うだつの上がらないエッセイ集(たまに自由研究)

月澄狸

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人によって態度を変える

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「人によって態度を変える人って嫌いなんだよね」
 そんな言葉を耳にすることもあるが、私は人によって態度を変える。
 主にネット上の話である。

 たとえばネットで話している相手の方がまったく顔文字を使わない場合、「もしかして顔文字はお嫌いなんだろうか?」と思って顔文字を使うのを控えたり。

 短いコメントをよくくださる方には基本短めコメントで。逆に長文コメントをくださる方には長文で。
 真面目な人には真面目に。いつも冗談を言っている人には冗談っぽく。

 私は以前人の気持ちを勘違いしてコメントしたことがあったし、また、自分以外の人が他の人からもらったコメントに対して「そうではない」と訂正しているところも見た。世間一般で使われている言葉でも「好きじゃない」という意見を見かけたりもするので気をつけるようになった。


 私が中学生の頃に同じくらいの年の男性とネットで話していたときもハッとするような出来事があった。相手の方が自分は背が低いと言ったので「まだまだこれから伸びるよ」と返したところ、「自分は背が低いことを気にしていない」とおっしゃったのだ。
 確かにそうだ。背が低いのがコンプレックスだなんて一言も聞いていない。私の勝手な思い込みで失礼なことを言ってしまった。

 それ以降人と話すときはできるだけ雰囲気を合わせ、相手が出していない言葉や概念は出さないようにしようとしていた。

 けれどそうなると返答がオウム返しになることが多く、ワンパターンな受け答えになる。これも以前「相手の言葉を繰り返すといい」とテレビで言っていたので、そのようにしているところもあるのだが……。


 ところで最近気づいた。
 あまりに相手の方の話し方や雰囲気を真似したりしたら、それもなんとなく嫌味じゃないか? 「なんだか真似されてる?」と不快なのではないか?

 今まで気づかなかった私がバカなのだろうか。

 ということで、今まで気にしていたことを今後はあまり意識しないことにした。自然体ができあがっているわけでもないが、自然体でいこうと思う。思ったことを言って失敗してしまったらそのとき反省すればいい。


 しかし今回このエッセイを書いていて気づいたのだが、自分の中で「相手の方に失礼のないように」と「嫌われたくない」という気持ちが混在している。
 書き終わって数日後に読み返したところ論点がズレまくっていたため書き直した。どうしてただ自己中心なだけなのに、思いやりがあるかのように偽ってしまうのだろう。

 そしてこのエッセイのエピソードタイトルと出だしに「人によって態度を変える」という言葉が出てくるが、この言葉の意味も履き違えている気がする。勘違いと偽善癖のせいで論点が定まらない。

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