私も子どもの頃は「世の中には悪い人がいる、怖い人がいる」と教わってきたので、「変な人=不審=怖い」という先入観があります。そして実際、変な人が凶悪である可能性も少なくないでしょう。

 とはいえ私は生き物を殺すつもりはないというか、できれば衝動を抑えたい方だし、コントロール不能なほど凶悪ではないつもりです。生き物をボウガンで撃ったりはしません。人間の子どもにも興味ないし。
 たまにムカデのおしりをつついてビビらせたりなど、意地悪をしてしまう癖は抜けませんが(あまりに反応が可愛いので、つい……)、こういう悪ふざけ気質を治さないとバチが当たるであろうことは一応自覚しています。人に対しても調子こいて激怒されたこと多め。敬意のないイタズラをすれば信頼を失うし、虫をいじめればいつか災いが訪れるでしょう。

 とにかくそんなこんなで、悪いことしないよう、それなりに頑張っているのに、不審者認定されては困ります。徘徊を止められたら何を楽しみに生きれば良いのでしょう。
 人通りが多いと、ゆっくり落ち着ける場所がありません。あったとしても人工の「憩いの場」にはあまり虫がいません。


 よし、そうだ庭だ……と思って庭に出ると、スズメバチやアシナガバチがずっと飛び回っています。お向かいさんの庭にでかい木がいっぱいあって、森めいているからです。外の道なら逃げ場がありますが、小さな庭だと動きづらく、「ハチがこっちに来たらどうしよう」とビクビクしています。気が休まりません。そう、私はハチが苦手なのです。

 木がある。ヤマトシリアゲやシデムシ幼虫、マイマイカブリ、コクワガタたちが通るような森めいた環境がある。するとなぜか四六時中ハチがいる。彼女ら、やたら数が多い。

 と……私はこの事実をいつも、薄らぼんやりと避けて通りながら「自然を大切にしたい」などとほざいてきたのです。

 自然を大切にする結果は、ハチ・パラダイスです。
 ハチが怖い。なら木を切る? ハチを殺す? ハチ恐怖症を克服する?

「自然を大切にする」話の筋を通すならば、共存するほかないですよね。木を切れば生き物たちの住処がなくなるし、殺虫剤をまけば他の子も死にます。まぁお向かいさんの木なので、勝手に切るわけにもハチ駆除剤をバラまくわけにもいきませんが。いずれにせよ私はこのハチを克服しなければ、偽善者レベルを上げることができません。


 しかし、ムカデなら位置を把握すればわりと安心だし、ゴキブリはびっくりしたら勝手に床と壁の隙間に潜り込んで逃げていくというのに、あの社会性昆虫のハチたちは家庭を持っている分、何考えてるんだか分かりません。家庭を持つ者、社会に属する者の考えなんて、私には……。

 ハチって肉食のやつでもミツバチ系でも、なんかやたらと忙しそうですね。止まってるところ見たことないような。巣に行けば見られるのか。今のところハチの巣に遊びに行きたくないですが……。ハチの巣で遊ぶとハチの巣になるって言いますもんね。

 一匹行動している生き物は大抵我が身を守ろうとする個人主義だろうに、社会、特に過激集団に属した者は、「我が身など惜しくない」雰囲気ですね。ハチも爆弾テロリストや独裁国家みたいな連中に見えて怖いのです。
 偏見でしょうか。せめて何考えてるか分かったら、うまく付き合えるのでしょうか。そのためには本とか読むべきなのか。うーん……。

 とにかく命や自然を大切にしたいですね。今日も99%矛盾。





 今日もハチの夢を見ました。なぜか家の中でミツバチを飼っていて(?)ハチが飛び回っています。私はやっぱり逃げ回ります(飼ってるくせに逃げるのか……)。

 ハチ克服のコツってありますかね……。


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