無料で文章やマンガを投稿して稼ぐならアルファポリス? 投稿インセンティブ研究中【5ヶ月で1000円分換金達成!】

月澄狸

文字の大きさ
上 下
97 / 230
金に飢えた底辺作家の日常

noteに登録してみたい

しおりを挟む

 次の日、どこからか帰ってきたステラは俺達と合流した後にテッカンさんの工房へとやってきた。
 
「こ、これは――魔炎鋼竜の牙じゃねーか!」
「嘘、マジで!?」
「ステラ、これどうしたんだよ」
「少しツテがあってな。国庫に置いてあったから貰ってきた」
「そんな簡単に取って来れるのか」
「で、父ちゃん。これでコンテスト用の武器も作れるし、万々歳やん」
 
「……いや、これだけだと足りねぇ」
 
「はい?」
「ガッチンの野郎はこの竜の素材をある程度は自由に使えるはずだ。鱗や爪、髭や翼――竜は武具素材の宝庫と言ってもいい。だからこそあのアルマステンの解析が必要なんじゃ」
「その解析の進捗は?」
「まだ時間が欲しいが……だからステラとヨーイチには、もう1つだけ強い素材を探してきて欲しい」
「どういったモノを?」
「何らかのマテリアル鋼の最高品質のモノであれば……」
「アホか! そんな高いもんそうそう市場に出とるか!」
 
 マテリアル鋼の事も調べたが、購入するにはやはり錬金術の工房へ直接出向いて頼むしかないか。
 でも俺の手持ちじゃ全然足りなさそうだし、借金か……。
 
『マテリアル鋼は人為的な方法で精製する以外にも方法があります』
 
(え、どうするの?)
 
 『先程のドワーフの言っていた通り、竜の肉体は天然のマテリアル鋼と言えます。生物由来の素材は、通常の金属と違い反発現象が起き難いとされます』
 
(でも竜なんかどこに居るか分かんないし……)
 
 『かつて私の時代にマテリアル鋼を量産する計画がありました。岩や魔鉱石のみを食すよう改良し、体内で精製するモノでした。しかし精製には長い長い年月を掛けねばならず、計画は頓挫しました』
 
(ダメじゃん)
 
 『しかしその時の実験生物が野に放たれています。当時の名前は魔鋼竜マグナドラゴンです。そしてそれは、この地にも居るはずです』
 
「居るはずって。テッカンさん知ってます? 岩や魔鉱石を好んで食べる生物……」
「あぁ? 岩や魔鉱石を好んで食べる……どっかで聞いた事ある特徴だな」
「いやそれ鉱山喰いマインイーターやん」
「そうだ鉱山喰い……鉱山喰いか! その方法があったか!」
 
 テッカンは部屋の奥へ引っ込み、1冊の分厚い本を持って帰ってきた。
 
「コイツは魔鉱石の取れる鉱山に住み着き、そこにある鉱石を根こそぎ食っちまう害獣だ。向こうから人を襲う事も無いし、1年の殆どを岩の中で寝て過ごす。そのあまりの硬さ故に一般冒険者じゃ文字通り歯が立たねぇから、討伐もほぼ無理な奴だ」
「……でも、ウチらドワーフなら別や」
「ルビィ。お前はすぐに他の工房の奴らに声を掛けてくれ、儂から話があると。鍛冶屋通りの広場だ」
「分かった!」


  ◇◆◇◆◇◆◇

 
 それから数時間後の夜、広場にテッカンと共に俺達は居た。
 テッカンの人望がどれほどあるのか――それはこれを見たら納得するしかない。
 総勢100人ほどか。老若男女、ノーマン(人間)にドワーフや……エルフの職人なんてのも居るのか。
 
「テッカン! 帰って来てたんならすぐに声掛けろよな!」
「みんな済まなかったな! 儂が己の職人人生を掛けて王都へ行ったのは知っていると思うが、色々あって今はギリギリの所にいる」
 
 ここでざわめく職人達――。
 
「その間にここの区域に大手武器工場が出来たせいで、鍛冶屋通りに今までの活気が失われつつある事も知っている」

 それで妙に客が少なかったのか。
 もしかして、俺が大通りで買った武器屋もそういう関係があったのかな。
 
「しかし、それを解決できる妙案がある。ドワーフの皆は昔……100年前くらいにやった鉱山狩りの事は覚えているな」
「おぉ、おぉ……まさかやるのか!?」
「今回も国に黙ってやる事にした。だから参加は強制じゃない……じゃが素材を持って帰る事が出来れば、鍛冶屋通りの新たな名物として売り出せる!」
「いいぜやろうぜ!」
「どうせ暇だしな!」
 
