せめく

月澄狸

文字の大きさ

大中小

375 / 400

「ダメでいいから好きにさせて」

しおりを挟む

「このままじゃダメ」と
「ダメでいいから好きにさせて」が
せめぎ合って揺らぐ

どうせ助言はほぼ無責任でしょ
やりたいことしかやる気が出ないの

先生の言うことすら信じられない
誰の言うことも信じられない

信じて良くなる？
「良い」って何？
上達って何？
それは誰かについてって得られるもの？
一度つかめば絶対転落しないもの？
あなたの言うことを聞けば成功できる？

でも不本意でも
頑張っている態度を見せないと
捨てられると不安で

頑張ることでこそ世間から
救いを受けられると信じちゃってる

自らみんなに背を向けて失敗したなら
もう誰にも助けてもらえるはずがない
助けを請えるはずもない
「だから言っただろ」と……

会社の言う通りに一生懸命やっていれば
頑張りが伝われば
至らなくても存在を許してくれるよ

社会だってね
「下手でも頑張っています」と
「謙虚」に「誠意」を見せればね
叩き潰そうとまではしてこないよ

けして横柄な態度取っちゃダメ
特に立場が弱いならね
哀れみや奇麗事を真に受けて
履き違えたなら致命的だよ

転んだら助け起こしてほしい
自立できない弱い心

「誰か私の才能を認めてほしい」と
居場所を求める弱い心

「ダメでいいから好きにさせて」か
「ダメじゃダメだから頑張ります」か
「どちらにせよ踏ん張れよ」

「さぁ根性出すんだ」と
己を奮い立たせようとしてもなかなかね

飢え死にしてまで己を貫く意志はないが
飼い慣らされれば
「自由になりたい」と文句垂れる

ひとまずお腹いっぱいでカゴの中

「感謝しろ？」
「足るを知れ」ってことだよね

ああ
無責任なのはアドバイザーじゃなく
自分だよね

結局
自己責任が足りないのさ