うだつの上がらないエッセイ集(2)

月澄狸

文字の大きさ
上 下
203 / 283

しおりを挟む
 私は「虫が駆除されている」という現実が気になって仕方がありません。

 ……いや、自分が食べている野菜も虫を駆除して育ててくださっているのだし、私自身虫を駆除したし(職場に沸いていた虫とか)、毎日虫を踏み殺しているし、何か言えるような立場ではないのですが。

 考えてみました。社会の闇なんてごまんとある中、なぜ私は「虫の駆除」ばかり気になるのか?
 ……で、この間気づきました。見つけた虫、気になった虫、ウェブ検索すると「害虫、駆除、害虫、駆除……」そういう情報ばっかり出てくるんですよね。
 特に「家にいる虫」ってのは「害虫」にカテゴライズ(?)されやすくて。純粋に生態や見分け方が気になって検索しているのに、ずーっと害虫駆除情報が出てきます。害虫、害虫、害虫……。
 つまり「読みたい情報を妨害されている」「そんなことが知りたいんじゃねぇよ」とストレスが溜まっているのではないか。それで害虫駆除のことばかり気になっているのでは。

 人には何か「得たいもの、求めるもの」があり、その前に立ちふさがっているように見えるものを特に疎ましく思うのかもしれませんね。無意識であっても。


 まぁ以前は動物の殺処分のことばかり自ら調べて気になっていたので、自分から足突っ込んでいる感じもありますが。
 なんか「犬を食べるのはひどい、ペットの殺処分も虐待もひどい、けど牛豚鶏は食べて当然で感謝して食べるべき、ゴキブリは憎んで殺せ」みたいな「命の格差」の壁にぶち当たって、ちょっと冷めました。

 一時何かに対して「そうだそうだ!」と熱くなっていたけれど、今は熱くなれるところを見失いました。「結局どうやったって殺さないと生きていけないし、それを勝手に美化したり正当化したり善悪論で語ったり、一方に肩入れしたり、何かと敵対しないと生きていけないんだよね」と。

 人は贔屓しかできません。人同士でも、好きな人、苦手な人、接しやすい人、接しにくい人、気が合うとか合わないとか、色々あるものですし。好きな人には好き、苦手な人には苦手、それなりの態度を取ってしまいます。
 有名無名、貧富の差も、ありますね。好きな生き物、苦手な生き物、人気の生き物、嫌われ者、偏りあります。

 ゆる~く絶望している方が楽かもですね。
 無条件に命を尊び慈しむ人間など存在しないでしょう。もちろん、自分も含め。

 いや、「すべての命を尊び慈しむ人」、実はどこかにいるけど、俗世から離れた山奥かなんかで仙人みたいに暮らしていて、普通の人間じゃその人には出会えないとか? などと夢見て現実逃避したくなりますね。

 生き物探求していると、世界の闇は避けて通れません。闇など慣れたはずなのに、たまに油断していたのか、不意打ちで凹みます。私がうまく割り切れておらず、性格悪いだけか。


しおりを挟む
感想 48

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

【写真】気まぐれに風景・生き物撮影

月澄狸
エッセイ・ノンフィクション
風景や鳥・虫・植物たちを気まぐれに撮影して載せていこうと思います。過去の写真も時々載せる予定です。どのエピソードからでも、お好きに見ていってください。

2021年頃の昆虫たち写真

月澄狸
エッセイ・ノンフィクション
以前撮った虫たちの写真です。

猿の内政官 ~天下統一のお助けのお助け~

橋本洋一
歴史・時代
この世が乱れ、国同士が戦う、戦国乱世。 記憶を失くした優しいだけの少年、雲之介(くものすけ)と元今川家の陪々臣(ばいばいしん)で浪人の木下藤吉郎が出会い、二人は尾張の大うつけ、織田信長の元へと足を運ぶ。織田家に仕官した雲之介はやがて内政の才を発揮し、二人の主君にとって無くてはならぬ存在へとなる。 これは、優しさを武器に二人の主君を天下人へと導いた少年の物語 ※架空戦記です。史実で死ぬはずの人物が生存したり、歴史が早く進む可能性があります

データから分析して目指せスコアアップ!初心者投稿者の試行錯誤と記録。

終夜
エッセイ・ノンフィクション
Web小説を書き、いつか本にしてみたい。そう考える初心者がアルファポリス様で小説を連載する中で、記録をとってグラフにしたり考察したりして試行錯誤する日々をお送りします。

一行日記 2024年10月 🎃

犬束
エッセイ・ノンフィクション
・力まず、気分良くいられるように、自分を責めず過ごします。  気候も良くなってきたし、今月だけでも。 ・要らない物はじゃんじゃん捨てる。 ・あと、草むしり🌱

処理中です...