うだつの上がらないエッセイ集(たまに自由研究)

月澄狸

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虫の通り道(クロアナバチ? ルリジガバチ?)

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 ある日の朝……というか午前中、部屋の中にいると羽音が聞こえた。音のする方に目をやると、そこにいたのは黒いハチ!

 私はハチが苦手だ。黒くてもオレンジでも黄色でも苦手だ。
 この黒いハチは毎年入ってくる。今年ももうそんな季節か……。

 黒いハチはドラクエの主人公のように家の中に入り、飛び回り、網戸の隙間から出て行く。この間窓から出て行くところを目撃した。猫ドアならぬハチドア。出入り自由だ。

 とはいえハチさんには早めにお帰りいただくことにした。去年はハチ恐怖症が悪化してオロオロしていたが、今は前より自信がある。

 見た感じ、このハチはアシナガバチやスズメバチではなく、集団で暮らしていそうにない。単独行動のハチだろう。
 すると相手には、危険を犯してまでこちらに攻撃してくる理由がない。刺すためには相手に近づかなければならないのだ。自分の身を捨ててでも巣を守る……そういう理由がなければ刺してこない。一匹で暮らす虫が攻撃してくるのは、自分の身に危機が迫ったときだけだ。

 ……という理屈を頭の中で唱え、姿勢を低くして窓を開けた。
 そのままハチを見守る。
 しばらくするとハチは飛んで出て行った。やったね。

 なんだ、穏やかで話の分かる良いハチじゃないか。そんなに恐れることはなかった。
 そう分かると恐怖心が和らいだ。これであまりビクビクしなくて済む。今後も黒いハチとは仲良くやっていこう。

 ところでこの黒いハチ、クロアナバチかと思っていたのだが、調べてみるとルリジガバチのようでもあった。
 他にも似た種がいるのだろうか? ずっと飛び回っているので見分けがつかない。

 活発なこのハチの写真を撮れたことは一度もない。じっとしていてくれないのだ。だが一回窓際で姿を見たとき、体が美しく輝いているように見えた。
 やはりルリジガバチなのだろうか……。家に入ってくる黒いハチがみんな同じ種類とは限らないけれども。

 さて、じっとしていてくれないこのハチだが、一度だけ静かにしているところを見た。スーパーのガラス窓におとなしく張り付いていたのだ。

 うちのまわりでもあんなふうにくつろいでくれれば、写真が撮れるのになぁ……。いつかくつろぐハチたちの姿を写真に収めたい。





 その翌日も黒いハチは家の中にいた。頻度高すぎやしないか……。
 やはり時折体が青色に輝く気がする。ルリジガバチかもしれない。





 その後写真を撮ることができた。やっぱり青い。
 ロボットのような姿に金属的な光沢。か、かっこいい……。



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