 ドワーフ職人はみんな乗り気だ。他の職人、特に若い人らは良い顔をしてなかったが、反対する気は無さそうだ。
 
「出発は急だが明後日、西の鉱山へ行く!」

「「おぉー!!」」

  ◇◆◇◆◇◆◇
 
 という事があって出発の日。
 早朝、中央広場には30人ほどの職人達が集まっていた。各々の荷物を馬車に積み込み、計8台。これだけ多いと壮観である。

「って父ちゃんも着いて来るんか」
「当たり前だ。責任者の儂が行かんと示しが付かんだろう」
「解析は?」
「必要なもんは積んだ。現場近くに放棄された町があるはずだから、そこでやる」
「全部積み込んだ。出れるぞー!」
「よし。出発じゃー!!」

  ◇◆◇◆◇◆◇

 
 西への街道を進むこと1日。途中から旧街道へ入りさらに1日進んだ所に目的の鉱山はあった。
 道中、立て札で『この先、魔物が住み着いた鉱山。危険』と書かれているのをいくつか見つけるが、当然一団は気にせず進む。
 町の入り口の封鎖を勝手に壊し、一団は街へと入った。
 もう住民が居なくなり何年も経ったのだろう。中には朽ちてしまったような家屋もある。
 かつてのメインストリートを通り、一団は鉱山の入り口へとやってきた。
 
「よしみんな。まずはお疲れ様じゃ! 本格的な探索は明日から行うから、各自準備を進めてくれ」
「「「うーすっ」」」
 
 俺はキャンプ用のテントの設営をやったり、薪を集めるのを手伝ったりしていたのだが、何故だろう。どこからか視線を感じる気がする。
 
「ニーアはどうだ」
 
『不明。私のセンサーには、何も感知しておりません』
 
「……気のせいかな」
 
 ちなみにニーアのセンサーはそこまで広くはない。俺を中心に200mくらいだ。あまり広すぎると拾う情報が増えすぎて処理が難しくなるらしい。
 向こうの方では、既に職人達の笑い声が聞こえる。
 
「あの人達、今晩も酒ばっか飲むんだろうなぁ」


 
しおりを挟む
うだつの上がらないエッセイ集(たまに自由研究)
【うだつの上がらないエッセイ集】

生き物の話や夢の日記、思い出や星占いの話など、思いついたことを色々詰め込んだ連載です。


良くも悪くも、星の回転は止まらない

【良くも悪くも、星の回転は止まらない】

詩集です。すぐ読める短いものが多いです。20編で完結しました。



感想 44

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

連載をしても全然スコアが上がらなかったのでヤケになって短~い文章を連発しています

月澄狸
エッセイ・ノンフィクション
連載し続けて現在7万字を越えたエッセイ集で、今までに得た見込みスコアは1(未完結)。9500文字の詩集の見込みスコアは完結時まで0、完結ブーストでちょっと上がって3。ちなみに文字数1万6000字程度のSF風短編(完結済み)の見込みスコアは0。 で、500文字で一話完結で投稿した現代文学作品の見込みスコアは4。同じく一話完結で投稿した文字数177の詩の見込みスコアは2。たくさん書いても文字数が少なくても見込みスコアが同じくらいってどういうこと?

アルファポリスとカクヨムってどっちが稼げるの?

無責任
エッセイ・ノンフィクション
基本的にはアルファポリスとカクヨムで執筆活動をしています。 どっちが稼げるのだろう? いろんな方の想いがあるのかと・・・。 2021年4月からカクヨムで、2021年5月からアルファポリスで執筆を開始しました。 あくまで、僕の場合ですが、実データを元に・・・。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

投稿インセンティブで月額23万円を稼いだ方法。

克全
エッセイ・ノンフィクション
「カクヨム」にも投稿しています。

アルファポリス収益・活動記録

先名ゆい
エッセイ・ノンフィクション
需要がありそうなので、投稿をし始めてからの投稿インセンティブや24hポイント獲得数などを記録していきます。 アルファポリスを利用しようか迷っている方の参考になれば嬉しいです! ★構成★ 【雑記】の章はその日思ったことをつらつら書きます。 【整理】の章に、【雑記】で書いたことを整理して記載します。

処理中です...