せめく

「好き」は「嫌い」より重い

「嫌い」は怖い
「好き」も怖い

「嫌い」と同じくらいに
「好き」が怖いか
それ以上か


「嫌い」なら無責任でいい
という訳ではないはずだが
「好き」には責任が伴いそう

好意の皮を被った
悪意もあるだろう

人を信じることは自己責任
勝手に信じて勝手に裏切られたら
自分の責任か


みんなと一緒にいるときは
みんなのオーラに隠れられるけど
誰かと二人きりだと
緊張がこみ上げてくる

喋ってもどこかしんとした空気
俗に言う「気まずい」というやつか

敵か味方か分からないものと
エレベーターで二人きり

束の間でもなんだろう
野生の世界に戻った気がして


「嫌い」「苦手」
「興味ない」はありふれている

大体どれかだろう
「興味ない」寄りの好きとか

だから慣れているのかもしれない
嫌われることの方がまだ


「好かれる」と責任を感じる
プレッシャーを感じる

自分のどこが「良い」のだろう
「良い」部分をなくしたら嫌われる
見放されると


「良いね」がお世辞でも
お世辞じゃなかったらどうしようと
馬鹿みたいに悩んでる
言った方は5分で忘れただろうにね


「好き」というのは
「この距離感でいられるから良い」
ということなのか
「もっと近づきたい」という意味なのか

興味を持たれたあと
ガッカリされるとか
急に予想外な扱いをされるとか
不安で


なぜだろう
小さい頃から人が怖くて怖くて

それならば「寂しい」なんて
ちっとも感じなければ良かったのに


空気はいいな
好かれても嫌われてもいなくて
好かれたいとも嫌われたいとも
思っていなくて

空気はもっと感謝されるべきだけどね


私は好かれたい
好かれたいんだ……