生や社会への恐怖、老いや年齢に関する疑問。誰にも聞けないから自問自答する。

月澄狸

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今日が一番若いと言うけれど

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 楽しいことをしていると、もっともっと生きていたいなぁと思う。
「自殺したいのに怖くて死ねない」みたいに言っている日もあったのに。矛盾していると思われるだろうか。
 気分が日替わり……というより、複雑な気持ちである。

 もっと生きていたい。正確には、元気でいたいというか、死にたくないというか、ずっとこのままであれば良いのにな、みたいな。サザエさんとかドラえもんとかみたいに。誰も年を取らず、みんな変わらないまま。

 それじゃつまらない、と言う人もいるんだろうか。
 死に向かっていくことがあんまり楽しそうじゃないから、アニメみたいに年を取らなきゃ良いのにと思ってしまう。今じゃなく、もっと若かった頃に戻りたいという人もいるはず。
「そんな気の滅入るようなことばかり言ったってしょうがないだろう」と言う人もいるかもしれない。ままならないことを嘆いたって、夢物語を語ったって無駄だ、って。

 私は一応、前世とか生まれ変わりとか、幽霊とか魂とか信じているから、「なぜ生まれてくるんだろう」「なぜ生と死を繰り返すのだろう」と思っている。
「それはこうだからです」と決定してくれる考え方もあるけれど、それだって、実際その通りなのかは分からない。

 楽しいから、もっと生きていたい。それって贅沢なんだろうか。「ああ楽しかった。もう十分生きさせてもらった。幸せだったよ。ありがとう」と言うのが、美しい散り際と言われている気もする。
「あなたはもう十分生きたでしょう。次の世代に譲ってください」なんて言われそうな気もする。寂しいような怖いような。
 生き物たちも、最期まで生きようとしているように見えるけれど、精一杯生きて死んでゆくことに、文句は言っていないみたい。

 人も動物も、幼い頃は元気に跳ね回っていたのが、大人になると落ち着き、やがてゆったりとした歩みになってゆく。
 年を取るって、悲しいことのようにも見えるんだけれど、案外それにはそれの楽しみや喜び、悟りみたいな感覚があるのだろうか。

 私は元々、目が悪くなかった。私は元々、元気に歩けていた。
「できる」ができなくなっていくから悲しそうなのだけれど、最初から歩みのゆっくりな生き物も、目が退化した生き物も、足がない生き物もいる。そう思うと、過去と比べず今だけを見たとき、「私はこういう生き物なのだ」というだけのことであるとも言える。

 また、人生をゲームのシステムとして見たとき、生きることに慣れないうちは体がよく動くが、生きることに慣れてくるとハンデを負ったり、問題が起こったりして段々難しくなる、というのは、まぁ理に適った設定であるという気もする。人生というのは束の間の、そういうゲームだと思えれば。
 ……けれどそう思えないんだよなぁ。もっと楽なゲームで良いじゃん。

 若い頃は、年を取るなんて、もっともっと先……一万年くらい先に思えていた。でも、そのうち時があっという間に過ぎるようになり、いつまでも同じではないのだと分かるようになる。
 若い頃はぶっ飛んだ考え方だった人も、やがて死とか老いとか、現実と向き合うこととなる。それで大人の話はどんどんつまらなくなってゆくような。

 妊娠したくない。年を取りたくない。病気になりたくない。自分の体なのに思う通りにならない。
 悲しいと思ってしまう。前向きになりたいと思わなくはないけれど、どうやったら前向きになるんだろう。
 死や老いを受け入れることか。どうやったら受け入れられるだろう。


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感想 4

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みんなの感想(4件)

大林和正
2024.04.29 大林和正

すみません
はじめに

若者は…も読みました😆
忘れてました😅

解除
大林和正
2024.04.29 大林和正

はじめに
だけを読んだ所です
やはり年寄りを揶揄された時は悲しいですね
ただ
その後来るあー俺もあの位の時はそうだったなー
とか思ってニヤニヤ心の中でします
他には
辛い目に遭ってきた月澄狸さん
周りを観察する目が鋭いと思います
一生懸命に生き抜く為に見てきたんだなー


無責任に言います
色々と読んでいくと
ソロソロ良い目を見るのではないですか?
飛び込んでみるのも…と思ったりします
小中学生でレズだと思ってた娘たちの大半は男が嫌いですが
大学生あたりになると好きになるそうです
無責任ですみません🙇

