せめく

月澄狸

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1000匹目の羊

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あなたが今死ぬとして
走馬灯を見るとして
私の顔を思い浮かべるのは
何番目かなって考えた

50番目くらいかな
いや50番目はまだないか

それにいくら走馬灯でも
50人も登場させられないような


そもそもあなたの
脳裏に浮かぶ一員でもないかも
思い出されるほどの者じゃないかも


逆に「嫌なヤツだった」って
思い返されたりしたらヤだな


いやいや何を思い上がっているんだ

誰かにとっての「嫌い」でさえも
記憶に残るなんて難しいんだぞ
多分

自分から近づく努力を怠ったなら尚更


でもなんか今は
50番目でも100番目でもいいやって
急にふっと思ったんだ


みんなワイワイ好きに暮らしていて
そういう空間の中で
誰に気に入られようが
気に入られまいが
なんか
それで良いかもなぁって思ったんだ

何が良いんだか知らないけど


それでも多分
明日からは1番目指すよ
なんの1番かは知らないけど

何か気を紛らわしたいんだ
そう打ち込める何かを探して……


承認欲求からはまだ逃れられない
心を縛る鎖が多くて
孤独ごっこをしていて
何かをどこかから勝ち取りたくてね

でももしかしたら何にも
熱意なんて持ってないのかも


認めてくれるなら誰でも良いし
そうでもないならどうでもいいはず

何を必死になっているのか
何に必死になりたいのか
我ながら疑問だね

何が悲しくて泣いているのかも
まったくもって謎だ

とりあえず
まだ穏やかな境地に達していないんだ


どうせ私はダメな子だった
誰かにとっての1番になれないなら
何かの1番になってやる

けれど本当は知っている
どっちを叶える力もない

能力不足のせいでもあるが
それ以上に臆病が行動力を削るからだ


重いなぁ
心じゃなくて性格がね

けれど自分の至らなささえ
今はまぁいいやって思ったんだ


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感想 37

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