生や社会への恐怖、老いや年齢に関する疑問。誰にも聞けないから自問自答する。

月澄狸

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老後の希望が見出せない

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 Twitterのトレンドに「新幹線自由席の高齢男性」というワードがあったので見てみた。自由席じゃない席に座っていた若者に、高齢者が「席を譲れ!」と詰め寄ったという話が炎上しているようだった。

 たしかに高齢者が何か勘違いしていることもあるだろう。が、近年こういう話を若者が怒りながら発信しているのはどうも……。「いや~、若者や同世代でも嫌な人なんか山ほどいますけど?」と思う。

 若者はどうも、「自分たちは高齢者を支えるために毎日働き、税金もどんどん払わなければならない」という風潮を感じ、反発しているようだ。それで「高齢者を敬え」とふんぞり返っている高齢者を叩きたいらしい。叩くどころか殺意すら感じる。「誰が食わせてやっていると思っているんだ」というような空気もある。

 私は「少子高齢化社会」と聞くと、子どもを産んでいない自分が女として責められているように感じるが、若者はこの言葉を聞く度、「高齢世代に縛られている」と感じるのかもしれない。

 私も少子化対策と聞くと、あからさまに社会存続のための働き手として子どもを増やしたいようで、疑問には感じる。子どもはただ望まれ、愛され、幸せになるために生まれてほしい。
 ただ、それが高齢者への反発に変わるのは、若者たち自身の首も絞めているのではないだろうか。あんなひどいことを言っておいて、いつか自分たちが老いたとき、晴れ晴れとした気分で老後を謳歌できるのか?

 そりゃ、昭和とかの古い考え方には理不尽・不必要な厳しさも多く、平成世代である私も反発しながら生きてきたと思う。けれどそれが「高齢者への憎しみ」に変わっているのはおかしくないだろうか。
 だって私たちが働いているこのシステムは、私たちが作ったものじゃない。このシステムの土台は高齢者、そしてご先祖様たちが作り上げたものだ。私は日本バンザイ派でもご先祖様崇拝派でもないが、高齢者世代が日本を作り上げてくださったことへの感謝と敬意はないのかと思う。

 私は働くのは好きじゃないけど、現状このシステムで日本は回っているのであり、これより良いシステムの作り方など分からない。「みんな幸せ」に変える力もないのに、誰かが作ってくださったものに文句だけ言うなんておかしくないか。そもそも誰かを憎む人など、社会の平等やみんなの幸せを目指していないだろうけど。

 若者世代も若者世代だが……。上の世代の人が「まったく、今の若者は」と言っているのにも頷けない。
 若者が自由とか精神とか喜びとか、色々なものを模索したいのも分かる。「必死に生きる」「働く」だけで死んでいくのは嫌なんだ。世代それぞれ、全体的な価値観が違うのだ。それは人類の進歩でもある。

「若者のために退かなきゃな」と言っている人たちを見ると、若者世代がそう言わせたようで申し訳なく思う。何歳だって輝いていて良いじゃないか。死に準備を進めることないじゃないか。きっとみんな居場所があって、年齢や性別関係なく輝けるはずなのに。


 なぜ人間は争うんだろう。なぜ感謝ができないのだろう。虫が滅べば社会も滅ぶのに、「虫滅んでほしい」と言ったり。視野が狭すぎる。たった一人や二人の振る舞いとか、たった一つや二つの出来事を取り上げ、自分の都合の良いように語る。人類がどんどん分裂する。

 世代だの性別だのと人を型にはめて。全部一長一短なのに、どれかだけを悪者にしようとして。

 ……。
 ってそれ私だ。

 たった一つや二つではないが、数少ない経験や関わりによって男性を恐れている。それで感謝ができない。
 今はずっと男性に親切にしていただき、気遣ってもらい、構っていただいたりもしているのに、古い体験からくる恐れが抜けない。優しくされるのは下心があるのだろうかとか、また豹変スイッチを入れてしまうんじゃないかと、二人きりになったりするとビクビクする。

 こんなことを考えていると知ったら、誰からも嫌われるだろう。もっと心から信頼し合い、仲良くなりたいのに。自分で自分を貶める。
 でも女性が男性を恐れるのはしょうがなくないかと思ってしまう。実際、性犯罪や乱暴はある。

 若者が老人を追い詰めるのはもはや、弱いものいじめだ。ご老人は大変な時代を一生懸命生き抜いてきたというのに、こんな風潮に晒されて気の毒だ。一生懸命生きた最期が「老害」などと呼ばれて邪魔者扱いか。死ぬまで働けというのか。

 老人の中には傲慢な人もいるだろうが、そんなの、人格に年齢も性別も関係ない。
 とはいえ吠えている若者を見ると品性もへったくれもないように見えるし、人間性の欠如がどんどん増えているような。
 でもこれも表面的に目立つ若者の言動の問題であり、若者全体がこうではないのだ。

 処理水のことで中国人が迷惑行為をしてくると言っているが、その中国人だって、全員が同じ考えではない。
 私の職場にもお客さんとして中国の人がたくさん来ている。当然、暴れもせず帰って行く。旧正月か何かの日にも日本に来てくれていた。大切な祭り事の日に、嫌いな国に来る人がいるだろうか。

 個性も考え方も人それぞれ。決めつけたり恐れたり嫌ったりなんて、良くない。分かっている。
 色んな個性、そして年代や地域といったカテゴリーも素晴らしい。血液型や星座、県民性などのタイプも愛でたい。性別の考え方も広がっていくのが嬉しい。

 人間、完璧じゃない。言いたいことは言い合っていけば……良いのだろうか。
「苦手」はあるし、思わずカッとなってしまうけど、できれば殺人者にはなりたくない。

 人間誰しも、「分かってほしい」。分かってほしいのに分かってもらえなくて、抑圧されて怒りが沸くのだろう。
 しかし生きるだけで大変なんだから、色々と理解を求めても面倒がられるのは分かる。

 やはりまず自分から。人間を理解していきたいのだけれど、恐怖や怒りが先立って難しい。
 私の視野も心もなんて狭いんだろう。それでも……。何でもかんでも受け入れりゃ良いというものでもない。「NO」を言いたいときもあるし、言い過ぎるときもある。

 現実的な関係性は希薄なのに、目に見える「風潮」だけに反応しているのもおかしいのかもしれない。とはいえ本当の人付き合いは怖い。ああ、難しい。
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