着眼点や鋭い観察眼、色々知ってる事にいつも感心してます
楽しいです
ありがとうございます😊

月澄狸
2024.04.30 月澄狸

「あー俺もあの位の時はそうだったなー」とニヤニヤできる大林さん、オトナですね。やっぱり人間、年を重ねて、自分が実際にその年になってみると分かることも多いのかもしれませんね😆

私は多分、恵まれているくせに心が弱いです……が、「現状、食うのに困らない」だけが人間の豊かさや幸せじゃなく、人間はコミュニケーションに重きを置く生き物なんだな~と思いつつあります。心が繋がると嬉しいし、なんか上手くいかないと悲しくなりますね。それでコミュニケーションの取り方を学べないままだと、言動がキツくなるとか、性格が歪むのかな~と。

そうですね、今、「男女について考える」の最後の方で書いていた方に、とても優しくしていただいています。性欲だけでここまで温かく接してくださるはずがないよなーと……。
ただ、相手が女友達だったら「性」について考えることはないですが、やはり男性相手だと性についてちょっと予習(?)しておいた方が良さそうですね。やっぱり私は子どもを育てる能力もなさそうだし、でも「できちゃった」で「堕ろす」というのも嫌だし……。
今まで性的に人を「拒絶する」ことしか考えていなかったので、「どこまで受け入れられるのか?」とか、「他の人はどうやっているんだろう?」とか考えたこともありませんでした。

ちょっと手探りで行ってみようと思いますが、やはり私は「性は苦手」という結論に落ち着くかも……。でも考え方が180度変わるとまではいかなくても、自分が実際、恋愛の疑似体験をすることで、世の中に対する見方が少々変わるかも……?

いつも見守っていただいてありがとうございます🙏

解除
2021.02.19 ユーザー名の登録がありません

退会済ユーザのコメントです

月澄狸
2021.02.19 月澄狸

手塚治虫先生は医師免許を持っておられるんですよね(*^-^*)

ところであなた様の「個人の自由な意見です(不定期更新)」をちょっと読んできたら、最後の方のエピソードに私に似た人のお話が書かれていてビックリしましたよ~(*゚ロ゚)
指摘が的確ですごかったです!

あなたはそんなにも深く人間観察をしておられるのだから、自分のこともさぞかし深く分かっておられるんでしょう。言葉遣いも丁寧だし知識もボギャブラリーも豊富そうですね。
で、そんな雰囲気の人が、陰口エッセイのネタにするために人に近づいてくるなんて正直予想外で、激しく動揺しましたよ(@_@;)

火の鳥やブラックジャックを全巻読むことを勧めていただいてありがたいのですが、読書百遍やら熟読玩味やら中味の充実やら書き手の人間的な成熟やら、素晴らしいことを語って名作の数々を熟読・熟知している方が、せっせと陰口叩いて回っているなんて正直幻滅です(ノ∀`*)

陰口エッセイを1万5000字ほども更新するのが、手塚治虫先生の作品に心酔し、人間的に成熟した方のやることでしょうか(#^_^#)

手塚先生の作品を誰かにオススメしたいなら作品レビューを書けばいいと思うし、エロや人殺しの芸術がお好みならそういうのを探せばたくさんあると思いますよ。どうぞ、私の抑うつ的で暗い文章などに貴重な時間をお使いにならずに、素晴らしい作品の数々でも読み返してきてください(*´∀`*)

あなたが来てくださるようになってから、通知が届くと動悸がするんですよ~(笑)
ということで、エッセイのどこかであなたが書いておられたように、メンヘラの類の私はそのうちコメント欄を閉じるかもしれません。

しかし今のところあなた以外のお客様とはお話したいので、しばらくはコメント欄を開けておくかと思います。今後あなたからのコメントは却下するかもしれないのでご了承ください。勝てる気がしませんのでね。

そうなったら例のエッセイ集に、「ちょっとは話聞く気あるのかと思ったらまったく聞く気なしw やはり自分の耳に心地良いことだけを求めていた残念人間は心と共にコメント欄も閉ざしたようですww」とかテキトーに追加しておいてください(^-^)b

ではでは m(_ _*)m

解除

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