もう極悪人でいいや……意見合戦から抜け出そう。1440分の重みを考えよう。(私の世界は性善説じゃなく性悪説)

月澄狸

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もう極悪人でいいや……意見合戦から抜け出そう。1440分の重みを考えよう。(私の世界は性善説じゃなく性悪説)

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「人類は一人残らずボランティアをするべきだ」みたいな押しの強い意見を見ると「そこまで言わなくても……」と思う。でも私も知らず知らずのうちに押しの強いことを言っているんだろうな。反省しなければ。押しの強い物言いをしていると、いつか押しの強い他の人と衝突しそうだ。
 私は衝突する暇があったら他の遊びをしたい。なのに今もこうやって愚痴ったりしている。これも私の人生で本当にやりたいことなんだかどうだか分からない。

 時々後ろめたい気持ちにはなる。ボランティアしている人をテレビで見るとすごいと思う。私はボランティアも献血も募金も何もしていない。確かにもっと世界に対してできることがあるだろうとは思う。
 でも悪いけど私は極悪人で、私の世界は性悪説だ。私は人生懸けて誰かを救うことで幸せを感じられる聖人ではない。「人の喜ぶ顔が見たい」と言って行動などできない。運良く私の作品で誰かが喜んでくれたらちょっと嬉しいかも、程度だ。けど今はとりあえず好きなことをお金にしたいという思いが強い。

 以前書いたエッセイ「世界は何もくれないから 好きに生きていい」でも書いたけれど……というかいつも似たようなことしか言っていないのだけれど、人によって価値観や優先順位は違うのだし、一見「正しい」と思ったことでも、器の小さい人間が片っ端から取り入れたりすれば押しつぶされるだけなのだ。

 確かに毎日募金すれば誰かが救われるだろう。でも根本的な問題はそこなのか? どこかの大金持ちや政治家が、くだらないことに何億円もかけていることが悪いのか? 募金やボランティアしない私のせいで貧しい人や不幸な生き物が死んでいくのか? どうだろう。

 この世に終わりなんてない。マザーテレサみたいな生き方をするのが最高の幸せならそうするだろう。でも「世界を変えること」を目的にはできない。マザーテレサやイエス・キリストがいたこの世界、まだ貧困もあるし動物も駆除されている。世界の意識がだいぶ変わってはいるのだろうけれどその変化は私には感知できない。

 テレビで見た健康体操を毎日3分、日課にしようとして3日でもう忘れる。そのうちまたテレビで新しい体操を見て真似して忘れる。
 私なんて3歩歩けば忘れる程度の人間だ。人並みの責任を背負えない。


 今、「1日 何分」で検索したら「1440分」と出た。
 えっ、たったの1440分なの!?
 すぐ終わりそうな感じしかしない。

 ボーッとテレビを眺めれば30分過ぎる。ちょっと会話すれば5分過ぎる。ちょっと寝れば2時間過ぎる。一生もすぐ終わるだろう。そんな中で、世界を変えるために毎日ボランティアも募金も献血もしてベジタリアンになって、そうすれば私は今より心安らかに、自信を持って幸せに生きられるんだろうか?

「そうに違いない」と思えたとき私は始めるだろう。でもごめん、今は極悪人だ。正直、世のため人のため一生懸命やって死んだとしたら「ああ良かった、やりたかったことができた」と思えそうにない。
 我ながらひどい人間だとは思う。みんなでもっと本気で、たとえ明日1日だけでも、世界中の人が世界平和のために全力で動けば、何かすごい地球革命が起こるんじゃないかという気もする。

 でも人間には責任があり、気まぐれで手を出しちゃいけないのだ。健康体操や、1日だけ参加する何かの体験会なら良いけれど。何かを作ろうとか育てようとかしたら、もう一生放り出すことはできない。途中で責任を放棄する極悪人よりは、最初から手を着けない非国民になりたい。


 1日は1440分。

 つまり、「1日たった10分でいいので◯◯してください!」と誰かから言われる度に「はい、分かりました」とニコニコして受け入れていたら、24時間起きて動いていられるとしても自分の1日は144人分の願いだか10分契約だかでいっぱいになってしまうのだ。

 ネットに触れていなかった頃は144人というのがピンとこなかったかもしれないけれど、今は144人はそう多くないと分かる。1440分なんてあっという間だ。


 私は悪い人間だ。世界も不完全だ。でも世界が不完全なのは私のせいじゃない。世界のために動くのが人類一人一人の使命だったとしても私はまだ自覚がない。なぜ生まれてきて、どうして生きなければならないのか。

 だから意見合戦から脱出しよう。1440分なんて意見合戦で簡単に潰れそうじゃないか。儚いものだ。そして、どうやっても動かせないルーティンでかなりのパーセンテージを取られており、たったの1440分ですら好きには使えないのだ。


 私は悪人だから人を見たら泥棒と思う。私も含め、時間泥棒は多い。私は人の時間を自分の作品を読んでもらうために割かせようとする。もっともっと多くの人に読んでもらって収益化しようとしているのだ。
 人も「こうするのが正しいでしょう、人として!」と迫ってくる。かわさなきゃいけない。「この人(物)のためなら時間を使ってもいいかも。なんなら一生をこれに費やしても悔いはないかな」という物だけを選び取らなくてはならない。貴重な1440分のために。

 そして私は「時間を使ってでもあなたの作品を読みたい」と言ってくれる人と出会い、ツボを共有してくれる人を喜ばせるような作品を描きたいのだ。方向性やこだわりポイントが違う人の欲求に飲まれることなく。

 私の作品を20くらい読んで「この人の作品イマイチ」と思った人はたぶん、私の作品を100編読んでも幸せになれない。そしてそういう人を捕まえて「いいから読んでください!」なんて言えば私は時間泥棒だ。
 試食コーナーで試食を受け取る人みんながお金を出して商品を買うことはないが、ネットで公開している「無料」のものであれば、お金を出してまで作品が欲しいという人だけでなく、色んな人が集まりやすい。だからこそ多くの人に見てもらえるチャンスがあるけれど……チャンスはあっても相変わらず私の作品のアクセス数は少ない。

 文章を読みもせずに宣伝いいねをしてくる人や、自動ツールでいいねを付けてくる人に毎回丁寧にいいねを返しているとしたら、それは私の時間の無駄だ。ただ、そういう人を見分けるのは勘の鈍い私には難しい。面白い・また読みたいと思ってくださっているのか、いいね集めなのか、いいね付き合いなのか……。でもアクセス数が思うように伸びないからといってこちらが重く必死になると、好意で読んでくださっている方もしんどいだろうなぁ……。

 考えないといけない。1440分の重みと使い方を。
 そのためには私は性悪説を信じ、極悪人になる。



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