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なんで私はたくさんの生き物の中の一匹なのか

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 人間には個性があるという。
 動物にも個性があるという。

 虫にも個性があると思う。それは分かる。
 分かるけど結局、肉体を持った生き物であるというベースはみんな同じなのだ。

 どんな食べ物が好みか?
 アウトドア派かインドア派か?
 そんな違いはあれど、生きているから空気や空間や食物が必要という域は越えない。

 どんなジャンルが好きか……どんな趣味があるか……好みのタイプはどんな人か……
 そういったものの集合体を人は心と呼ぶ、けれどそれは生物的なバラつきだと思う。

 もしかしたら人はすべての動物の要素を持っているのかもしれない。
 単独で過ごす生き物もいれば群れで暮らす生き物もいる、上下関係があったりなかったり、旅をする鳥もいればその場から動かない生き物もいるだろう。メスの方が大きくて強い種もいるしオスが子育てする種もいる。派手なかっこうで踊る生き物もいれば地味に活動する生き物もいる……。

 その中でより多様な遺伝子を残すため、そして多様な遺伝子を持つために様々な好みがあるのだろう。

 だからといって生物は生物の域を越えない。
 どんな食べ物が好きか、どんな色が好きか、好みは決められるけれどそういった好みや、誰かを素敵だと思うことなど、すべて生物としてのプログラムの一種だと思う。

 カマキリはバッタを見たら美味しそうと思い、ライオンはシマウマを、バッタやシマウマは草を美味しそうと思うのだろう。そしてそれぞれ同じ種類のメスやオスを求め、子を育てる。そうして命が繋がってゆく。

 すごいことだ。命を繋ぐことを拒否する個体が多ければすべての生物は絶滅していたところだ。
 ちゃんと種を残すシステムが作られ、そのシステムが本能として刻まれている。

 私は結婚や子育てをしたくないと思っているのだけれど、これもたぶん生物としてのプログラミング的な何かなのだろう。増えすぎた人類を減らすためとか?

 たぶん我々は種としての……いや生物としての何かに操られている。私の肉体は人間であり生物であるという情報をすべて含み、その繋がりや歴史や本能から「自分の気持ち」が沸き上がってくる。その気持ちは私だけのものでも、人間だけのものでもない。

 すべての種は元は一つだった。かもしれない。
 何かを食べたり水を飲んだり、繁殖したり光合成したり……生きるサイクルはみんな似ている。
 その中で個性はあるけれど、永遠に飲まず食わずだとか、一切繁殖せずに一つの個体が生き続けるとか、そういう個性はない。

 ……いや、岩や水や物や星のことを生物だと認識していないからそう思うだけか?

 いずれにせよ不思議だなぁ。
 個性だなんだといっても私たちは全員生物的本能によって生まれ、感じ、求め、喜んだり怒ったりしているなんて。

 人間の、いや生物の域を越えた発想はきっとしないだろうから……
 カマキリも獲物やメス以外のものにはあまり興味ないんじゃないだろうか。

 人間もたぶん同じで、獲物やパートナーや群れの仲間や天候や自然環境など、自分たちに必要なものや把握する必要があるもののことしか認識していない。
 それ以外のことを知らない、見えない、感知できないのだ。たぶん。

 ……さて世界の出口はどこでしょう。























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みんなの感想(1件)

百村 卑陋園

仮にこの世界が“ゲーム”だとすればルール(繁殖など)を守りながら勝つ(生存し続ける)ためにそれぞれのプレイヤー(種族)がそれぞれのプレイ(コツコツと食料を集めるローリスクローリターンかハイエナのようにハイリスクハイリターンなどの選択肢)で勝ちを手に入れる...そんな感じのことが頭の中に浮かびましたね。

月澄狸
2021.03.06 月澄狸

コメントありがとうございます。たしかに生き物たちの生態について見ていると、「どのやり方でどう勝ち残るか?」というゲームのように見えますね。ベースは大体同じでも持っている個性は違い、団体戦だから自分という個体が負けても自分の種族が生き残れば勝ち、みたいな……。種族対抗戦といったところでしょうか。プレイヤーが誰なのか気になります。

解除

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