印象に残った夢

月澄狸

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夢の施設とホタルブクロとトンネル

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 夜、何かの施設の近くでイベントが行われている。皆それぞれ自由に過ごしている。

 私はホタルブクロを見つけ、写真を撮ろうとした。すると小さな女の子がちょこちょことこちらへ来て歩き回る。ああっ、花を踏みそう……。なんでこっち来るかなぁ。
 何だかおじさん達まで来て、ホタルブクロの近くで作業を始めた。私は、なおも花にピントを合わせようとしていたが、夜だからか、ピントがなかなか合わない。

 そうこうしているうちにふと見ると、花自体がなくなっていた。あれっ、誰か持って行っちゃった!? 私が撮っている花なのに持って行ってしまうとは失礼な。でもカメラをのぞき込んだりしつつ撮影していたから、私が花を撮っているとは気づかずに、誰かが「綺麗な花だな」あるいは「ここにあったら踏まれちゃう」と思って持って行ったのかも。


「ここは賑やかすぎる」と思ったか思わなかったか、私は近くにあったトンネルに入った。静かで、大きくて、短いトンネル。
 歩いていって向こうに出ると、行き止まりだ。目の前が急斜面の崖に囲まれたような感じになっている。あたりは森だか林みたい。

 見上げるとポツポツ落とし物。お弁当箱を入れるランチバックみたいな物がいくつか、上の方に引っかかっている。なんでこんな手の届かないような場所に落とし物が? ああそうか、ここの上が道か何かになっていて、そこで落としたものがここまで落ちてきて、引っかかっているんだな……。


 それ以外特に何もないもので、私は戻ることにした。
 振り向くとトンネルは大きく暗く静かで、急に心細くなる。

 向こうから一人歩いてきたが、すれ違ったんだったか相手が戻っていったんだったか、言葉を交わすこともなく、いつの間にかいなくなってしまった。

 見上げると、トンネル内であるというのに、青暗い夜空が見える。月や星ではなく、大きな雲がいくつか見える。


 トンネルから戻ってくると、もうイベントは終わったようで誰もいない。慌てて施設に戻る。
 施設内では食事中らしく、明かりが漏れてきている。そのドアの外側で一人、男の子がお食事中。

 彼は「僕たちは想像の中では、何でもできそうな気になるんだけどね」というようなことを言った、気がする。

 そうなんだよなぁ。私、頭の中で想像しているときは、あれもこれも上手くやれそうな気がするのに、実際やってみると上手くできないんだよなぁ……。と、彼に同意したところで目を覚ました、気がする。





 やはり夢は現実モデルな気がします。ホタルブクロ、そしてトンネル……景色は全然違うけれど、「現実の、あの場所のことかな」と思う場所があります。

 以前の夢でも、そのあたりをうろついていました。実際には近所の狭いエリアなのですが、夢の中では倍以上に広大に感じました。


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☆ ★ ☆ ★

こちらは以前投稿した短編小説です。宜しければ覗いていってください。


↓人とロボットが共に暮らす世界を舞台にしたSF風ファンタジー
からくりの鼻唄

↓生き物たちが登場する童話風ファンタジー
月色の夏

↓夢の中をイメージした幻想系作品
ドッペルゲンガー

↓少女と観覧車の物語
ここよりずっとたかいところ

↓ハト好き男のコメディ
ハトにパンを

↓カビが主人公のパニックホラー風
風呂場カビの逆襲




ツギクルバナー
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